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なりわい  作者: とら
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VS 獣王 デビュー後のとら③

since2001~


約3~4ヵ月間(週間イベントだったので毎日ではない)の激戦が終わり、A店にはまた平穏な日々に戻りました。


しかし、その後はシオサイの設定5、6の台数が少なくなり探すのも一苦労になっていきます。


それでも狙いを絞ればそれなりに掴むことが出来ていました。


今思えば、シオサイの終焉が近かったのでしょう。


そんな時期でした。


AT機なる獣王がホールデビュー。


するやいなや、徐々にホールを獣王が席巻していきました。


私達グループの獣王の評価は、ドラゴン先生を始め全否定。


【素人が打つスロット】


こんな評価でした。


私自身もこの機種に魅力は感じていましたが、ドラゴン先生を始めとする意見に流されているのでした。


それに、シオサイに固執していたため周りが見えていなかったのです。


獣王がでて半月が経つ頃、いつものようにシオサイを打ちに行く日のことでした。


この日はサラリーマン時代のシオサイ友(O氏)と行く予定でしたが、O氏が


‘俺は獣王を打ちにいく’


そう私に言ってくるのでした。


私はO氏とはシオサイの通常時判別技術を得るときに切磋琢磨してきた旧知の仲。


彼に


《シオサイを捨てるのか!》


そんな感じで怒りの感情を剥き出しにしたのをよく覚えています。


O氏は


‘そうじゃない、ちょっと気になることがあるんだよ’


*獣王の解析がでる前の話です。


私は感情的になっていたため、彼の言い分も聞かず、シオサイを打ちにいくのでした。


それから二週間が過ぎた頃、その日はO氏とシオサイで一緒になり、話題は獣王のことに…


O氏の話を聞くと獣王の設定6は容易にわかるんじゃないか!


そんな話でした。


よくよく話をきいてみると、獣王の設定6の挙動を詮索していたとのこと。


私は話を聞けば聞くほど自分自身が恥ずかしくなってきました。


私の‘探求心’はどこに…


《ちょっとシオサイができるからと自惚れていたのは誰?》


《努力することを怠っているのは誰?》


〖これでは、弟・オラたちなどと微塵の変わりもない〗


私の初心はどこに……


自分自身を見失っていた自分が本当に情けなく、愚かだと心で泣き叫びました。


私は自惚れて自分を失いかけていたのです。


無能な男のはずなのに…



O氏の話を聞き私は目が覚めました。


【獣王こそが私の望んだ時代の始まりだ】


そんな感覚さえありました。


誰が批判しようとそんなことは関係ないと。



私は獣王のゲーム性は雑誌などである程度把握していました。


というのも二週間前の獣王の新装で少し打って興味はもっていたのでした。

打ってビックリ!

その斬新なゲーム性をさっぱり理解できません。


《なぜ?》


と思うところを雑誌などで調べてはいたのです。


本気で打とうとは思いませんでしたが…


まだ完全解析が出るのはこれより1ヶ月後ぐらいの時期でした。


‘設定6は容易にわかる!’


O氏の見解でした。


この時期に私の地域のホールでは獣王の設定6はあまり使われなかったのですが(人気爆発はもう少しあと)、たまたまおかしな当たり方を目撃して詮索していたとのこと。


少し詮索すると設定6の挙動はハッキリと見えてきたのでした。


《こいつはイケる!》


私の見解もO氏と同じでした。


しかし、なかなか設定6を使うホールがありません。


仕方なく、イベント(並び順なので台確保が大変)に並び勝負していくことに…


私は今まで、基本並ばずに勝負になる機種を選ぼうとしていました。


そこには…


私達グループは全くまとまりが無く個々バラバラ、グループと表現してはいますがそう呼べる状況ではありません。


しかし、それとは裏腹にスロットの知識・技術介入力(目押し技術)は抜群にある連中が集まっていました。


これは、やはりドラゴン先生の影響力だと思われます。


ドラゴン先生は日々


【早く並ぶのは素人】


【難易度の高い目押し技術があってこそ】


と、その他の技術介入要素の話をするときにもこんな話を念頭に置いて立ち回りの話をしていました。


しかし、私には精度の高い目押し力はありません。



むしろ、


なんの努力もせずに得た‘目押し技術’になんの意味があるだろうか?



