イリヤ
皆、日頃から思っている事があるだろう。
それは受験だったり、就職だったり、夢であったり。
その日私は「異世界に行き世界を救う」ことについて考えていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふっふふんふー」
前々から欲しかったアニメグッズを手に入れ、ホクホク顔で帰宅。
さっそくマイルームにて開封し、拝め始める。
「ああ、幸せなり」
この時間が最高だ、きっと他の人達もやっているだろう。
「おっと録画していたアレを観なければ」
ふとアニメを録画していたのを思い出し、テレビのリモコンを手に取る。
「さあ、今ここに現れよ!」
そんな中二臭いセリフを吐きながら電源ボタンをポチる。
「ブォーン」
明らかにいつもと違う音がしたと同時に魔方陣がテレビ画面に浮き出た。
「ファッ!?」
咄嗟のことに弱い俺様は手に持っていたリモコンを足の小指に落とす。
「いったい!……じゃない!それどこじゃない!なにこれ!?」
刹那魔方陣から何かが出て来た。
何かと表現したのはそれがかなりの速度エネルギーを持っていてわからなかったからだ。
そしてテレビに映ってた魔方陣から出て来たということは、正面にいた俺にぶつかるわけだ。
「ゴフッ」
何かと共に壁に飛ばされ崩れ落ちる。
「いってえ……って、え?」
頭をさすりながら何かを見てみると。
「銀髪ストレートの超美人……」
そこまで言ってハッと我に帰る。
「いやまて何がどうなってやがる」
テレビを見れば魔方陣は消えており、飛んで来た少女は気絶してるのか目を瞑ったままだ。
「なんていう王道展開……とりあえず、布団に寝かすか」
下らないことを言いながらも珍しく素早い動きで布団を敷き寝かせる。
息はあるようなのでしばらくすれば起きるだろう。
「ふむ、暇だな…………あ」
見渡せば部屋にアニメポスターがズラリ。
これは間違いなく関わってはいけない人認定されてしまうので早急に片付けを始める。
「起きるのはもうちょっと待ってくれーーーー」
先ほどとま反対の事を小声で叫びながら押し入れにグッズ諸々をしまいこむ。
「せ、セーフ……」
なんとか間に合い一人ガッツポーズを取る。
「ん……」
丁度いいタイミングで少女が目を覚ました。
少女は布団から体だけを起き上がらせ、目を擦りながら状況を把握しようと周囲をキョロキョロ見回している。
やがて側に突っ立ってる不審者を見つけ。
「だ、誰ですかあなたは!?」
バッと起き上がり臨戦体制をとる少女。
「落ち着け、俺はお前に何もしないし、ここは俺の家だ。叫んでも精々俺が親に八つ裂きにされるくらいしか効果がない」
叫ばれないよう必死に弁護する。
「十分あるじゃない……わかったわ、現状あなたは私に危害を加えるつもりはないのね」
助かった……叫ばれていたら警察を呼ばれていたことだろう。
「理解してくれて助かるよ、俺の名前は佐藤太一。そちらは?」
「サトウタイチ…?変わった名前ね。私はイリヤ……俺の家って言ってたけどここは何処なの?」
互いの名前を知ったところでイリヤは自分が何処にいるのか気になるようだ。
「日本って国だね」
とりあえず国名を言っておく。
「にほん?ニルンじゃなくて?」
いやニルンってどこだよこっちが知りたいよ。
どうやら似た地名があるらしい、そしてやはり日本を知らないようだ。
「ニルンじゃなくて日本、他にもアメリカとかイギリスとかいった国があるけど心当たりは?」
首を横に振るイリヤ。
やっぱりそうか。
「うーん、どうやら君は別の世界から来たみたいだね」
所謂異世界人、まさか自分が行くのではなく向こうから来るとは。
別の世界?と首を傾げるイリヤ。
「そ、多分間違いない。君は戻る手段とかある?テレポートとか」
帰れるようなら帰ってもらった方が彼女の為だ、あまり別の世界とは干渉するべきでなさそうだし。
「一様テレポートの魔法は教えてもらってるけど、初めて使ったのがつい最近なのよ、具体的にはここにくる直前」
「……」
「……」
先は長そうだ。
次回はいつか投稿します。