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66 ホロタチェック7日目

王達は既に声が届かない位置まで移動してしまっていたが、ダンが配信中だということを意識してムルが締めの言葉を口にした。


「決闘はカレルザトヤの勝利だ!追々両国に結果を伝え戦後の取決めを処理して貰う、以上だ」


ムルがそう言いながら指差す先には、何らかの回復アイテムの絵を発動させて元に戻ったチャノと、そのチャノを両手で握るヒリリが居た。


先に小人代表のマレスキンが死んだという判定か。


「オッパイが死んでなくて良かった、心配したんだよぉ」


ヒリリは素手でチャノを持ち頬ずりした。


「あぅうぁ」


サテ&ウテのマナ阻害手袋が無く自由に動けるチャンスだが、チャノの精神は壊れておりヒリリにされるがままになっていた。


そしてダンとアキマ達はテーブルから移動しクレーターの中央で潰れているアヒシャスの死体付近に来ていた。


「みんな見てくれよ!あの眩しかった童貞顔が死んでんぞ!ウヒヒ―ッ!」


ダンが興奮して鼻の穴を膨らませ馬鹿みたいな顔を披露しながら言った。


「それって光になったってことじゃん!アッハーーッ!!超ウケるぅぅぅぅ」


アキマは下品に舌を出してガニ股になり、黒いローブを捲し上げてケツ振りダンスのトゥワークを披露していた。


ダンの興奮が更に高まり、撮影しているホロタの裏で観戦していた他の仲間に参加するよう呼びかけた。


4人のインフルエンサー仲間が集合すると、ダンとアキマと一緒に黒いローブを捲し上げて超近距離でアヒシャスの死体にケツを向け、ケツ振りダンスのトゥワークを披露した。


「「フゥゥゥーッ!!」」


息の合った声と共に屁の音も混じり、誰がこいたのか犯人捜しをしながら配信は終了したのだった。


俺はサテ&ウテに指示を出す。


「ムルから新しいホロタを貰って闇の教団チャンネルに共同制作の申請を出しといてくれ、後から闇トーークというグループチャットの招待を送る。サテとウテはカレルザトヤとザザランに滞在してレジスタンスの調査をしろ。何かあれば俺からホロタで連絡する」


「分かりました、もう一度最初からお願いします」


「いやどっちやねん!」


愉快なサテとウテに両国を任せ、俺は飛び立った。


次に向かうは西だ。


空はもう夕暮れ時だった。


西に行くとカレルザトヤを通過することになる。


俺は一旦カレルザトヤの宿屋の屋根に留まり、本体に意識を切り替えた。


視界がカレルザトヤの街並みからコアルームの黒い砂と闇の霧がある空間に変わる。


転移が出来るダークセージが量産しておいた物販アイテムを運び出したみたいでコアルームはスッキリしていた。


毎日恒例のホロタチェックをしよう。


今日はAI勇者を殺してから7日目だ。


世話係のダークゴブリンであるジェイズにホロタの操作を頼む。


「クルクから何か連絡はあったか?」


レジスタンスを追うように指示したクルクがその後どうなったのか確認しておく。


「何も連絡は御座いません」


まさかと安否が心配になり、ダンジョンコアの球に聞いてみた。


「クルクはまだ生きてるか?」


「マスターの眷属として生存しております」


それを聞いて安心した。


毎日定期報告しろなどと面倒な事は指示しないが、何も無いと不安になるよな。


でも眷属最強のクルクを信じるしかない。


俺はジェイズにホロタチェックの続きを促す。


「闇の教団チャンネルを開いてくれ」


「畏まりました」


ホログラムで表示された各種数字を確認した。



・闇の教団チャンネル登録者数  57万人

・チャンネル登録者数ランキング 43位

・投稿動像本数         21本


・チャンネル内動像再生回数ランキング

 1位 285万回再生『まるで別人!噂の宗教団体に入信してみた』

 2位 204万回再生『生まれ変わった私を見てください』

 3位 177万回再生『新発売!最強の粉もん登場!!』



「よっしゃあ!!」


思わず声が出た。


色々と上昇率がエグイことになっている。


チャンネル登録者数なんて昨日13万だったのに40万人以上増えた。


これは急速に信者が増えてるのに加えて再生回数上位のインフルエンサー達が入信したせいだろう。


闇の教団チャンネル内で最も再生された動像のトップ3が全てインフルエンサーとのコラボだからな。


一番再生されているのはクラインという名前のアイドルだった。


チャンネルの共同制作者一覧からクラインのユーザープロフィールを見ると、トップアイドルグループ"銀星の光"と双璧を成す業界2位のアイドルグループ"虹月"のリーダーだった。