しかし、ドラゴン先生を始めとするその他のスロプロメンバーもほぼ全員が最初から直視。


それに加え、目押しセンスも抜群だったのです。


【目押し自慢】


それは私には、普通にスロットを打っていてなんの苦労もなく見えるようになっていった奴の戯言にしか聞こえなかった。


この時、既にドラゴン先生の考えには賛同しかねる自分がいたのでした。


とはいえ、世は目押し難易度の高い機種がまだまだ多い時代。


《私の目押し力ではとてもこなせない…》


こんな葛藤があるさなかでの獣王に私の中では‘一筋の光’が見えてきたのでした。


私が獣王を本格的に狙いに行くとほとんどのプロ仲間は否定的。


この時期になっても


【プロの打つべきスロットではない】


このようなことを、皆一様にいっていたのをよく覚えています。


《ある程度の目押し力で誰にでもできる》


そんな獣王を素直に受け入れることができなかったのでしょう。


私はドラゴン先生の論理に反し、獣王の設定6狙いに奔走しました。


すると、何軒かのホールのイベントで設定6を使っているのを確認し、そのイベント日(約週2日)だけは獣王を狙いにいきました。


毎回、二択、三択、四択と狙いを絞りその中に設定6が大概入るのですが、念願叶いません。


気がつくと一度もツモることなく、3ヶ月が過ぎようとしていました。


《これだけやってもツモれないのか》


さすがに嫌気がさしてきます。


しかし


《腐ってもいいことなんかない!》


自分自身を奮い立たせることに四苦八苦。


それでも、諦めることはしません。


機種も狙い所も間違ってはいないのだから。


念願叶ったのは3ヶ月過ぎた頃の、とあるホールのリニューアルオープンでした。


その日は12時オープンだというのに人はまばらで獣王のコーナーにも空きがあります。


私は2台目でついに獣王の設定6をゲット!


ついに……


もちろん、閉店近くまで打ち切り出たコインの枚数は…


約500枚


《やっとツモれたのにこんなことあるのか!》


あんまりの内容に心は折れていました。


しかし、明日は必ずまたきます。


折れた心を繋ぎ直し、据え置きにチャレンジすることにして明日を迎えます。


この頃になってやっと私達グループの中で獣王に興味を持ち始めた人がポツポツと出てくるのでした。


あんなに否定的だったのに…


翌日は早く並び、据え置き台をゲット、数回転で違和感に気がつき据え置きを確認!


昨日の閉店間際に引いたビックがボーナス後、無音になるプレミアム(店内がうるさく気づかなかった)だったらしく、今朝も無音だったのだ。


ほぼ据え置きが確定し、またも1日中ブン回し、本日は万枚オーバー。


素直に嬉しかった。


驚いたのはこれより一週間、毎日獣王の設定6をツモり続け、初日以降は連日の万枚オーバー。


自分の努力が報われた気がしました。




獣王の解析が出た時点で、設定6の甘さが全国的に知れ渡りました。


まさに


ローリスクハイリターンそのもの。


《これを打たずしてプロといえるのか?》


その言葉は皆には言わず、心の奥に閉まっておきました。


この年はAT機が人気爆発。


Aタイプの機械割(設定6約115%)に対してAT機の機械割は150%オーバーと破格でした。


これだけの機械割だと設定の判別も比較的簡単な機種が多かったと思います。


全国的にもスロプロを名乗る輩が多かった時期でしょう。


結局、私達グループ では最終的に


【獣王最高!】


という評価になるのでした。


……最初、オレになんて言っていたのかもう一度聞きたいモノだ。




これより、爆裂AT機時代の幕開けになります。


AT機に否定的だった輩も皆一様にAT機へと流れてきました。


ドラゴン先生だけは技術介入機を打ってはいましたが、次第にAT機へと赴くのでした。


どの機種を打つか決めるのは打ち手だが、どのような機種を世に送り出すか決めるのは世論なのだろう。


いつまでも打ち手により、不平等なスロットが支持されるはずはないのだ。


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