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80 女神ラチカ

天使達はここで出会った連中と同様に赤黒い闇のオーラを纏っていた。


後方に居る天使達が両手を天に掲げると、俺達の上空に赤黒い魔法陣が幾つも浮かんだ。


そして魔法陣から赤黒い光の柱を無数に落としてきた。


眷属達には少ししかダメージが通っていないが、下僕の配下にはそれなりのダメージだったようで、盾で防いだり攻撃範囲から逃れようと走っていた。


クルクとドニシャが前に出て天使達に向かって走る。


前衛の天使達は赤黒い光の弓を創り出して赤黒い光の矢を一斉に連射して来た。


クルクがドニシャの前に位置取り盾となって走る。


クルクの身体に矢が当たっても刺さる事無く強靭な身体に弾かれ光の粒子になって矢が消えていく。


天使達に拳を振り下ろした。


踏んだ空き缶みたいに天使がぺちゃんこに潰れ大量の血を噴き出して身体が光の粒子になり消えていった。


害虫を駆除するみたいにプチプチとクルクが天使達を潰していく。


クルクの攻撃範囲外に居る天使には後ろからドニシャが黒い波動と槍の杖で突き殺していった。


何十体もの天使達を全て殺しきったタイミングで前方に白いドレスの金髪女性が鎖に繋がれて倒れているのを発見した。


白い大理石の床から何本かの赤黒い闇の鎖が伸びていて女性の手足に絡まっている。


そして赤黒いメタリックな蛇が女性の首に噛みついており、青いエネルギーをゴクゴクと吸い込むように飲んでいる。


懐かしいな、モク爺と初めて会った時もこんな感じだった。


数秒毎に女性は苦しそうな呻き声を上げ身をよじる。


何処かで見たことがある顔なんだよな。


結構やつれているが、平常時は絶世の美女なんだろうなと思われる顔だった。


どこで見たんだっけ。


記憶を探ると、レジスタンスの配信で見たことを思い出した。


そうだ、女神像に似ている。


ということはこの女性が女神ラチカなのか。


俺は女性の近くの床に降りると話しかけた。


「お前は女神ラチカなのか?」


女性は呻くだけで俺の質問には答えない。


これじゃ会話にならないな。


蛇ぐらい取ってやるか。


もし俺達よりも強い存在だったらピンチになるかもしれないが、一応鎖で繋がれているから暴れたとしても大丈夫だと思う。


鎖を引きちぎる可能性もあるけど、これだけ弱ってる状態だと蛇だけ除去したぐらいでは本来の力を出せないはずだ。


「クルク、蛇を取ってあげてくれ」


そう俺が頼むとクルクは大きな手で赤黒いメタリックな蛇の口を指でつまみ強引にこじ開けた。


蛇の牙が女性の首から抜けた。


加減を間違えたのかそうするつもりだったのか、クルクはそのまま蛇の口を開き続け身体を真っ二つに引き裂いた。


蛇の身体の中から青い光が漏れ出て外の空気に触れると淡い光に薄れていき消滅した。


「ゴホッ、ゲホッ」


少し血を吐いたが、女性の顔色はマシになった。


「もう一度聞くぞ、お前は女神ラチカなのか?」


女性は声に気が付き、まるで寝起きで光ある景色に慣れてないかのように、こめかみに力を入れて眼を細めながら俺を見た。


一瞬、驚いたような顔をしたが、周囲の配下達を見て状況を察したのか、気持ちを固めて口を開いた。


「…ハァ、ハァ…ええ、そうです…」


ここで拘束されていたのならカズヤの親の次の勇者が転生してこなかったのにも納得だ。


ここの天使達は明らかに異常で操られていたみたいだったから、世界各地の闇の教団支部を襲っている天使達も恐らく女神の判断で仕向けられたわけじゃなさそうだ。


「なら少し聞きたい事がある、勇者イアを知っているか?」


「…知っています」


ラチカはなぜそんなことを聞くのかと言わんばかりに、不思議そうな顔をしながら答えた。


「お前が召喚したのでは無いらしいな、誰が勇者イアを召喚したんだ?」


「私にはわかりません」


嘘は言って無さそうだ。


ということはオートで輪廻転生しているか、この世界には居ない存在が転生させているかだな。


