表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/86

73 配信バトルの結末

捻りだした追加の演出をゾラ経由でドニシャとエへシーン支部長に伝え、俺はレジスタンスの様子を確認することにした。


なんだこれ。


そう思ってしまうような光景がホログラムで映し出されていた。


教会内には数百個はあろうかという丸め込まれた人間ボールが壁や天井にバウンドして高速で交差していた。


もはやホログラムから見れる視覚情報はほぼ人間ボールと衝突で発生する血しぶきだけだった。


辛うじて隙間から"銀星の光"メンバーが女神の力をフルに活用した超人的な動きで見事に人間ボールを躱している姿が見える事があるが、すぐに高速で跳ね回る人間ボールで隠れてしまう。


後ろで演奏していた楽団員たちに跳ね回る人間ボールが直撃したのか、床に倒れ血を流していた。


そんな非常事態とも捉えられる状況でも"銀星の光"リーダーのルジの歌声が聞こえている。


これは流石にやり過ぎだ、無茶苦茶過ぎるぞ。


そう思ってレジスタンス配信の同時視聴者数を確認すると、60万人になっていた。


つ、強ぇぇ。


これがアイドル業界1位の底力なのか。


これだけぶっ飛んだ、それも聖教感謝祭と1ミリも関係無いパフォーマンスをし続けてよく数字を稼げるよな。


コメントも興奮した様子の書き込みが多く、まだまだ盛り上がりが続きそうだ。


はたして俺達はレジスタンスより数字を稼ぐ事は出来るのかと不安に思いつつ、ホロタの動像をエへシーンの配信に切り替えて貰った。


クライン達が闘技場のテーブルで闇鍋を食べている。


様々な生物の内臓を繋ぎ合わせたキメラのホルモン焼きや、頭飛剤のスープ、デフォルメされた植物の蒸し焼きを中堅インフルエンサー達が騒ぎながら食し、クラインは触手を生やした脈打つ心臓を食べた。


頭飛剤のスープを飲んだピンクの髪の女は前に食した闇鍋の影響で身体の筋肉が異常に肥大している状態のまま半開きの眼でヘラヘラと笑い、クラインと他のインフルエンサー2人は顔色が紫に変色して身体が小刻みに震えていた。


そんな状態でも楽団による演奏が始まると、インフルエンサー4人はステージに上がり、歌って踊り始めた。


そしてドニシャが魔法でステージを回転させ、先程と同じく床から黒い腕を生やす。


更にステージの外からダークエルフ達が爆尻人間が産んだ巨大な種をランダムに投げて来ていた。


クラインは歌って踊りながら黒い腕の暴力を避け、回転するステージの上で飛んで来る巨大な種を躱していた。


ただし中堅インフルエンサー3人は上手く躱せず攻撃を受けまくりだった。


クラインは闇の儀式で力を得ているが、まだ入信していない3人は身体の限界に近付いている。


良いじゃないか。


クライン達の懸命な姿とリアクションが映える。


これは伸びたんじゃないのか。


そう期待しつつ数字を確認すると、同時視聴者数は38万人だった。


やった!爆増した。


そうだよな、業界2位のアイドルグループ"虹月"リーダーがこんなに体張ってリアクションしてるんだからな、興味湧くよな。


でも足りない。


あと最低でも22万人以上もの視聴者を引き込まなくてはならない。


どうするんだ。


でもあれだけ考えて捻り出したアイデアなんだ、これ以上は過激にするにしても限度があるぞ。


何か別の角度で考えなくては。


レジスタンス共と被らなくて集客力のある案が必要だ。


そういえば地球時代こういう時はみんなどうやって数字を捻りだしたんだっけな。


俺はニッチなVTuberだったからあまり数字に拘るようなことは無くて経験が無いんだけど、他の配信者は色々やってたろ。


…そうだ!