「よくクラインを闇に堕とせたよな」


これだけ売れてれば闇に堕ちる理由なんて見つからないだろうし、無理やり迫ると抵抗されてつい殺してしまうからな。


短気な眷属達だと心理戦は難しい。


これは努力が窺える結果だ。


闇の教団チャンネル内で再生回数2位も"虹月"のメンバーとのコラボだった。


ポイティという名前のアイドルで背の低いドワーフ種の女だ。


3位はダンの頭飛剤紹介動像だ。


ダン自体はインフルエンサーの中でもそこまでフォロワー数の多くは無く立ち上げているチャンネルの登録者数もそこまで多く無い。


動像のコメントを読んで分かったことだが、頭飛剤の人気と最初に闇の教団に入信したインフルエンサーとして注目度がかなり高かったことが再生回数が伸びた理由だと思われる。


それにダンは継続していくつか闇の教団の宣伝になるような動像を俺のチャンネルにアップロードしてくれている。


他の動像もチラッと見たが、アイドルグループ"虹月"のメンバー5人全員が闇の教団に入信してコラボ動像をアップロードしていた。


これはデカい。


世間にアイドルグループが丸ごと入信したと発表してまだ1日ぐらいでこれだけ反響があったのだから2、3日もしたらとてつもない数字を稼げるはずだ。


さっき配信した小人バトルはまだ闇の教団チャンネルにアップロードされてはいない。


内容が内容だけにあまり期待はしていないが話題にはなると思う。


ダンがハイになって狂いだしたのは誤算だったな。


「各集計期間の動像ランキングを見せてくれ」


ジェイズが見せてくれたランキングによると、ほとんど闇の教団チャンネルの動像が席巻していたが一部違う動像があった。


「ちっ、レジスタンスか」


レジスタンスが俺達を煽るような動像を次々とアップロードしていたのだ。


『カルト教団は唯の病気です』『闇の教団、うっかりレジスタンスを怒らせてしまう』『害悪!モンスター宗教の実態』等々の挑発的なサムネばかりだ。


まだアヒシャスを殺した動像がアップロードされてないからか滅茶苦茶調子に乗ってるな。


中でも日間動像ランキングで2位になっているレジスタンスの動像が気になった。


『レジスタンスの頼れる仲間達』というサムネでスワトの他に数名の武装した人が写っている。


全員頭上に光輪があり寄り目になってしまっている。


アヒシャスも居たが、それよりも気になったのは本格派ソロ冒険者のシュンだった。


確か動像ランキングトップ10にランクインしている動像のインフルエンサーだったはずだ。


俺はジェイズに頼んで動像を再生して貰った。


最初にスワトの病的な闇の教団アンチのスピーチがあり、その後で新メンバーの紹介が始まった。


トップバッターはメンバーの中で一番人気だからかシュンだった。


黒髪のヒューマンで右の頬に小さな手のマークの痣がある。


スワトがスピーチをしている間でも後ろでずっと狂った様に剣の素振りをしていたから相当目立ってるんだよな。


「皆さん皆さん!こんにちはこんにちは!シュンですシュンです、闇の教団を打ち滅ぼそうと立ち上がったレジスタンスに感銘を受け加入させて頂きました、させて頂きました、よろしくお願いしますお願いします!」


エコーが掛かってるのか壊れたロボットなのか、同じ事を2回言っている。


しかも高速で素振りしながら。


スワトがシュンに関する説明と加入した経緯なんかを喋ってる最中も「死ねっ死ねっ」と言いながら剣の素振りをしていた。


他の新メンバーも頭のネジが飛んでそうな連中ばかりだ。


でもシュンはレジスタンスに入る前の動像を見た事がある。


その時はこんなにイカレて無かった。


普通の冒険者だった。


だから人気があったんだと思う。


今は狂ってしまっているのにシュンのおかげでこのレジスタンスの動像が日間ランキングで上位にランクインし世間で注目されてしまっている。


このままでは注目度でレジスタンスに負けてしまう。


何とかしなければならない。


動像を見終わると俺はジェイズに指示を出した。


「闇トーークで新たにサテとウテという名前の手袋が眷属になったということと、信徒のインフルエンサーに闇の教団の宣伝となるような動像をアップロードし続けるよう眷属経由で伝えろ」


「畏まりました」


俺はどこか不安を抱きながら意識を鳥へと切り替えたのだった。


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