例えば地球の連中とか。


「そうか、では最後の質問だ、お前は勇者イアの味方をするのか?」


女神ラチカは言葉に詰まり沈黙が続いた。


暫く難しい顔で考え事をしてようやく口を開いた。


「…私と邪神ゲズムの勝負は継続中ですが、今は敵対している場合ではありません、闇の魔王が世界の真なる脅威と戦うのならば、多少の事には目をつむりましょう」


気になるなぁ。


言い方が実に気になる。


真なる脅威が何なのか具体的に言ってないし、多少の事ってどの程度なのかも決まって無い。


勇者イアが俺にとって天敵だということを知れば掌を返して俺の敵になるんじゃないのか。


「勇者イアの味方か?味方じゃ無いのか?ハッキリ答えろ」


女神ラチカが俺の顔を見ながら思考を巡らせ、1回ゆっくりと瞬きをして深呼吸をしてから答えた。


「…味方ではありません…」


良かった、俺が最も恐れている事は第三者が勇者イアに加担して思考誘導することだ。


例えば、何もかも全部闇の魔王が悪いだとか、世界が崩壊しているのは闇の魔王のせいだとかな。


そんなことを吹き込まれて勇者イアが思い込んだら俺と敵対してしまう。


もし勇者イアの味方をすると答えたら女神ラチカを殺すように命令していた。


女神ラチカは命拾いしたな。


「流石はこの世界の女神だ、賢明な判断だな」


俺はクルクに頼んで女神ラチカを拘束している赤黒い闇の鎖を引きちぎって貰った。


生かす理由は邪神ゲズムへの対抗勢力を残しておく必要があるからだ。


女神ラチカが両手をフワッとさせると、床に大きな魔法陣が現れた。


「私は最初、予言の書に記された黒渦の化物があなたのことだと思っていましたが、違いました」


「そういやそんなことを聖女が言っていたな」


「あなたは私が選んだ聖女をはじめ多くの人々を殺害し世界中に破壊と混乱をもたらしました。しかし今は人類を異なる宗教で囲い込み、形はどうあれ結果として保護しています」


「見方によってはそうかもな」


俺達が人類を皆殺しにすることは無い。


俺のコンテンツをシェアする存在が配下だけになってしまっては面白く無いからな。


そもそも配下を増やす方法が闇堕ちと眷属化だけだから人類や他の生物は一定数必要だ。


ここに来る途中に居た天使達も皆殺しにしたけど操られていたからな。


「あなたはどこか他の魔王とは違います、それを今直接会ってみて実感しました」


「俺は闇の魔王だからな」


「確かにそうですね。本当の黒渦の化物はこの先に居ます、私は何も出来ず捕らえられてしまいましたが、あの呪われた鎖と蛇を引きちぎる力があれば倒す事も不可能ではありません」


「そいつは俺が必ず殺す、俺から3つも奪いやがったからな」


「私はもはや力を奪われ戦力にならない状態なので付いては行けませんが、御武運を祈ります」


俺達は魔法陣に乗った。


女神ラチカが気を利かせてくれたのか魔法陣の範囲に余裕があるので今回はすし詰め状態にならずに済んだ。


視界が切り替わり、黒い闇の世界になった。


地面には固形化した黒い闇が敷き詰められており立つことが出来る。


俺は羽ばたいて上空から周囲を見渡すと、奥のの空間に巨大な赤黒い亀裂が発生しているのが見えた。


亀裂の周囲には2つ頭の者と、カズヤにモク爺、そしてマオが居た。


3人共外見がガラリと変わってしまっているが死んではいないらしい。


4人は両手を亀裂に向けて赤黒い闇のエネルギーを流し込んでいる。


「2つ頭の野郎を殺れ、他の3人は大事な存在だから殺すな」


俺がそう命令すると、配下達は駆けだした。


2つ頭の者がこちらに振り向き2つの顔で嫌な笑顔を見せ、カズヤに命令した。


「遊んであげなさいぃ」


亀裂に赤黒い闇のエネルギーを注入していたカズヤは作業を中断し、俺達の方へと進み出た。


「やあイリ!来てくれて嬉しい死ね!!」


カズヤはそう言って対峙するや否や速攻で赤黒い闇の爆弾を放って来たのだった。



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