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なりわい  作者: とら
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VS D店 敗北



まだ未熟で不協和音に耐えることのできなかった自分…




私はドラゴン先生を裏切りました。


その結果、逆にD店の常連グループ(一部を除く)に裏切られたのだろう。



覇権を失いD店を追われ私は1人、他ホールに向かうようになりました。



この1年間、他ホールの情報収集などは全くしていません。



裸一貫での出直しになります。



D店のホール状況はドンドン悪くもなっていった時期ではありますが、全く情報収集していないホールよりはよっぽどやりやすかったのを記憶しています。



私は暫く、呆然としていましたが収入がなければ生活ができないので、またホール探しに奔走していきます。



一方、D店はどうなっていったのかと言うと…



私が通わなくなり、ドラゴン先生のワガママ放題。


彼の常連への態度も悪くなる一方でした。



これは(のち)にD店の常連が話してくれたことです。



私がいなくなると、彼はD店で勝ちまくる、自分より優秀な常連連中を妬み出しました。


私がいた時、あれ程仲良くしていた姿はやはり‘嘘’だったのでしょう。



おそらく、彼は店長などにも異議申し立てをし、その常連連中を抹殺(出禁)しました。


自分は勝ったり負けたりと一般客と変わりないことをいいことに店長に異議申し立てをしたのです。



彼の子供じみたプライドが自分より優秀だということを受け入れられなかったのでしょう。


地域密着型のこの小さなホールでは常連(プロではない)が言うことはたとえ小さなことでも反映されやすかったのも事実です。



D店グループの常連は彼に文句も言えず、皆消えていきました。



それもそのはず、彼等(かれら)はスロットへの理解はありますが、このような揉め事は苦手で話になりません。


いつもは何かあると大抵私が間に入り、落とし所で解決するのですが、もうそれもかないません。


彼等は自分達の死期を早めただけなのでしょう。




数年後再会した常連が



《あの時、とらさんの言っていたことは本当でした》



《あんなに酷い人だとは思わなかった》



《とらさんがいてくれた方がよかった》




と、私に後のD店の惨状を話してくれました。



私はいずれこうなることもわかっていました。



後でわかっても時間は戻ることはありません。



《後の祭りである》



D店グループは彼に壊滅されたといっても過言ではないでしょう。



しかし


たとえあの時、私を指示したとしてもD店グループはいずれ消えていく運命だったと思います。



私にも皆をそこまで生かす理由も義理もなかったのだから。





あれから約10年近くの月日(つきひ)が流れました。



あの時から、私はドラゴン先生と1度も話をしていません。



しかし、その後の彼が如何に墜ちていったかは手に取るようにわかります。



根本的な改善を図らないと人間として今でも良くなってはいないでしょう。



D店で死に絶えた彼は、その後何をやっても上手くいってない話ばかりを耳にしました。



彼が仕事をしても‘どうしようもない’という話しか耳にしません。



彼のことを伝え聞くと皆一様に



《言っていることとやっていることが全然違う》



こう言うのである。



とどのつまり、私の予想どうり。



その結果


《使い物にならない!》


という評価。



彼は能力はあるのだが、悪い部分が改心されていないのだろう。



‘ひねくれた子供’のような男が社会で通用するはずはないのだ。





一方、私は信用していた連中に裏切られ一時的に大きな精神的ショックを受けていました。


いっそのこと、ホントにこのままスロ生活者を辞めてしまおうかとも思いました。


それだけ、人間不信になっていた時期です。


私は自分の精神的弱さを身をもって感じました。


それと同時に


《この程度でうろたえて恥ずかしい》


そう思いました。


私は反乱(クーデター)に対する‘覚悟’が足りなかったのでしょう。




しかし、私には家族がいます。


私のワガママでスロ生活者になった責任があります。



そして、このまま負け犬で引き下がるのは絶対に嫌でした。



《どのようなことにも対応できるようにもっと精神的に強くならなければならない!》



私は今回の甘い考えでの反乱(クーデター)を猛反省し、自分自身を再構築して再出発することを決意しました。


私は立ち直り、また他ホールにて転戦を繰り返していきます。



徐々に持ち前のひたむきさを取り戻していったのです。



ドラゴン先生と物別れしたD店にはこれ以後1度も行くことはありませんでした。






私が見てきた中で最高のスロッターはこうしてこの生業の終焉を迎えるのでした。


今思い返しても、彼は最高のスロッターだったと思います。


ちょっとしたボタンの掛け違えで私とは行く道が異なりましたが、間違いなく彼が私の中では最高のスロッターだったでしょう。






これまでも‘デカい口’を叩いていた沢山の同業者が廃業に追い込まれていきました。



ここまでいくと、私がデビュー前から思っていたことは間違いない事実。



彼等はスロットで‘遊んでいた’だけなのでしょう。



私は決してこのような輩とは一緒にされたくはない。



この生業がそんなに簡単に成立するはずはないのだから。








目を瞑れば



デビュー前を今でも思い出す



さっぱり打ちこなすことの出来ないクランキーコンテストを打っていた頃



あのホールにあの車で颯爽(さっそう)と現れるドラゴン先生の情景



それと共に



私の中で彼の代名詞でもある



コンドル揃いの音楽



それだけが頭の中で鳴り響く





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