23:家に帰ろう
駐車場にある時計で時間を確認すると、二時半をすぎていた。自分でおもっていた以上に、友香と長く話していたみたい。帰る時間を計算すると、あまり買い物についやせる時間はない。
かけ足気味にモールをまわって、ソーマの日用品をそろえていく。靴のサイズがわからなかったのが痛い。なんで調べなかったんだ。しょうがないから、子どもサイズのサンダルを買っておいた。またあらためて、ソーマと買いにくればいいことだしね。
食料品は、自分で買うときの二倍ぐらい。お米の買い置きがつきかけてきたので、十キロの白米を一袋購入する。ちなみに、普段買うのは五キロの白米だ。いつもの二倍の重さだから、運び終わるころには腰が痛くなった。帰ったらソーマに責任とってもらうことにする。しっかりもんでもらわねば。
「とりあえずは終わったし、帰るかなあ」
道路が暑さのせいでゆらいで見える。部屋のクーラーはつけたままできたけど、ソーマはだいじょうぶだろうか……お得意の魔法でうまくやってたりして。
ただし、クーラーをつけているのはリビングだけだ。もしソーマがリビング以外のところでうろちょろしてたら、どうする? 出かける前のソーマの様子から、魔法はつかえるけどおもうほど魔力は回復してないみたいだから、あまりソレはつかわないだろうなあ。
「…………」
くそっ。だんだん心配になってきたぞ……。
ちゃんとおとなしくまてるのか。たぶん、いや確実に、無理。
階段からころげ落ちたりしてないか。服をふんだり、髪の毛をふんだりしたらありえる。
知らない人がきてもちゃんといないフリができてるか。打てば鳴る鐘みたいなヤツだから、期待できない。
電話にでちゃダメっていってるけど守れてるか。おもしろがってとってそう。
それから。
それから…………。
「――だぁぁぁああ! なんで昨日知り合ったばかりなのに、こんなに心配かけさせるのよ、アイツ!」
つい、ハンドルをおもいっきり叩いてしまった。
車は車体をゆらして私に不満をうったえる。ごめん、ちょっとだけ八つ当たりしちゃったわ。
「よし、帰ったら頭をわしわししてやろう。ぐしゃぐしゃになろうが、しったこっちゃないわ」
犬の頭をなでるみたいに。きっとギャイギャイ文句いうだろうけど。いいつけをしっかり守れてなかったら、もっと盛大にわしわししてやる。
「ヘソまげてたらめんどくさいから、ご機嫌とりでも買っとくとしよう」
ハンドルを左にきって、コンビニへ進路をかえる。
特大シューが売り切れてなかったらいいんだけど。