VS B店(下) 腐敗
私達の力関係は完全に逆転しました。
ホールに都合が悪くなることをすると、出禁の対象になるからです。
イベントの内容と実際のイベントが明らかに異なっても、誰も文句を言わなくなっていきました。
あれ程、横柄だった常連も大人しくなり、藤の功績はホール上層部で著しく評価されていたことでしょう。
ガセろうとも、ストック機のストックを消そうとも、誰も文句を言わないのです。
いくら設定6といえど、南国育ち・カイジ・黄門ちゃま・ガッツ石松・吉宗、等々の4号機でもストックを消されれば、設定看破も難しくなり、スタートダッシュは望めない。
また、南国育ちはストックが貯まるまで連チャンせず設定6特有の当たり方がしないため、行方不明状態。
カイジ・黄門などは設定6特有のあまり超えることのないゲーム数を何度も超えたり、吉宗などはボーナス中に1G連確定の‘八代将軍’がボーナス後に消えたり、1G連がレギュラーだったりと散々な有様。
要するに、かなりのペイアウトが落ち、5台しかない機種でも設定6を探すのがより困難になるのです。
ストック機のストックを消して利益を上げようなど、とても優良店だったB店のやり口とは思えません。
このように藤はあらゆる手を考えて、ホールに利益をもたらせたのです。
また、ホール側の上層部は
《利益さえ上がれば》
なんでもいいのでしょう。
この先、そういった行為に拍車がかかりガセイベントが誕生していったのだから。
私は藤と、ほどんど面識が無かったため、素知らぬ顔で銀河英雄伝説を打つことができ、バラエティーコーナーを始め、B店をアグレッシブに攻めることができましたが、B店の状況が悪くなる頃にはかなり目立ってしまいました。
結局、私は藤と対面することはありませんでした。
なぜなら、私がB店へ戻った時には、彼は既に店長より上のエリアマネージャーなる役職に就いていたので、彼が1店舗にとどまることはなかったのです。
彼は数店舗のトップに立っていました。
私は藤が変えていった営業形態は大きいと思いますが、根本的にはホール上層部の腐敗と慢心がこのような営業形態を生んだのだと思います。
ホール上層部が‘目先の金’を取りに行ったのでしょう。
私はB店で育ちB店には、ただならぬ愛情と感謝の気持ちでいっぱいです。
もちろんぼったくりホールになどは、なって欲しくありませんでした。
そして我々を殺すなら…
《正々堂々とホールで殺してほしい》
そう思っていました。
私達チームはB店に約半年ほど通い、また他ホールへと放浪していきます。
この頃ぐらいから、物凄い勢いで県内のホール情勢が変わっていきました。
県内の業界全体が、このB店のような形態に変わっていくのです。
この営業方法が‘成功例’として、営業形態のモデルとなっていったのでしょう。
《いかに設定を使わずに低設定を稼働させるか!》
私達玄人からすれば、ホールの意図が丸わかりの営業形態。
きっと、上層部の人々は目先の数字しか見ていないのでしょう。
《利益が上がれば方法は問わない!》
もちろん、ホールとて伊達や酔狂でやっている訳ではないだろう。
しかし、いつまでもこんな営業方法が長い間、持つはずがない。
現に客足が少しづつ‘途絶えてきている’ではないだろうか?
今こそ、原点回帰するべきだろう。
そこにホールの明るい未来があるのではないかと、私は考えていました。
作り笑いの営業で一般客は、いつまでも騙されてはいないのだ。
この時、私の思っていた未来予想図が今現在(2016)、予想通りになってきています。