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69 配信バトルの行方

ポイティに仕込み終えた俺達は撮影用ホロタを回すダークエルフの背後で傍観していた。


トイレ休憩だという名目で一旦配信外に出ていたポイティが撮影用ホロタの前に戻って来た。


「フゴッ、フゴフゴッ」


何やら豚のような鳴き声を発しながらポイティが腰布一枚のウォーグの男に乗って再登場する。


ポイティはフリルの付いた白い食事用エプロンを首に掛け、両手にはナイフとフォークが握られていた。


半開きの眼をした顔でぐるりと回り、ウォーグの頭皮を鼻を鳴らしながら嗅ぐと、カッと眼を見開いて口をパクパクし始めた。


そして黒いローブを捲し上げてウォーグの頭に尻を向け、ジョボジョボと放尿した。


ポイティの眼が半開きに戻りご満悦な笑みを浮かべる。


よしよし、俺がポイティに服用させた頭飛剤が効果的に作用しているな。


仕込みが上手くいってることに満足しつつ俺は傍観を続ける。


ポイティはウォーグの背中の肉をナイフで削ぎ切ると切り取った肉をフォークで刺し取り、生で食べた。


「ブししッ」


とポイティが口の周りに付いた血を舌で舐め取りながら美味しそうに笑い、ウォーグの男が痛みに叫ぶ。


ポイティは面倒くさそうにポーションの小瓶を取り出して中身の液体をウォーグの背中の傷に振りかけると傷が治っていった。


ポイティがウォーグの脇腹を蹴って歩かせ洞窟の交差点を左に曲がると様々な存在をごちゃ混ぜにしたような生命体が何体も居た。


これがキメラか。


もう滅茶苦茶に改造されてる。


「お待ちしておりましたポイティさん」


そう声を掛けて来たのは闇の教団のローブの下に身なりの良い服を覗かせているドワーフだった。


身なりの良いドワーフが乗っているウォーグは魔改造されており、背もたれの長いチェアを埋め込んだ馬の胴体にウォーグの手足を2セットの8本と、前と後ろの2か所に男女のウォーグの頭を生やしていた。


ポイティをテーブルに案内すると、ウォーグからテーブルの上に飛び乗った。


「ふごっ」


鼻を鳴らすポイティの前に身なりの良いドワーフが料理を乗せた皿を運ぶ。


「こちらがキメラ料理の前菜になります」


それはキツネ色にこんがりと焼き色が付いたウォーグの頭だった。


皿の上の頭は髪を全て剃られていて、代わりに千切りのキャベツらしき野菜が髪の毛代わりに被せられており、首から下が大きな芋になっていた。


骨まで柔らかく調理されているみたいでポイティのナイフが簡単に頭に入る。


15分もの時間を掛けてポイティがゆっくりと人の頭を食した。


数字はどうだ。


ワーキロが見せてくれている『闇の感謝祭』の配信動像をチェックすると、視聴者数は7万人になっていた。


俺は鳥の翼でガッツポーズをした。


よっしゃ!来たぞこれ!


インフルエンサーが共食いする動像は話題になると思ってたんだ。


別に視聴者がドン引きしようが関係無い、レジスタンスより数字を稼げればそれで良いんだ。


ホログラムからポイティが乗ってるテーブルに視線を移すと、身なりの良いドワーフが皿を下げて、今度は巨大な皿を運んで来た。


「こちらが本日のメインになります」


「ふごっ!」


舌鼓を打つポイティの前に置かれた皿には全裸のポイティが寝かされていた。


申し訳程度に野菜の葉が胸と股に置かれている。


これは俺の指示で作らせたポイティそっくりのキメラだ。


あらゆる存在の肉や皮、毛や血などの素材を魔法や薬物を駆使して実現させた奇跡の一品。


この短期間でよく作れたなとドワーフの技術力の高さに俺も驚いている。


ポイティはナイフとフォークをテーブルに置いてキメラポイティを対面で抱き抱え、お互い腕を回してキスをしながら食べだした。


良いぞ、ファインプレーだポイティ。


正解の食事を盛り上げるべく、俺は配信に声が入らないようヒソヒソ声でワーキロに指示する。


「今のをサムネに差し替えてくれ、それと音楽が欲しい、生演奏で良いムードを作ってくれ」


撮影用ホロタからはサムネの差し替えは出来ないが、共同制作に参加している他のホロタからは自由に差し替え可能だ。


これで印象的なサムネになるだろう。


「畏まりました」


ワーキロとシルドガが手下のディープダークエルフと一緒に別室へと移動した。


すぐにポイティの音楽動像を手掛けているドワーフの楽団を連れてきてくれた。


ポイティがキメラポイティを食べてる裏で楽団が演奏し、ポイティと撮影ホロタの間でドワーフの信徒がキレのいいダンスを踊っている。


「踊ってる彼らは?」


「そこそこ有名なドワーフのインフルエンサー達です」


「でかしたぞ、やるじゃないか」


「お褒めに預り光栄です」


ワーキロ達に賞賛を送り、俺は『闇の感謝祭』の配信動像をチェックする。


視聴者数はなんと10万人を越えていた。


おーっ、一気に増えた!


これは嬉しい、やったよ大成功だ。


喜びを噛みしめながらワーキロに頼んでレジスタンスの配信を見せて貰った。


あちらはどうなっているのかと確認すると、視聴者数は3万人まで減っていた。


一体なぜなのかと配信動像を見ると、鎖で拘束されたシュンが正座していた。


呼吸するかの如くずっと素振りばかりしていたシュンがなぜ。


と疑問に思いコメントを見ると答えが載っていた。


『人糞出し過ぎトイレかよ』


『食うなってww』


『シュンが殴ったおじいさんってどうなったの?』


『倒れ方ヤバかったよな、死んでね?』


『糞ばっかり映すなって』


荒れてるな。


批判的なコメントが目立つ。


これはダメだわ。


よく教会内を見ると、床には人糞を拭き取ったらしき茶色い汚れが何か所も見られた。


あれから浣腸しまくったんだろうな。


それが仇となったと。


さらにコメントを読むと、スタッフに浣腸を禁止されたシュンが激怒しておじいさんを撲殺した疑いが発生したらしい。


それが冷めた瞬間だったんだろうね。


これはレジスタンスに学ばせて貰ったな。


異世界にも一応限度がある、越えてはいけない一線は存在すると学習したよ。


今では拘束されて正座しているシュンの前で一般人が女神ラチカへの感謝を述べて少しの貢物を置き静かに帰っていくだけだ。


何の面白みも無い。


偶に間違えてシュンに向けて尻を出すおじさんが居て、シュンが殴りたそうに歯ぎしりしているというのはあったが、それだけだ。


それと偶に配信で目立ちたいだけの一般人がシュンの前でウザったいダンスを踊ったりしてシュンが発狂することもあったが、本当にそれだけだ。


終わったな。


長い戦いになるかと思われたがレジスタンスの自滅で勝負は決まってしまった。


配信で映っている教会内も暗くなっている。もう夜だ。


俺はレジスタンスの配信を閉じるように指示し、ポイティが完食するのを見届けた。


最後は各グループが製作したキメラ達を戦わせるキメラバトルを観戦した。


スライムと人とカエルを混ぜた様なぷにぷにしたキメラや、全身が甲羅で出来たカチカチな人型キメラなど、個性的なキメラが登場し盛大に盛り上がった。


俺は配信で多くの視聴者数を獲得したことに満足し、シェイソウを飛び立ったのだった。



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