止められない衝動
「お疲れささまぁ。あれ?紗江ちゃん残業?」
『あ、南さん!はい。今日中に見積作らないといけなくてぇ』
「そうなんだ。手伝おうか?」
『あ、大丈夫です。』
「いいよ、手伝ってあげるって。せっかくの金曜なのに残業で終わるのはもったいないよ」
『でも、特に予定がないんで』
「あはは。じゃ、早く終わらせてご飯でも食べに行こうよ。おごるわ」
『ほんとですかぁ!なんかやる気出てきましたぁ』
「ははは。じゃ~とっとと片付けちゃおうよ」
『はーい』
南は紗江の先輩で憧れの存在。
仕事もこなし、後輩思い。優しくて厳しくて笑顔が素敵でスタイルもいい
だから男性からもよく食事の誘われているようだ。
誘いを受けているかどうかはわからないけど、きっと彼女のことだから
そんなことも“ソツ”なくこなしていると思う。
紗江は憧れの南が食事に誘ってくれたことがとてもうれしかった。
とにかく片付けようと集中した
「紗江ちゃん、こっち終わったけどどう?」
『あ、ありがとうございます。こっちはえーとー。。。あと3件です』
「ん。じゃ、それちょうだい」
『あ、大丈夫です』
「いいよ。貸して。それ出来たらどんどんまとめていっちゃいな。最後は紗江ちゃんの仕事よ」
『はい、わかりました。ありがとうございます』
ブルブルブルブル・・・・
南の携帯が鳴り紗江しかいなかったので南は自席で電話を取った
「もしもし。あ~お疲れ様です。・・・あ、まだ会社です。・・・え?これからですか?
あ~残念ですぅ。これからデートなんですよぉ。ウソですけど。アハハハ ええ、ええ。そうですね。すみません。はい。失礼します」
誰かからの誘いの電話のようだった
『南さんお誘いですか?あのワタシのことは気にしないでどうぞ行ってきてください』
「あ~いいのよ。大丈夫。今日は紗江ちゃんとデートだもの」
『いいんですかぁ?』
「もちろんよ、誘ったのは私だし。ところで何食べに行こうか?」
『お任せします。何でも食べれるんで』
「そう?ワイン飲める?」
『はい!』
「じゃ~ワインの美味しいお店に行こうか?」
『やった』
「ハハハ。う~ なんかお腹空いたね。早く終わらせよ」
『はーい!』
紗江はとてもうれしかった。同期の間でも南は憧れの存在で、自分も入社してから2年間、南には憧れてきた。
その南を独り占めするような気分だった
『南さーん、終わりました。』
「OK!おつかれさま。じゃ行こう」
『はい。どうもありがとうございました』
二人はオフィスを出てワインの美味しいイタリアンレストランに向かった