表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/86

81 カズヤ

「カズヤ!攻撃を止めろ!これは命令だ!」


「馬鹿じゃないの?僕はもうお前の手駒なんかじゃねーんだよ!」


懐かしいな。


カズヤと最初に会った時も敵対していたようなものだった。


配下達の戦闘スタイルを熟知しているカズヤは最初に爆弾を放った直後から上空へと飛んだ。


クルク対策だ。


ドニシャの闇魔法が発動し、上空に幾つもの闇の薔薇が咲く。


しかし闇の薔薇は棘の蔓を伸ばしてヒットさせるまでの初動時間が掛かる。


カズヤの圧縮した赤黒い闇の爆弾の方が攻撃速度が速く、闇の薔薇は爆弾によって駆除されてしまった。


「ほら見ろよイリ!!ドニシャの薔薇が一撃だよっ!僕は最強の闇を手に入れたんだ!フハハハハッ!」


2つ頭の奴に取り込まれたのか、裏切ったのかは知らないが、カズヤは敵勢力の力を得てパワーアップしている。


ずっと力に執着していたカズヤにとっては願ったり叶ったりな状況だろうな。


カズヤが興奮しながら上空から爆弾を連射しまくる。


配下達は吹き飛ばされ、俺は上空で素早く飛び回って爆弾を回避していた。


「カズヤお前、それで良いのか?」


「はぁ?脅してんの?今どっちが優勢か分かってねーのかよっ!」


カズヤが大量に放つ爆弾をドニシャが闇の波動で相殺させる。


「クルク!奥の3人を狙え!」


空中の巨大な亀裂に闇のエネルギーを送り込んでいる3人は俺達とカズヤの戦闘など完全に無視して己の作業に専念していた。


先程と比べて亀裂の幅が少し広がっている。


2つ頭の目的はあの亀裂を広げることらしいな。


作業に集中している3人の方向にクルクがドスンドスンと走り寄る。


「クソッ!鬱陶しい豚がぁ!」


カズヤが片手で赤黒い闇の爆弾を圧縮させ続け、もう片方の手でドニシャ達配下に爆弾を連射する。


カズヤはクルクの防御性能と再生のパッシブスキルをよく知ってる。


必死に爆弾を育てているみたいだが、片手だといつもより成長速が遅い。


飛ばしてくる爆弾の威力と数量が落ちた為、ドニシャ達が反撃に出る。


ダークマスターエルフが闇を線状に発射させ、ブラックアウルギャングがカズヤを中心に闇の竜巻を発生させる。


そしてドニシャが深く腰を落とし槍の杖を構えて狙いを定め、闇のオーラを増大させて突きを放った。


ドニシャの身体の闇が槍の杖を介して放出され巨大な闇の槍を形成し眼にも留まらぬ速さでカズヤへと爆進した。


闇の槍がカズヤを貫き左肩から先を消し去った。


「ぐぅぅっ!」


傷口から血と赤黒い闇を漏らしカズヤが悶絶すると、反射的に右手で育てていた爆弾を放った。


亀裂の前に居る3人の周囲に展開された闇の壁をクルクが殴り壊したタイミングで爆弾がクルクに命中し大規模な爆発が起きた。


解放された赤黒い闇のエネルギーの波が配下達をも襲い俺も飛ばされた。


あの短期間に育てた爆弾にしては相当威力が高い。


カズヤはかなり強くなっている。


しかし赤黒い爆風が晴れるとクルクは無事だった。どうやら爆弾は育ち切ってはいなかったらしいな。


肌が所々薄く抉られた程度で、それも再生のパッシブスキルによって即時完治してしまった。


カズヤは怪獣肉を少ししか食べる事が出来なかった差もあるからな。


奥を見ると、事前に防壁を壊されていたせいで2つ頭の者とマオは吹き飛んでいた。


モク爺だけは体の周囲に赤黒い衛星を浮かべて亀裂を広げる作業に没頭したままだった。


カズヤは片腕だけで闇の爆弾を連射し、ドニシャ達の遠距離攻撃を相殺させるのに必死だった。


「形勢逆転だなカズヤ」


「くそぉおっ!い、嫌だっ!親父みたいになりたくないっ!折角異世界に転生したのにっ!力が欲しいっ!僕にもっと力があればぁああっ!」


お前転生者だったのか。


そらそうか、いくら闇堕ちして力を得たとはいえ赤ん坊がこんなに成熟した思考を持ってるわけないもんな。


カズヤは頭に幾筋もの血管を浮かび上がらせ、必死の形相で爆弾を連射している。


集中し過ぎて気付いていない。


ドニシャの攻撃を受けた事でカズヤの位置は下がっていた。


後ろでクルクが巨大化し、ギリギリ射程圏内に入っているカズヤをジャンプして掴み握りつぶした。


クルクの右手の隙間から血と赤黒い闇がボトボトと零れ落ちる。


クルクは手を広げて口に持って行き、潰れたカズヤの肉を舐め取って食べた。鼻息から闇が漏れる。


