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82 クルクVSモク爺

ダンジョンマップにはホログラムで立体的にモク爺とクルクの迫力ある戦いが映し出されていた。


巨大化を解除しているものの元から巨体のクルクが地形を変える程の強烈な打撃を連打し、モク爺が大規模魔法でクルクにダメージ与え足止めをして距離を保つという展開だった。


感慨深いな、あのモク爺と俺の眷属が互角の戦いをしてるなんて、闇の魔王になった頃の俺には考えられなかっただろうな。


その頃マハルダも黒い炎を操って広範囲を焼き尽くすような強力な魔法を連発していた。


相手は2つ頭の者だった。


今は天使の様な身体ではなく、ダークウォーカーみたいな赤黒い闇人間になっており、頭は縦に2つあった。


2つ頭の闇人間は両手に赤黒い闇の炎を纏わせてマハルダに殴り掛かった。


マハルダが頭上に浮かせている黒い太陽から黒炎を抽出して操り、2つ頭の闇人間に向かって黒炎を送り込んだ。


2つ頭の闇人間は闇の炎の拳で黒炎の波を吹き飛ばし、マハルダのとの距離が近くなったタイミングで下半身を闇の靄化させて地面に闇を噴射させ爆発的な推進力でもって一気に距離を詰めた。


マハルダの虚を突き、赤黒い炎の拳でマハルダのボディを思い切り殴った。


マハルダが吹き飛んだ。黒い太陽も飛ばされたマハルダに追随して移動する。


2つ頭の闇人間は下半身を靄から元の足に戻して地面を強く蹴り、マハルダに追撃を試みる。


マハルダは起き上がりながら黒い太陽の一部を抽出し、掌の上に小さな黒い太陽を作ると、とんでもない勢いで向かって来る2つ頭の闇人間に投げつけた。


2つ頭の闇人間は自信あり気に小さな黒い太陽を赤黒い炎を纏った拳で殴った。


途端、右拳が蒸発し、慌てて回避モーションに移ったものの腕半分が焼失した。


足を地面に突き刺して勢いを殺し踏み止まった。


2つ頭の闇人間の消失した腕が徐々に再生していく。


その間にマハルダは両手を合わせ祈りだした。


すると膨大な闇がマハルダの全身から立ち昇り、ローブで隠れていない顔や手等の皮膚に複雑な闇の模様が浮かんだ。


頭上に浮かんでいた黒い太陽が膨張し城みたいな巨大なサイズに激増した。


黒い太陽から黒炎を抽出するとマハルダは両手で揉み、こねて伸ばしてハンマーの形にした。


ハンマーの柄の先は黒い太陽から伸びたロープ状の黒炎と繋がっている。


完全に再生し回復した2つ頭の闇人間が再びマハルダへと爆進する。


黒い太陽から黒炎が供給されマハルダの意のままにハンマーがサイズを変え、巨大になった。


そのままマハルダが黒炎のハンマーを振り下ろすと、2つ頭の闇人間は人型の焼き跡を残して焼失した。


マハルダはクルクの方向に行こうとしたが、新たに湧いて出た体型の違う2つ頭の闇人間達によって行く手を遮られた。


どうやらああいう種族らしいな。


ひょろ長いのからゴツイ体型のやつまで個体差はあるが、全員が2つの頭を縦に繋げた赤黒い闇人間なのは一緒だ。


ひょろ長い2つ頭の闇人間が上下の頭の眼から赤黒い光線をマハルダに照射する。


光線の速度はまさに光速で避けれずマハルダの肩と横腹を貫通した。


痛みに耐えながらハンマーの長さを調整して振り下ろし、少し距離のあるひょろ長い2つの頭の闇人間を消失させた。


今度は背後の2つ頭の闇人間が腹を膨らませて、上下の口から赤黒い炎のブレスを噴射してきた。


マハルダは炎を浴びながら黒炎のハンマーを振り下ろし、また2つ頭の闇人間を消失させた。


更にマハルダはハンマーを巨大化させて、点在する2つ頭の闇人間達を一気に叩き消した。


周囲は一掃出来たが、マハルダの顔や手の皮膚に浮かび上がっていた複雑な闇の模様が減り、単純な図形だけになっていた。


頭上の黒い太陽も縮小している。


どうやら時間かハンマーを使う度に力を少しずつ失っているみたいだな。


また新たに湧いて来た赤黒い闇のモンスター達を相手にマハルダは黒炎のハンマーを振るう。


一方、クルクとモク爺の戦いは激化していた。


既にクルクは巨大化しており、モク爺も安全圏の上空に位置取って赤黒い闇の衛星を10個公転させて上から赤黒い闇の隕石を連射していた。


クルクの身体に隕石が命中すると隕石が爆発し衝撃波が発生する。


デカい的になってしまっているクルクは雨あられのごとく大量の隕石を被り、爆発と衝撃波がクルクの全身を埋め尽くした。


全身黒い血だらけになりながらもクルクは足の筋肉を盛り上げ一気に跳躍すると、一瞬でモク爺の位置まで接近しする。


