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数多神語り  作者: kusina
5/5

第伍幕

「さぁ!!パーチーの始まりじゃっ!!」

全身を白のロリータファッションで固めた白髪で目が赤い少女は段の上から声を張り上げた

一斉にグラスを皆が掲げ乾杯をする

一様に着飾った人々が料理や酒を楽しむ中で着物を着て簪で髪を纏めた少年は壁にもたれ掛かり隣のスーツの少年に退屈そうに呟いた

「なぁ蝦?お祖母様、また若返ってないか?」

「本当に楪様は同じ種族か疑いたくなるよなー?この前は20歳位じゃなかったけっ?」

「お祖母様は、年齢不詳だからな…

自分でも、たまに分からなくなるってこの前メール来てたよ?」

飽きれ気味で答える少年に、赤いドレスを着た整った顔でフランス人形の様な少女が走ってきて飛び付いた

「紫蘭様っ!!会いたかったですわ!!

最近、メールも電話も返して下さらないし、文も返事が頂けなかったので…

蓮華、浮気かと心配でしたっ!!」

「蓮華さん?痛いです?後…その…当たってます…」

体当たり当然に抱き付かれ、よろめいた体を立て直した紫蘭は顔を赤らめながら声を捻りだした

「わざとですわ?紫蘭様にちゃんと蓮華の形と柔らかさを覚えて頂かなとっ!!」

「あの…その…」

さらに頬を染め、困り果てるのを眺め笑いながら蝦根より着飾れたスーツを着た紫蘭に良く雰囲気の似た少年が近付いてくる

「蓮華?流石に離れてやれよ?紫蘭困ってるぜ?」

「あら?蘭?邪魔しないで頂けます?

着飾ってもやっぱり紫蘭様の美しさには勝てませんのね?

それにそのポニーテール似合ってませんわよ?」

「別に意識してね~よ!?お前らくっついてると百合みたいだな?」

「あら?僻みかしら?貴方は性格がひん曲ってますから彼女いらっしゃらないんでしょ?」

「俺には桔梗が居るからな?お前と違って控えめで可愛いな」

いがみ合う両者の間に水色のドレスを着た少年達と少し歳の離れた可愛いらしい少女が割って入る

「お兄ちゃん?蓮華お姉ちゃん?喧嘩は駄目だよ?

今日は、紫蘭お兄ちゃんとお兄ちゃんの誕生日会なんだよ?」

少し怯えながら両者を泣きそうな顔で見上げるが頭に血が上った少年達に届く筈もなかった

「お前は黙ってろっ!!」

「貴女は黙ってなさいっ!!」

声を揃えて少女を一喝するとさらに涙をためて走り去ってしまった

紫蘭は困り果て蝦根に視線を送るが、同じ様に困り果てた顔をして首を降られる

「いい加減にしなさいっ!!かえでちゃん泣かしてっ!?

恥ずかしくないのっ!?

紫蘭っ!?アンタも黙って無いで止めなさいっ!?」

黒い着物を着た沙羅は二人を一喝し問答無用で、二人の頭に拳を打ち込んだ

「痛いです」

「いってっ!!」

「いいっ!?次は阿修羅降ろすわよっ!?」

「申し訳ありません…沙羅様」

「ごめんなさい…沙羅姉ちゃん」

二人は青ざめて、蓮華は素早く紫蘭から離れすぐ横に並び、蘭は離れて楓のいる方へ歩いていった






紫蘭

一度何処かに言っていた蓮華さんは戻って来るなり頭を下げた

「お見苦しい所をお見せしました、申し訳ないですっ紫蘭様っ!?」

落ち着いたのか俺の横に並ぶと泣きそうな顔をして謝ってきた

「良いよ?蓮華さん?俺よりは楓ちゃんに謝ってあげて?」

「それは先程、謝りましたわ?あの…その…今回の事で…」

突然、おどおどしながら見詰めてくる

何だろう?意味が分からず返答に困っていると、蓮華さんの側にいた付き人の菖蒲さんが近付いてきて耳打ちしてくる

「紫蘭様?蓮華は嫌われてないか聞いてる…」

あぁー成る程な、別に蘭と喧嘩なんかいつもの事だしな

「大丈夫ですよ?ちゃんと言えない俺にも責任はありましたから…

それに、そんな落ち込んでるのは蓮華さんらしくないですよ?」

「その…出来ましたら頭を…その…」

頭をなんだろ?痛いのかな?

心配そうに見ていると横にいた蝦が笑いを堪えながら耳打ちする

「撫でて欲しいんだろー、ちゃんと分かってやれよー?大好きな婚約者だろー?」

あぁー頭をね?撫でれば良いのか?

意地らしいな、普段は大胆なのになー

えっ!?此処でっ!?

「いや…流石にそれは…此処だと少し…」

「やっぱり私の事、嫌いですか?」

「いや、そうではなくて…その…恥ずかしいですから…」

照れる俺を見かねたように菖蒲さんが蝦と向かい合う

「蝦根、撫でて…?」

「あのさーもう少しかわいく頼めよ?菖蒲?」

「嫌?…」

「嫌じゃねーよ?はいはい?」

あっ!?ポンポンしてるって言うか蝦は何で菖蒲さんにタメ口何だろう?

