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68 感謝感謝

まずはレジスタンスがイベントで具体的にどんなことをしているのかを知っておく必要がある。


「レジスタンスの配信を再生してみてくれ」


ダークマスターエルフのワーキロに頼んでホロタの配信を再生して貰った。


そもそも居場所が分かれば配信バトルなんてしなくても殺しに行けば良いだけだからな。


そう期待しつつ配信を見てみると、教会内で本格派ソロ冒険者のインフルエンサー、シュンがパンツ一枚で素振りしている様が映し出されていた。


どの辺が聖教感謝祭なんだと詐欺的な疑いを持ったが、よく見るとシュンが握っているのは先端に女神ラチカと思わしき人物が彫られた杖だった。


そしてシュンの前に荷物を抱えたおじさんが現れた。


「今年も女神様のおかげで豊作でした、感謝致します」


感謝を述べながら荷物から野菜や果物を台の上に置くと、シュンに尻を向けてズボンとパンツを下ろした。


「感謝!感謝!」


とシュンが叫びながら女神の杖でおじさんの尻をブン殴る。


肉を打つ鈍い音がすると、おじさんは喜びの声を上げた。


「うひい゛っ!ありがとうございます!女神様本当にありがとうございましたぁあ!」


おじさんの尻にはくっきりと女神像の形をした痣が出来ていたが、嬉しそうにズボンとパンツを履き戻している。


尚も素振りを続けるシュンが明らかに故意で帰ろうとしているおじさんの背中を杖で殴った。


「感謝ぁ!感謝ぁ!」


おじさんは一瞬驚いて振り返ったが、寄り目で狂った様に素振りを続けるシュンに気圧されてしまった。


「あ、ありがとうございますっ、それではっ」


逃げるようにしておじさんが教会を出ると、すぐに別の人がやって来た。


太った男だった。


「女神様に感謝申し上げます」


そう言って男は金貨がぎっしり入った袋を台座の上に置くと、右腕を捲り上げてシュンの前に出した。


シュンは普通に素振りを止めて杖を床に置くと、近くの棚からスタンプを取り出しペタンと軽く押した。


男は腕に女神ラチカのスタンプ絵が描かれているのを確認すると満足気に帰って行った。


あの、差別が露骨過ぎないかこれ。


貢物で対応の差がありすぎるんだよな。


よくこんなので再生回数をかせげるよなと思ったが、これシュンがやってるんだよな。


他の聖職者とかがやってたらここまで伸びなかった。


シュンがやるからウケて再生回数が伸びてる。


教会内部の情報だけでは居場所も特定出来ないし、レジスタンスの野郎共考えたなと半ば悔し気に思っていると、次は20代後半位のグラマーな金髪白人女性がシュンの教会に入って来た。


