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登校拒否女子ママは今日も忙しい

作者: 美月

初エッセイです。

登校拒否、それは天災のように前触れもなくやってくる。

その後どうなるのか、展開は未知数だ。家族でやるだけやって本人がやりたいようにやって、それぞれ納得するしかない。

結局、家族は他人であって本人にはなり得ない。主人公は本人だけだから。

どのシナリオが正解かは分からない。すべてはタイミングと本人の意思。タイミングと環境は思い通りにはいかないけど、本人とサポートする家族が最善を尽くすしかない。



それはコロナショックが明けようとしている冬だった。

体調が悪く、長く休んだ後、小学4年の娘は学校へ行けなくなった。

何故か行きたくないと言う娘に、何で行きたくないのか、原因が分かれば行けるようになるかもしれない、と必死になる親。

学校に行くように説得出来るかも知れないと、なだめたり怒ったりしながら毎朝いろいろやってみた。

冬休みに入る前で、1日でも出席しないと、3学期に出て行きずらくなる気がしてあせっていた。

私なら行けなくなるから。


登校拒否の対応セオリーで、無理に登校させることはやめよう、というのがあるのは知っていた。知っててもやってしまうことはある。

後でトラウマになったと散々言われたけど。


案の定、3学期から教室に行けなくなった。

誰かにいじめられた訳ではない。特に何かが起こったわけでもない。

ただ、娘の中の何かがイヤだと叫んでいた。

周りの声が大きいのがダメ。誰かに見られるのがダメ。自分の意見が言えない。みんなの言うことを聞かなくちゃならない。

着る服がない。髪型がヘンだ。どうしたらいいのか分からない。

まあとにかく困って泣いている。


困ってることを少しでも解決しようと、先生に相談したり、スクールカウンセラーに話したり、保健の先生にあったり、相談出来そうなところはすべて電話した。


でも解決策はなかった。

ただ、話を聞いてくれるだけだ。それで少し楽にはなるけど。

お母さんも大変でしたね。頑張ってるね。

お子さんもよく考えてるね。頑張ってるね。

大丈夫。今は大変かもしれないけど大丈夫ですよ。


泣きたくなるほど困ってると、心がカサついて、何を言われてもしみて痛い。

娘はなおさらだろう。

責められたりなぐさめられたり。

私も痛かったが、本人とは違う痛みだったろう。


長期戦になってからやっと、私は焦ることをやめた。

私が焦れば焦るほど、困れば困るほど、娘に向かう気持ちが刺々しくなるからだ。それでいいことは何もない。お互い痛いばっかりだ。


娘に付き合う時間が長くて、仕事もできなくなった。下の子をかまう余裕もなかった。泣きたいのはこっちだよと私も泣いた。


そこで私は私が出来ることしかしないことにした。

旦那がやってくれることは頼んだし、娘に付き添って引きこもることはやめた。

学校の部活のPTAも、子供そっちのけで引き受けた。このまま転校になったら無責任とか言われるだろうなと思ったけど、私は私がやりたいようにやるのだ。

娘は私じゃない。

私が娘じゃないように。


その後娘は5年生の1年間、行ったり行かなかったりを繰り返し、6年で不登校を辞める。

私だったら戻れないだろう。

私じゃないから戻れたんだろうと思う。


今も着る服がない、髪型が決まらないと泣いて休む日があるけど、次の日からまた登校出来るようになったので、焦らず休ませる事が出来るようになった。


これが正解だとは思わない。失敗とも思わない。過ぎてみれば、大変だけどいい体験だった。

これからも何が起こるか分からないけど、娘の1番近くにいる他人であろうと思う。


喉元過ぎれば何たらで、今は大変でもいつかは。

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― 新着の感想 ―
初エッセイとのことですが、読みやすく、一気に最後まで読み切りました。 娘さんは繊細な気質なんでしょうね。 髪型が、着る服が、どうでもよくても毎日学校に行ける子もいるけど、何かが気になって、怖くなって…
こんにちは。 辛かったですね。 読んでいて、心臓がキュッと絞めつけられるような思いがしました。 でも、なぎゃなぎ様本人が最終的に「やりたいことをやる」姿勢を示したこと。とても勇気のある、大切な決断で…
「娘は私じゃない。私が娘じゃないように」 この一文がとても胸に残りました。 親子なのに、いや、親子だからこそ分かり合うのが難しい場面がある。 血がつながっていても、歩んでいる人生は別で、価値観や感じ…
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