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なりわい  作者: とら
17/61

デビュー前⑦ 退社 


決してサラリーマンという職業が悪いわけではないのですが…


私は工場員の仕事をしたくて、していたわけではありません。


これは世の中の大半の人が


《そんなことを思っているのではないか?》


と思います。




《オレはこんなもんじゃない!》


私は仕事をしていた若いときにいつもそう思っていました。


しかし、実際には


《そんなもの》


要するに私の評価は妥当なところだったのです。


そして、それは世の中の正当な評価なのでしょう。


私は何の努力もせず、惰性で会社に入っていたのだから。




そんな私は6年ほど働いた部署から他の部署へと移動してからの話です。


生意気で世間知らずな私を可愛がってくれた部署からの移動でしたが、不安などは全くありませんでした。


しかし、新しい部署で最初から私は全くアジャストすることはありませんでした。


それもそのはず、移動先の部署での私の立ち位置は


‘使い物にならない’


という評価だったのだから。


つまり、使い物にならないから部署を移動してきたという認識。



この評価は間違ってはいないのかもしれないが、そんな私を上手く使うのが上司たる者の仕事だろう。


私の移動先の上司は全く器量を感じさせない男でした。



《立場の強い者に媚び、弱い者を叩く》



《サラリーマンとはこのような(やから)蔓延(はびこ)る所なのだろうか?》



先の部署の人々とは全く違う人種


若輩者で世間知らずな私はこの現実を受け入れることはできなかった…



この上司は過去に私と同じ様なケースで何人かを退社に追い込んでいました。


私は結婚して、子供が2人いたので


約2年間我慢したのですが、最後にブチキレて反抗


退社することに…


このような流れでのスロプロデビュー。


ホントにどうしようもない…





アマチュア最後の半年はほとんどシオサイ&花火を打っていました。


どんなに当たらずとも不動の心を手に入れて、自分としてはホールで戦っていくには万全の準備が出来ている頃。


そして数々のスロプロを見て、色々思っていたことを試してみたいと思っていました。



そんな願いが…


本気で望んではいなかったのですが、叶ってしまいました。


これからA店&B店をホームにやれるだけ頑張ろうと思いプロフェッショナルへの道を志していくのでした。





私はこの時、既にドラゴン先生とは袂を別れていたのだろう


彼の思想とはかけ離れていたのだから。


私は彼を‘師’だと思ったことは一度もない


しかしながら、彼が私にキッカケなるモノをくれたのも間違いない


感謝と尊敬の気持ちはあるが、それ以上に残念でならない気持ちが大きかったのも事実。



私達グループは私がプロデビューする頃には紆余曲折しながらまとまり始めてきましたが、結局最後は物別れに終わってしまうから。



これより以後、私はスロプロなる生業へと転身していくのでした。


《勝つために一番チャンスがあるとこはどこか?》


この問いの答えを探し続けて…





俺は今でも夢をみる


あの工場であの上司に理不尽に人権無視された時の日々を


二十年近く経っても、今尚見続ける


《やめたんだ、よかった》


起きたときの気分は最悪



そして


自分の無能さをつくづく痛感する


いつもそう



なぜなら


あんなしょうもない上司すらどうすることもできなかったのだから。




あの時


俺の心は既に殺されていたのだと時間の経過とともに気づく


そんな俺を立ち直らせてくれたのは


きっと


パチンコとスロットなのだろう


なにを嘆くヒマもないぐらいの情熱を注いだのだから


たくさんの人に無理だといわれる生活にチャレンジすることが自分自身のモチベーションへと変わっていったのだろう


自分自身を立ち直らせてくれたこの生業には、感謝する気持ちしかない


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