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なりわい  作者: とら
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デビュー前⑨ 蟻とキリギリス


こうした経緯により、私の生業はスロ生活者へと転職していきました。


私は決して能力の高い人間ではありません。


目の前の問題点を一つ一つ解決して次のステップへと着実に進んできました。





デビュー直前のこの頃には、既に周りのプロ連中すらも



《遊んでいる》



ようにしか見えなかった。



《私の考えが間違っているのか正しいのかはこれからわかるだろう》



そんなことを思っていました。



願わくば、私を否定したすべての人々に怒りの鉄槌を喰らわしてやりたかったのも事実。


何よりも、私を小馬鹿にしていたあの上司には怒り以外なにもありません。


この怒りを必ず自分自身のエネルギーに変えて生きようと本気で思っていたのです。




プロフェッショナルとしての結果を出し続ける、それはしっかりとした収入を取り続けるということ。




あの時、オレを笑った輩を今まで1度たりとも忘れたことはない。





私は無能である


無能がゆえ何事にも愚直になろう


迷いが生じた時には必ず原点回帰すること


それでこそ自分自身を取り戻すことができるのだから




この頃から


俺は偶然で勝つことを本気で喜ぶことができなかった


それは


偶然で得た結果を誇らしげに‘結果’というプロ連中がたくさんいたからだ


それを見て俺は本気で恥ずかしいことだと思っていた



偶然を何度も同じように取りにはいけないだろう


その行為は‘雲’を掴むようなものだ


プロなら取りに行くのは絶対に


《必然》


のはず




偶然を本気で取りに行くようになったら


それは根幹が変わってしまったということ


すなわち、もう俺が俺ではないということだろう



必然を取りに行っても偶然は必ず付いてくる


偶然とは誰しもが起こり得ることなのだから。





無能な俺は蟻になろう


愚直に生真面目にコツコツとやることぐらいしか俺にはできない


他のプロ連中が皆、キリギリスに見える


どんなに高い能力があれど、磨かなければ光ることはない


冬になって死ぬのはキリギリスだろう




俺は絶対に蟻を貫こう。






こうして、私はスロ生活者として本格的にデビューし、デビュー後の話へと繋がっていきます。



私は今でもこの当時に思っていたことをよく思い返しています。


今でも自分の根幹に変わりはありません。




冬時代に自然淘汰されてしまうのは、必ずキリギリスなのだから。


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