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71 ナチュド王国再訪

俺は闇のダンジョンを出ると北のナチュド王国へと向かった。


レジスタンスの奴等は何処に隠れているんだろうな。


注意深く下を確認しながら森を通過する。


しかし何も発見出来ずにエルフの集落へと到着してしまった。


炎の魔王ジュキラとの戦闘で周囲一面の植物は燃やし尽くされ、かつて沢山建てられていた巨木を切り抜いて作られた円柱住宅は消えていた。


代わりに石材と泥を使用した家屋が建てられており、どの家屋にも必ずデフォルメされた俺のマークが描かれた黒い旗とドニシャが描かれた看板がセットで立てられていた。


家屋には必ず柵付きの畑のような土壌がセットになっており、柵の中をヒューマンが徘徊していた。


そしてヒューマンの身体には野菜のような植物がニョキニョキと沢山生えている。


よく見るとそれぞれ違う品種の植物を一種類生やしていた。


闇の匂いがする光景だ。


幾人かのエルフを発見したが、全員闇の教団の黒いローブを着ており筋肉質でゴブリンやオーガの様な猫背でゴツい体格をしていた。


あるエルフを見ると、家屋の柵の中に入りヒューマンを捕まえると背中のブロッコリーの様な植物を毟り取って美味しそうに食べていた。


他のエルフ達は柵の中に居た植物を生やしたヒューマンを連れ出して行列を作っていた。


植物を生やしたヒューマンには首輪が嵌めてありエルフ達は首輪の鎖を持って闇の教団を称える唄を歌っていた。


引き連れてるヒューマンの植物は柵の中に居たヒューマンに生えている植物と違い食用とは思えない禍々しいものばかりだった。


人の顔をした幹を持つ喋る木を生やしていたり、脳ミソの実を実らせた赤い植物、目玉がビッシリ生えた黒いえんどう豆の植物等がヒューマンの背中に生えており、ヒューマンの顔色も灰色に変色していた。


そんなエルフ達の行進を俺のマークが描かれた旗を持つダークエルフやディープダークエルフ達が巡回して見守っている。


周囲を観察しながら飛行を続けていると、石材で建設された教会のような大きい建物を見つけた。


扉にはデフォルメされた俺のマークが黒く描かれている。


あれが闇の教団のナチュド支部か。


俺は屋根に留まり、扉が開くまで待った。


ほどなくして空のワゴンを引くダークエルフが教会の中に入ったので俺も一緒に教会の中へと入って行った。


教会の奥では長椅子に幾人かのエルフの信徒が座っており、祭壇前にはダークナイトのゾラが演説していた。


「闇は人類に力を与え苦しみを解放してきた!闇の力の偉大さを知っただろう!祭りの最後まで闇神様に感謝を捧げ続けるるのだ!」


エルフ達から割れんばかりの拍手と歓声が沸いた。


俺は祭壇の上に留まりゾラに話しかける。


「レジスタンスの居場所について何か知ってることはあるか?」


俺に気付いたゾラがこちらを向いて跪く。


「これは闇神様!申し訳ございませんが私の耳に入ってはおりません」


「そうか仕方無いな、ナチュド王国も信徒率が高いからレジスタンスの情報なんて入ってこないわけだ」


「はい、ほぼ全てのエルフが入信しております。闇の儀式で覚醒したエルフ達によって植物人間になったヒューマンは入信しておりませんが奴等はまともな思考を持っておりませんのでレジスタンスとのつながりは無いでしょう」