不思議そうに眺めていると羨まそうに見詰める蓮華さんが恐る恐る頭を差し出してきた

早くしろと急かす様に見詰める二人を見て

あぁー、もうっ!!撫でるよっ!!

覚悟を決めて蓮華さんの頭に手を乗せるゆっくり力を込めすぎないようにポンポンした…

心臓がはりさけそうだ、頭も少しぼんやりする…

「紫蘭様っ!!」

満面の笑みを浮かべて飛び付いて来た蓮華さんを受け止めると

「姫もやれば出来るじゃんー?」

「紫蘭様、ナイス…」

と二人はからかって笑いを堪えていた

満足した蓮華さんが体から離れて飲み物を取りに行ってる間にさっきの疑問をぶつけてみる

「そう言えばさ?蝦は何で菖蒲さんにタメ口なのー?」

「言って無かったけ?」

ちょうど蓮華さんと戻って来た菖蒲さんが蝦と見詰め合い

「俺」

「私」

「婚約したんだよねー」

「婚約した…」

はっ!?何て言った!? 婚約?何か良くわからない単語が聞こえた…

落ち着く為に歩いている給使をしている使用人から飲み物をぶんどる様に貰った

「若!?そちらはっ!?」

止めるのも無視して一気に流し込む

喉が焼けるように熱い、何だ?さっきよりも頭がぼんやりする…

「そちらは楪様のブランデーで御座います、斎?若にお水を…」

その会話を最後まで聞けずに俺の意識が遠退いた














さてさてパーチーも佳境じゃな

どれ?可愛い孫達の為に少し働いてくるかいな

「お義母様?どちらへ?」

「ちょっと疲れたわ、寄る年波には勝てくてのーっ!!」

皐さんは笑いながら妾を見送ったが感ずいておるじゃろうな…

流石はあの欅のよめさんじゃぁ、まぁそこがすきなんじゃが

さてと、今の内に「スーちゃん」と「閻ちゃん」連絡をしておかんとな

ん?あらあら、紫蘭ちゃん?それをイッキしたらまぁそうなるじゃろうな

本当に可愛い子じゃ、妾と葵、欅と槐でも断ち切れなかった物を押し付けてすまんのー

えーっとこうじゃったかな?

最近の携帯はボタンないから使いづらいのー

えっと、あったあった、「スーちゃん」と暫くコール音がなると繋がった


「もしもし、スーちゃん?そうそう?四人ばかしそっちに送るから少し鍛えてくれんかの?

え!?あぁきっと、面白い物が見れるじゃろって

そうじゃ、クーさんにも宜しく言っといておくれ?

また、近い内に遊びに行くわー」

よしと後は「閻ちゃん」じゃな

えっと…あったあった

掛けた瞬間繋がるとは暇なんじゃろうか?

「あー閻ちゃん!?久しぶりじゃのー

そうそう、孫の件じゃなっ!!

うん、三人じゃよー

沙羅ちゃんの時と同じ様にしといてくれたら良いから宜しくお願いのー?

また、近い内に行くから温泉沸かしといてのー?」

さて後はあの子達の頑張りに期待じゃなっ!!

さて、そろそろ戻ろうかのー

おや?

「楪様、ご報告があります。」

影から懐かしい声がきこえる

「久しぶりじゃな、ダキちゃん♪なんじゃい!?」

ダキちゃんか、連絡とは珍しいの

大体良くない連絡なのが玉に傷じゃ

「各地に封印されている羅生門、及び塚が何者かによって解放されようとしております」

なるほどのー

「ダキちゃんでも解らんかい?」

おかしい、荼枳尼天にも捕まらずにそれだけの事を繰り返すにはよほど強大か、よほど巧妙でなけれ

「恐らくは…異国のモノかと、ナタク達や仙人も動いているようですから、裏に居るのはさっするに…」

あの狐はまだ諦めておらんかったのか…

一番、諦めが悪い

一番、目的も悪質じゃったしな

そうするに、沙羅ちゃんが知るのも時間の問題か…

うーん、困ったの

そうじゃ、うってつけがおった

携帯を取りだしメモリーを探す

「あった、あった、よしよし」

さてと、出てくれると助かるんじゃが…数回のコール音の後に眠そうな声がきこえる

「おはよう、悪いが調べものをしてくれんかの?

うむ、二羽のカラスを使って少しな

解っておる、ちゃんと詩で払うとも…」

電話を聞いておったのか、ダキちゃんは心配そうに

「申し訳ありません、私の力が足りないばかりに…」

と落ち込んでおるみたいじゃな

「なぁに、心配いらんよ?たまには詩でも吟いたくなっただけじゃよ」

そうなると少し急がんとのー

パーティーはお開きじゃな

もう少し、遊びたかったんじゃが残念じゃ







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