俺はとある妙案を閃き、急いでゾラに指示を出した。


エへシーンの闇の感謝祭生配信を見ていると、ホログラムの下段に文字が流れて来た。


"視聴者プレゼント実施中! クラインが歌い切った曲の数だけプレゼントを用意! 応募したい場合はコメントにハッシュタグを付けて『闇の感謝祭プレゼント希望』と入力すると抽選で左画像のうちどれかが当たる!!!"


と書かれており、左端の画像には頭飛剤、金貨の入った袋、黒い宝石、"虹月"メンバーのサイン入りナプキン、"虹月"メンバーとのツーショットホロタ撮影券等が写っていた。


どうだ、これぞ俺の奥義、物で釣る作戦だ。


もう本当にシンプル。物欲を利用する。


頭飛剤は大人気だから食いつくだろう。


俺は暫く配信を見守った。


クライン達が歌い終わり、闇鍋フェーズに入ってまたステージに上がる。


何セットか繰り返した後、祈るような気持ちで数字を確認した。


ホログラムの画面領域に表示されている同時視聴者数は62万人になっていた。


「来たぁあああっ!!!」


俺は歓喜の声を上げた。


やっぱりそうだよな、世の中物欲よ。


内容を頑張ることも大事だが、付加価値はもっと大事だ。


それに気が付くことが出来て良かった。


で、レジスタンスが今どうなってるかだな。


速攻でプレゼント企画をパクってる可能性もある。


ゾラに頼んでホロタが表示しているホログラムをレジスタンスの配信に切り替えて貰った。


相変わらず教会内は無数の丸められた人間ボールが飛び交っている。


人間ボールがホログラムを埋め尽くしておりステージの様子が全く見えない。


歌も聞こえなかった。


死んだんじゃないかと思ったその時、教会の四方の壁が一気に壊れ人間ボールが飛び散って天井が落下した。


スタンドで固定されていたであろう撮影用のホロタが外に投げ出された。


ホログラムに映し出される景色がグルグル回り、ピタッと止まるとそこは雪が吹雪く氷の大地だった。


誰かが急いでホロタを拾い上げるとホログラムはブラックアウトした。


「え?」


またもやレジスタンスが勝手に自滅した。


そらそうだよ、あんなに人間ボールを大量に飛ばしたら死ぬよ。


ギリギリを攻めるスリルは面白いけど過剰になり過ぎると失敗する。


終わってしまったけど、強敵だったな。


レジスタンスの手札にあるカードが強過ぎて正直危なかった。


あのままプレゼント企画もパクられてたら勝敗はどうなっていたか分からない。


自滅してくれて助かったよ。


これで2日連続でレジスタンスに配信バトルで勝った。


人類にとって闇の教団が今の時代を象徴する存在と感じているはずだ。


流行を制し俺達闇の教団がまさに覇権を取ったと言える。


これで入信者も一気に増えるはず。


ナチュド王国でレジスタンスの情報は得られなかったし、次は北に向かうとするか。


そう思ったが、どうも何かが頭のなかで引っ掛かっている感じがする。


何だろうと考えていると、先ほど見たレジスタンスの配信が頭を過った。


そうだ!外だ!教会の外が映ったんだ。


俺は配信バトルに夢中になっていたからスルーしてしまっていたが、ずっと求めていた情報を知れたじゃないか。


吹雪に氷の大地といえばこの異世界には一か所しか無い。


俺はゾラにホロタを操作して貰い、クルクと通話を繋いで貰った。


「闇の魔王、どうした」


「レジスタンスの居場所が分かった!永久凍土だ!今すぐ永久凍土に行ってレジスタンス共を潰せ!」


「分かった、オデは丁度近くのコカチオンに居る、すぐに到着する」


クルクとの通話を切り、俺は考えた。


居場所が分かったんだ、クルクだけじゃなくて眷属達を全員向かわせた方が良い気がする。


しかし、いざという時に動かせる眷属も必要だ。


数人だけ向かわせよう。


「カズヤとドニシャに繋いでくれ」


ゾラに頼んでカズヤとドニシャに通話し、レジスタンスを滅ぼす為に永久凍土へ向かわせたのだった。



ブックマーク・評価・リアクションありがとうございます、励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