表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/31

1:七月七日

 すみずみまで書きもらしがないか確認した。鷹夫たかおさんにも確認してもらい、私は印鑑にベットリと朱肉をつけて、自分の名前の横に捺した。

 鷹夫さんは、私の顔を見ずにそれをそそくさと茶封筒にしまった。

「ほかに書くものある?」

「ない」

 どこか申し訳ない返事。

「なら行くわね。ほかに私がすることはあるの? あるなら手短にしてくれないかな。用事があるの」

「いやいい。大丈夫だ、なにもない」

 すりきれた赤いボストンバックを肩にかついで、三年間お世話になった家に背を向けた。

ゆかり、すまない」

 ドアを閉める前に、かすれた声で鷹夫さんの声がした。私はふり返らない。

「そんな言葉を吐くくらいなら、プロポーズしてほしくなかったわよ」

 七月七日。

 結婚式をあげた日と同じ今日、私たちは離婚した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