「女神様、今年も一年ありがとうございますぅ」


そう言って女性は白いタイトなミニスカから下着を生脱ぎすると、いつもより激しく素振りをするシュンの顔に下着を近付け、いたずらっぽく笑った。


あろうことか撮影しているホロタがシュンの股間に寄って行きホログラムにはシュンの下半身がドアップで映し出されていた。


おいおい汚いテントを見せられるのかと、眼を覆いたくなったが、途中まで進んでいたテントの建築作業がストップし逆に取り壊しになった。


何事だと思いながら事態を見続けていると、撮影しているホロタがゆっくりシュンから離れ金髪白人女性が映る距離まで遠のくと事件の真相が判明した。


金髪白人女性のミニスカから立派な男のロマンがポロリしていたのだ。


簡単な話だ、女性では無かった。


シュンは鬼の形相で杖を握りしめ、偽物だと分かった胸と股間に杖先の女神像を叩き込んだ。


「消えろっ!消えろっ!」


女性では無かった金髪白人は殴られた股間を押さえて悶絶しながら教会を出て行ったのだった。


完全にやってるなコイツ等。


こんなの仕込みだろ。


イライラしながらレジスタンスの視聴者数を見ると5万人を超えていた。


「はぁ!?」


思わず怒りの声が出た。


やりやがったなレジスタンスの野郎共。


信じられない気持ちでホログラムの画像領域に流れているコメントを見ると、シュンのファンらしき書き込みで一杯だった。


『シュン君のラッキードアップに感謝!』


『シュン君気を付けて、その人女じゃないよぉ~』


『止めとけシュン、そのニューハーフは山ほど病気持ってるって』


賑わっている。そらそうだ、インフルエンサーがあんなことしたら注目されるし盛り上がるに決まってる。


まさかあんなので数字を稼いでくるとは思わなかった。


奴等は体裁なんて考えず数字だけ考えている。


これは手強いぞ。


こうなったら俺達もインフルエンサーをオモチャにして数字を稼ぐしかない。


「シェイソウに知名度の高いインフルエンサーは居るか?」


ワーキロがすぐに答えてくれた。


「"虹月"メンバーのポイティが居ますね」


「そうか!ポイティは確かドワーフだったな」


「はい、仰る通りにございます」


これは丁度良い。


「今すぐポイティを配信のメインキャストにしろ」


「畏まりました」


シルドガがホロタを操作し、ポイティに連絡してくれた。


ワーキロのホロタにシェイソウ支部の配信を再生して貰い、様子を見る。


背中にドワーフを乗せたウォーグ達が戦ってる様子が映し出されていた。


そこにツインテールのドワーフの女が現れた。


ドワーフの女は青い髪で前髪だけ赤紫に染めており、バッチリメイクをしていて闇の教団の黒いローブの下にはレモンイエローのシャツと黒のミニスカートを着ていた。


「はいはいー、"虹月"の栄養担当ポイティですー、みんな美味しく生きてこー」


ダブルピースで顔を挟んでポイティが挨拶した。


「今日はー、なんか偉い人に呼ばれてきたよー」


ポイティは目線を撮影用のホロタから外し、撮影外にある別のホロタから配信のコメントを見たような動きを見せた。


「そうなのー、ポイティが来ちゃたよー、ありがとうみんな、応援ありがとー、あっ今はねー人生飴っていう教団限定で販売してる飴ちゃんを忍ばせてるー、舐めてる時間ごとに今までの人生の味が楽しめるんだよねー」


ポケットから俺が製作した虹色の棒付き飴を取り出すと口に入れる。


「甘いー、やっぱり最初はみんな赤ちゃんだから甘いって言うよねー、で段々しょっぱくなったり苦くなったり複雑な味になってくんだー」


おいおい、こんな雑談とか食レポをし続けるつもりか??


俺は不安になり配信の数字を確認した。


「えっもう5万!?」


思わず声が出た。


増えるの早すぎだろ。


ワーキロの指示を聞いてホロタで自分のフォロワーに告知してから配信現場に来たとしても滅茶苦茶早い。


このままポイティに任せたら良いんだろうか。


これでレジスタンスに並んだんだよな。


今一度ワーキロに頼んでレジスタンスの配信を見せて貰い、数字を確認する。


視聴者数は6万人になっていた。


一体何をしたのかとレジスタンスの配信動像を確認すると、シュンが先端に女神像が取り付けられた杖で一般男性の尻の穴を突いていた。


「感謝ぁ!感謝ぁ!」


「はぁう゛う゛ぅん゛っ、ありがとうございますっ」


女神像の顔位までしか尻の穴に入らなかったことに憤慨したシュンが一般男性を女神の杖で叩きのめす。


「感謝ぁあ!感謝ぁあ!」


「ひぃえっ、ありがとうございます、ありがとうございますぅ」


感謝を述べる一般男性の尻にシュンは女神像を全部入れようと躍起になっていたのだった。


いやもう感謝祭じゃないだろこれ。


尻の穴に女神像全部入るわけないし。


脱線し過ぎて別の領域行っちゃってるじゃん。


でもまあこれをシュンがやるからウケるんだよなぁ。


だから数字取ってるわけだ。


バックにかなりIQの高い野郎が居ると見た。


上等だ、こっちも負けてられん。


今こそ元闇VTuberの実力を見せる時だ。


ほんわか雑談なんてやってちゃダメ。


攻めよう。


ポイティは栄養担当とか言ってたし、料理系で数字を稼ぐのはどうだろうか。


確か今夜キメラバトルがあるとか言ってたよな。


「ポイティにナイフとフォークを持たせてキメラを食わせよう、俺が演出を指示する」


「畏まりました」


頷くシルドガとワーキロと一緒に俺達は急いで配信の現場に向かったのだった。

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