エルフ達の入信率が高いのは元女王のドニシャが布教したからだろうな。


「ところでここでも闇の感謝祭をやってるのか?」


「勿論にございます、闇神様に感謝し、皆が自慢の一品を持ち寄り中央の大釜に入れて闇鍋をしております」


こっちは闇鍋ときたか。


国や地域によって祭り方が違うのが面白い。


列をなして行進していた連中は植物人間の作物を闇鍋に入れるつもりだったのかもしれないな。


「配信はしているのか?」


「いえ、シェイソウ支部が先日から先に配信をしておりましたのでこちらはしておりません」


視聴者を食い合うかもしれないからって遠慮するんじゃない。


チャンネルに参加している共同制作者のホロタで配信することで1つのチャンネルに何本でも同時配信が可能だ。


1本の最大視聴者数は食い合って少なくなるかもしれないが、俺達がやりたい事はあくまでも信徒増加の為の布教活動だから配信の本数を増やす方が大事だ。


「やれ。配信1本の最高視聴者数ではなく全体の視聴数を意識した方が良いんだ」


「申し訳ございません、直ちに配信致します」


教会内は数人のディープダークエルフ達に任せてゾラは残りのダークエルフ達を引き連れて外へ出た。


俺もゾラに続いて外に出る。


急いでホロタを操作するゾラと一緒に道を進み住宅街を抜けて大きな広場に出ると巨大な鍋が置いてあった。


何人かのダークナイトが広場を監視しており、エルフと連れている植物人間が鍋の周りに密集していて、鍋の隣に建てられた木の階段には行列が出来ていた。


階段の頂上では植物人間から収穫した禍々しい作物を順番に投げ入れている。


ゾラはホロタをダークエルフに持たせて撮影を開始させた。


ただ垂れ流しするだけじゃダメだ。


俺はゾラに聞いてみた。


「この国にインフルエンサーはいたか?」


「ございません、エルフは元々他国の文化に興味が無くホロタの利用者は僅かでしたのでインフルエンサーを排出できない環境でした」


そうだったな、俺が最初にナチュド王国を訪れた時もホロタをいじってた奴なんてドニシャ位だった。


今どこに居るんだろ。


「ドニシャの居場所を知ってるか?」


「少し前に女王様とお会いした時にはエへシーンのインフルエンサーを堕とすと仰っておりました」


エへシーンはこのナチュド王国の東隣だから近くに居るな。


でもドニシャ自体はインフルエンサーじゃないし数字を持ってるわけじゃないから呼んでもあまり効果的じゃない。


ホロタに良いアイデアは落ちていないかな。


「ホロタで他の配信を見せてくれ」


「畏まりました」


ゾラが広場を走って行くと監視に当たっているダークナイトからホロタを借りて戻って来た。


早速、現在配信中の動像を見せて貰うと、ドニシャが映ってる動像を見つけた。


再生してみると、ドニシャがエルフと尻が大きく肥大したヒューマンを紹介している。


エルフは闇の教団の黒いローブを着ており筋肉質で猫背のゴツい体格をしていいる。


ナチュド王国のエルフと一緒だ。


ドニシャはナチュド王国に居るのではないかと思ったが、場所をよく見るとエへシーンの闘技場だった。


ヒューマンの首には鎖付きの首輪が嵌められており、男女共に小汚い布を前に張り付け紐で縛っただけの裸エプロン状態だった。


ドニシャが手で促すと、エルフが持参したヒューマンの男の尻を引っ叩き、その場でヒューマンがしゃがみ込んでラグビーボール程の大きさをした巨大な種を尻から出した。


エルフが笑顔で生み出されたばかりの種を縦に割ると、中には新鮮で色彩豊かなサラダがギッシリ入っていた。


撮影用ホロタにしっかりと種の殻に入ったサラダを見せると、黒いローブを着ていないインフルエンサーらしきファッショナブルな若者の男女3人が着席しているテーブルの上に置いた。


テーブルの上には種の殻に入った料理が並べられており、スープや煮込み料理、謎肉の炒など多種多様な料理がズラリと並んでいる。


ホロタがズームアウトすると、ドニシャ達の周囲にはエルフと連れの爆尻人間達が沢山集まっており、デフォルメされた俺のマークが描かれた旗を持つ者が結構見られた。


エへシーンでも感謝祭をやってるみたいだ。


ドニシャはインフルエンサーに人が種料理を食わせて闇堕ちを誘うつもりらしい。


頑固な連中にはまず胃袋を攻略するというのは良い戦略だと思うぞ。


両国で料理系のイベントをやってるんだからコラボしたら良いじゃないか。


「闇鍋を何皿分かエへシーンに送ってくれ、逆にエへシーンの種料理を何個かこちらに送るよう伝えてくれ」


物資の輸送だけなら収納アイテムと支部の召喚魔法ですぐに配達できる。


「畏まりました」


ゾラは他のダークナイトに指示を出して戻って来た。


「手配致しましたので、もうしばらくお待ちください」


「ああ、その間にもう少し他の配信を見たい」


ゾラがホロタを操作して配信中の動像をランキング形式の一覧で表示させてくれた。


まただ。嫌でもレジスタンスの配信に目が留まる。


サムネには『銀星の光 スペシャル聖教感謝ライブ』と書かれており、光輪を頭上に浮かべた銀星の光メンバーが中央で恰好良くポーズを取っている。そして右端にシュンが半分途切れて写っていた。


おいおい、業界1位のトップアイドルグループに音楽ライブやらせるなんて反則だぞ。


そう思いながら数字を確認してみると、既に同時視聴者数が50万人を突破していた。


これはダメだ。


昨日シェイソウでポイティのポテンシャルを最大限に発揮させたのに最高同時視聴者数は21万人だった。


その倍以上となると、俺達の手持ちインフルエンサーでは戦えそうに無い。


絶望しつつ、俺はゾラにレジスタンスの生配信を再生して貰った。


広い教会内部の長椅子等を撤去して、祭壇をバックにしたステージがセットされていた。


ステージの裏には楽団が演奏しており、ステージの上ではほぼ裸同然の布面積の狭い衣装を来た"銀星の光"が様々なパフォーマンスを披露していた。


一番人気のリーダーであるルジは歌って踊り、、ダンスをしている他のメンバーは近くで素振りしていたシュンをどうやったのか丸め、サッカーボールみたいに蹴り飛ばしてパスし合っていのだった。



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