マヨミヤイリは元から闇の存在だ。


ファッション感覚で闇の魔王をやってるわけじゃない。


一線を越えた奴には容赦しない。


カズヤが俺の眷属だったから今までの言動や最初の暴挙も見過ごしてやったんだ。


仲間意識なんてのも一切無かった。


こんな弱肉強食の暴力で全てが決まるような世界で仲間の絆なんて何の意味も無い。


同盟を結んでいたゴブリンの魔王グルーゴだって、良い話し相手という関係であってそれ以上の感情は湧かなかった。


「来世は敵に回るんじゃないぞ」


俺が別れを告げると、この赤黒い闇の空間全体が歪みだした。


亀裂が円に近くなっており、中から夥しい量の赤黒い闇が雪崩れ込んできた。


何かの儀式が完了したらしい。


2つ頭の者が両手を上げて喜んでいる。


「開通したぞ!これでこの世界は我々のものだ!」


2つ頭の歓喜の声が聞こえたところで闇の床が崩れ俺達は赤黒い闇の中を落下した。


上から大量に赤黒い闇が降ってきて押し流され、俺達は散り散りになった。


暫く流れに身を任せていると、馴染みのある黒い闇の空間に入った。


ようやく翼を動かせる状態になり空中を飛んで周囲を見ると、闇の教団の本拠地になっている城型の教会があった。


ここは俺のダンジョンだ。


教会の外ではマハルダが闇の太陽を空中に浮かべ黒い炎を操って戦っていた。


相手は赤黒い闇のモンスターだった。


牛の頭骨から触手を生やしたような存在が馬の上に乗っている姿の闇だ。


マハルダの黒い炎を浴びて赤黒い闇のモンスターは焼失していく。


俺はマハルダの所まで行って声を掛けた。


「マハルダ!」


「おお我が神よ!心配しておりました!ご無事でなによりでございます」


「今世界はどんな状況だ?」


「天使の力を得たレジスタンスを撃退した次に邪悪な闇の輩が湧きまして、只今各地で駆除を行っている最中にございます」


「支部と信徒の被害状況は?」


「それなりに被害が出ておりますが、ウテとサテが迅速に強敵を潰して回ったおかげで制圧された地域はございません」


それを聞いて安心した。


なんとか持ちこたえたようだな。


話している最中にも次から次へと様々な赤黒い闇のモンスターがやってきてマハルダが黒い炎で焼失させていっていた。


モンスターは消せても、モンスターが荒らした跡に発生する赤黒い闇はそのまま残り、少しずつ地面や空間を侵食していた。


早期に決着をつけないと世界が変わってしまう。


「クルクとドニシャは見なかったか?」


「見てはいませんが、気配は感じますな」


もしかして闇のダンジョンに居るのか。


俺は急いでダンジョン地下へと向かった。


地下3階のコアルームへと入る。


「おかえりなさいませイリ様」


ダークゴブリンのジェイズが俺を見て頭を下げる。


「ただいまジェイズ」


俺は急いで憑依を解除し本体と合体するとジェイズからホロタを受け取りつつ、ダンジョンコアの弾を操作してダンジョンマップを表示させた。


クルクが居る。


しかしドニシャが居ない。


「警告、侵入者を検知しました」


ダンジョンコアの球が短い間隔で侵入者の警報を知らせてくる。


ダンジョンマップは敵の表示で真っ赤になっているが幸いにもこの地下には侵入者は居ない。


急いでホロタを操作し、闇トーークで眷属達の状況報告と定期連絡を指示しておいた。


履歴を見ると、支部長からマハルダに入った報告内容の概要が闇トーークのチャットに記載されていた。


ギリギリの支部も多いな。


散り散りになってしまったが、怪獣を食べて進化した配下達が上手くピンチの支部の救援に向かってくれたら有難い。


そのことも闇トーークに書き込んでおいた。


それとホロタでの撮影も可能ならやるように指示しておく。


で俺の準備も必要だ。


いざという時に俺も戦えるようにしておきたい。


ダンジョンコアの球を操作して頭飛剤を数本と小袋を購入し、小袋の中に頭飛剤の小瓶を全部入れた。


とその時、地上から大きな爆発音と地鳴りが聞こえて来た。


何事かと思ってダンジョンマップを表示させると、クルクと戦っている侵入者が大規模魔法を放っていた。


ダンジョンマップを拡大して誰か確認すると、赤黒い闇を纏ったモク爺が映し出されていたのだった。



ブックマーク・評価・リアクションありがとうございます、励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