クルクの巨体でこの跳躍力は予想出来ていなかったのか、モク爺は驚きの表情を見せて更に上空へと飛行する。


避ける位置さえも想定していたクルクが大きく腕を伸ばしてバレーボールのアタックを打つみたいに巨大な拳を振り下ろしてモク爺に叩き込んだ。


モク爺は斜め下に向かって叩き落され、地面に激突した。


衝撃で地面に巨大なクレーターが発生し、モク爺は地中に突っ込んだ。


巨体のクルクは着地して地面を揺らすと傷が回復するのを待たずに血まみれのまますぐにモク爺の所へとダッシュした。


拳を構えて振りかぶり、追撃の一撃を用意する。


穴からモク爺がふわりと浮いて出て来た。


鼻と口から血を流しているが身体はまだ動かせるみたいで背筋は真っ直ぐピンとしている。


杖を天に掲げると、渦巻く赤黒い闇の穴を2か所に浮かばせた。


2点の闇の穴同士で超高速に大量の闇の粒子が往来しバチバチと稲妻を発生させながら闇エネルギーのベルトを作り上げた。


闇エネルギーのベルトがクルクの行く手を遮るように闇の穴の位置を調整する。


クルクが右へ回り込もうとしても闇の穴が動き闇エネルギーのベルトが立ち塞がる様になる。


クルクは闇エネルギーのベルト手前の地面を思い切り殴った。


石畳と土が殴り飛ばされ闇エネルギーベルトに突っこむと跡形も無く消失した。


クルクはその間に巨大化を解除して自身が殴って作った地面の溝にスライデングし、闇エネルギーベルトを潜ることに成功した。


直に起き上がってモク爺目掛けて拳を打ち抜く。


咄嗟に赤黒い闇の衛星を集めて盾にし威力を多少減らしたがモク爺は殴られた衝撃で吹き飛ばされた。


地面に激突して何度も何度も転がった。


ローブはボロボロになり、顔も体も血を流していたが立ち上がった。


よろよろとした身体でもう一度空中へと飛ぶと杖をクルクに向けた。


すると公転していた衛星がクルクの周囲に飛んでいき、一斉にそして急速に膨張した。


クルクは膨張した闇のエネルギー体に挟まれた。


どんどん赤黒い闇のエネルギー体が大きく膨張していきクルクへの圧力が増す。


クルクの足元にある地面は膨張した闇のエネルギーによって抉り消えているが、クルクはまだ生存しているみたいでモク爺は手を休めず、更に闇のエネルギーを膨張させていく。


肥大し過ぎた闇のエネルギー体が一斉に弾けた。


闇が晴れると頭を抱えているクルクが見えた。


吐血し抉れた地面に片膝をついている。


皮膚に痣が出来た程度で外傷は殆ど無いが圧力で内臓がやられたみたいだ。


それでもクルクは立ち上がりモク爺に向かって突進する。


モク爺は杖の先を上空に向けて赤黒い闇を幾つも放った。


闇は星型五角形の形になり、クルクに向かって赤黒い波動を放出した。


異なる位置から一斉に放出された波動は正円に広がりながら重なり合い空間を歪めるほどのエネルギーとなってクルクに襲い掛かった。


クルクの身体がグニャグニャと歪められ、所々の皮膚が裂けて肉が隆起した。


それでもクルクは突進を続け波動が重なり合う危険な干渉点を突破し上空に逃げている最中のモク爺に向かって跳躍すると、渾身の鉄拳を打ち込んだ。

モク爺の胴体が破裂しクルクとモク爺は重力に従って落下した。


クルクはしっかりと足で着地したがモク爺の切り離された下半身と肩から上は地面に衝突するとバウンドして転がり、傷口から徐々に身体が闇の粒子となってやがて消えた。


カズヤと違ってモク爺は最初から俺に好意的だった。


この異世界のことを何も知らない俺に色々教えてくれたし、多くの侵入者を駆除してくれた。


赤い闇の連中に何かされたんだとは思う。


しかし事情はどうあれ敵になっちゃったら仕方無い。


あの世があるならカズヤと一緒に反省してくれよな。


そんなこと心の中で呟いていると、ダンジョンの上空に積乱雲のような赤黒い闇の塊が出現した。


雲みたいな闇はダンジョン領域よりも広く、ダンジョンの中心部、つまりコアルームがある地下への入口付近に向かって滝の様に怒涛の勢いで赤黒い闇を流し始めた。


流れ落ちた闇は勝手に一か所へと集まると球体になり空中に浮かんだ。


球は心臓の様に伸縮しながらフォルムを整えていき車一台分ほどの体積になった。


上空を覆うほどあった闇が全て流れ落ちて球体と合体し終えると、球から人の上半身が生えた。


球の人は冒険者風の恰好をした黒髪細目の男。


地球時代の俺、光無真雄(こうなし まお)だった。


マオは地下へと入口に掌を向けると濃縮された巨大な赤黒い闇のエネルギーを線状に放出させダンジョン地下を吹き飛ばしたのだった。



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