とら外伝 結果と内容
……これは私のプロデビュー前からの考えである……
アクションをおこせば結果は良かれ悪かれ必ずついてきます。
しかし、なんの努力もなく得た結果が最高であってもそれは一時だけのこと。
私がプロデビューする前から考えていたことです。
《皆さんは結果と内容どちらが大切だと思いますか?》
私達は結果を出し続けなければ成立しない(生活できない)仕事です。
ドラゴン先生は当初、常に
【結果が全て】
と、言っていました。
それを聞いていたグループ皆が‘結果が…’と言うようになっていきます。
しかし、ドラゴン先生は当初
【結果が良ければ全ていい】
とは言っていません。
ただ…
プロである以上、結果が全てと言っていたのです。
彼はプライドが高く、誰とも相容れないような男。
鋭い洞察力、正確な目押し、どちらも兼ね備える
《天才タイプ》
しかし、その高すぎるプライドが影を落とし、スロプロ仲間(以外とも)とは必ず揉め事をおこして、自ら孤立していきました。
私達の関係は完全に‘金’が間に入る間柄になるので、必ずその人間の本性が現れます。
皆が金の前では隠したいはずの本性を現してしまうのです。
ドラゴン先生とて、その部分は皆と同じでした。
私はプロになる前から色々なプロスロッターを見てきましたが、今までに彼以上を見たことがありません。
当時の目押しの正確さは群を抜いていました。
どの機種を打っても正確無比な目押し&洞察力で攻略していきます。
目押し技術とは何回か成功すればいいのでは無く、1日中集中力を切らしてはダメなのである。
これを毎日こなし、推測と考察して立ち回り、キッチリ結果を出すのだから凄いとしか言えなかった。
彼の技術&知識は共にプロフェッショナルなのだ!
新機種の推測なども見事なものだった。
*当時は雑誌の解析が遅く、解析前の推測が大きく戦果をあげました。
しかし、いつしか…
天才というのはその抜きん出た能力のみに頼りがちになるのだ。
《自意識過剰》
彼は次第に
《結果、結果》
と目先の結果にこだわって変わっていくのでした。
私には‘運勝ち’を本気で‘結果’と受けとめるようになっては
《雲を掴める》
と言っているようにしか聞こえなかった…
私は初めて彼と出会ってから、彼に強烈な憧れがありました。
しかし、AT機の議論で正直失望。
《いい内容を認めない》
その天才的な目押し力・センス・度胸・新機種への対応力と、どれをとっても素晴らしかったが…
彼の高いプライドが、少しずつ全てをぶち壊して、バランスを崩していくのである。
《どんなに才能があっても心が腐っていては成功などありえない》
その裏にはやはり
‘自惚れ’
があったのだろう…
彼ほどできれば自惚れるのもわかる。
しかし、それによるミスを反省しないと、後に取り返しのつかないことになっていきます。
強引に自分の言ったことを正当化すれば、スロットで勝つための初歩的な論理が変わっていってしまうのです。
私は最初から内容を重視しています。
理由も明確で
いい内容には、最終的に必ずいい結果がついてくるものです。
たとえ、数回の結果が悪かったとしても、内容が良ければ変えることはありません。
人と人の論理に答えはいくつもありますが、数字の答えは必ず1つしかありません。
《その1つしかない答えにどのようなアプローチをするか?》
これを突き詰めて、私は今の今までやってきました。
《常に戦略内容を自分自身に問いただす》
これはプロと名乗るのであれば、当然のこと。
内容あってこその結果だろう。
どんなにいい仕事をしようとも
根底が腐っていれば、滑落していくのは簡単なのだから。
私は、これまでも自らの自惚れにより自分自身を見失ってしまう人々を沢山みています。
私はこのような人々を反面教師と捉え、自分自身を構成できたのは幸運だったのでしょう。
なぜなら
私自身も収入を得られなくなった時点で、ただの‘くず’でしかないのだから。
結果が欲しいのなら
それに準じる内容を考案しなさい
思考は重ねに重ねて
深く、より深く、さらに深く
考案するのが人である限り
その策が
完璧であるはずはないのだから。
結果ばかりを求めるうちは素人なのだろう…
内容を求めてこその、結果だと私は考えています。