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なりわい  作者: とら
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VS おらたち  デビュー後のとら②

since2000~


プロデビューして5ヶ月が経つ頃、車で約1時間半ぐらいかかる地域のプログループがA店にやってきました。


目当ては私のメイン機種にしていたシオサイ。


機種などがかぶるのは日常茶飯事のことですが、このグループは5~10人ぐらいのノリ打ちで大騒ぎです。


自分達はなるべく‘目立たない’をコンセプトに行動していたので、迷惑この上ない話。


もちろん、技術介入から設定判別までやっていました。


そもそもシオサイ30の技術介入は凄く簡単で効果の高いものでした。


通常時はチェリーを狙い+チェリーが出れば、はさみ打ちするだけです。

ビックボーナス中も簡単な目押しでこなすことができました。


しかも、この当時の沖スロは年齢層も高く、高設定(5.6)を使っているホールならば容易につかむことができたのです。


この他地域のプログループは、どこのホールにでも早く並び人数をかけてシオサイの5.6をほとんど奪うようなやり口でした。


これだけ目立てばホール側も対処しないわけにはいかなくなります。


大騒ぎ&鬱陶しいことこの上ないので、他の客からのクレームも多々あったことでしょう。


あちらこちらで出入り禁止になり、A店へと進出してきたのでした。


しかし、この話は後日談でわかったこと…


今は相対するしかありません。



A店の初イベントでこのグループの実力が見えていくのでした。


私はシオサイを探して打っている様子を見てすぐに気付きました。


《設定判別法を全く理解していない》


その他の技術介入要素は簡単なので問題ないでしょうが、設定判別に関しては正直、話にならないような感じなのでした。


シオサイの設定判別は簡単なのですが…


‘理解する’ことと‘知る’ということは全く違うことなのです。


彼らは‘知る’要するに上っ面しかわかっていないのでした。


その証拠に通常時判別は問題外で、ボーナス後のノーマルな判別法ですらいつまでやっているのか…


といった具合です。


そもそも彼達はスロット自体を理解していないのです。



本人達的には


『シオサイを打たしたらオラたち以上はいねー』


てな感じだったのですが、私達からしたらまるで話になりません。


それこそ、二年前の判別覚え立ての私の方ができたのではないかと本気で思うぐらいの有り様でした。


彼らは‘おれたち’と言っているのが、私達には‘オラたち’と聞こえたので彼らの通称は‘オラたち’になっていました。


おそらく‘オラたち’は他のホールで判別技術のない人を相手にしてきたのでしょう。


私達グループの判別技術を


『信じられない…』


通常時判別に関しては


『そんなことできるわけねー!』


といった感じでした。


ボーナス後のノーマル判別はちょっと覚えれば簡単に出来たと思います。

しかし、通常時判別の設定5は難易度の高い技術でした。


もちろん、私も技術習得に四苦八苦しています。


私はデビュー前に無能なる自分を知っていたので、無能を補うために必死の努力で判別技術を磨きました。


なぜなら…


《設定判別法は理解すればキッチリとできるから》


直視を持たない私には、それを他で補わなければならなかったのです。


それは、高度な目押し技術が必要とされるスロットがどんどん世に出てきた時代を生きるための術でした。


もちろん、直視のトレーニングも時間を見つけては行っていましたが…


私はよっぽど不器用なのでしょう。

全く見えるようになりません。


私の判別技術はこういった経緯により、必要不可欠なものになっていました。


それと同時に‘探求心’を追求する糧になっていったのだと思います。


《なぜ?》


一つ一つの疑問が私を成長させてくれていたのです。




A店でのシオサイ争奪戦は私達グループ(7~8人)の圧勝でした。


結果も実力差も明白です。


私達のグループは全員が設定5の通常時判別をマスターしていたのです。


1日、2日での勝敗ならわからないものになりますが、1週間もシオサイ争奪戦をすれば、勝敗の行方はハッキリしていました。


結局の所、数ヶ月間のイベントで争奪戦を繰り返しました。


彼達のいい所は、どんなに当たらなくても掴めば閉店まで必死で打つ、この姿は立派なところでした。


オラたちの最大の弱点はそれこそ‘有頂天’による‘自惚れ’です。


‘自惚れ’が今以上の成長を妨げているのは一目瞭然でした。


この数年後にシオサイの後継機‘シオラー’がホールにデビューし、その差がさらに歴然となっていきます。


やはり、‘自惚れ’というものは恐ろしい…


私も‘自惚れる’ことがあれば、きっと初心を忘れてしまうことなのでしょう。


初心を忘れた私が生きていける程、この業界は甘くはありません。


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