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であい・その2

 今日もまた普段と変わらない一日が始まろうとしていた。

 俺は朝早くに起きて昼食を作り、学校の支度の最中だ。

 父母共に海外で働いている為、一人暮らしをしている。

 といっても、中学校に入学した時からこの生活なのでとっくに慣れてしまったが。

 ちなみに俺の料理は咲哉には好評だった。

 スパパッと用意を済ませ、家の扉を押し開ける。


「いってきます」


 もちろん返事など無いのだが、毎回言うようにしている。

 別に悲しくはない。断じて。

 これも慣れてしまった習慣の一つだ。

 学校へは徒歩で近くのバス停まで歩き、そこから学校までバスで移動して通っている。

 今日も普段と変わらずにいつもと同じ時間のバスに乗った。

 ここから学校までは約三十分。

 その間、スマホでゲームをしたり小説を読んだりして過ごす。

 まあ、どこにでもいる男子高校生だろう。




 いつの間にか眠っていたようだ。

 ちょうど次の駅が学校の最寄り駅のようで安心した。

 ウトウトしながら「次降ります」と書かれたボタンを押す。

 しばらくすると、バスがゆっくりと停止した。

 寝起きが苦手な俺はフラフラとしながらバスを降りようとする。

 すると、突然バスに乗り込んできた少女がいた。

 先日も見かけた同じクラスの春。


「あ、荒城君っ!」

「え、え……? 俺!?」

「そ、そう! 話があるのっ!」

「俺に!?」

「そうっ!」


 春が俺に詰め寄ってくる。

 寝ぼけた頭では上手く理解できなかった。

 クラスのアイドルみたいな立場にいる春が、影のような俺に話?

 少しゾッとしてしまう。

 昨日見てしまったあの事で何かあるのだろうか。

 怖い怖い。

 しばらく沈黙が続いた後に、顔を真っ赤に染めた春が口を開いた。


「あのねっ! 好きですっ! 私と付き合ってくださいっ!」

「ぶっ! な、なんて!?」

「だ、だから! 私と付き合って欲しいのっ!」

「俺と!?」

「荒城君とっ!」


 全く訳が分からない。

 まさかの告白ときた。

 しかもめちゃくちゃ可愛い子に。

 どうしよう。

 確かに昨日は特別な感情があった。

 でも、それは本当に恋心と呼べるのだろうか。

 俺はもし春と付き合って、彼女を幸せにすることが出来るのか。

 そんなもの、やってみなければわからない。


「え、えっと……俺でよければ……?」

「ほ、ほんとに!? やった! ありがとうっ!」


 いきなり春が飛びついてきた。

 高校生にしては平均的な胸がぎゅーっと押し付けられる。

 と浮かれていたが、俺達はある事を忘れていた。


「あのー……申し上げにくいのですが、他のお客様も居られますので、早く降りていただけないかと……」

「「ご、ごめんなさいっ!」」


 バスに乗っていた人達がクスクスと笑っている。

 確かに傍から見れば不釣り合いだろう。

 それでも、いつか釣り合うような男になってみせる。

 俺はこの日から春の彼氏になった。

 つまらなかった日々とはもうおさらばだ。

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