57 ホロタチェック6日目
マハルダ経由でディスランが今どういう状態なのか確認してもらった。
ディスランもホロタを持って居るが俺が眷属の側近まで管理するわけにはいかないから主人のマハルダに言ったわけだ。
すぐに返答が来た。
ディスランが聖王国の隠れ家を襲った時には既にレジスタンス達は居なかったそうだ。
真面目なディスランは逃げたレジスタンスを追っていて見つけて捕らえたら連絡しようと思っていたのだとか。
「レジスタンスがどこに逃げたのか分かって追ってるのか?」
「いえ、ですがディスランの推測では…」
「いや待て、推測レベルなら聖王国支部に戻るようディスランに伝えてくれ、側近クラスの配下が他に居ないのだからな」
何よりも大事なのが聖王国の管理なんだ。
AI勇者が転生してくる場所なんだから。
そんな大事な場所を支部長が離れてはいけない。
レジスタンスはクルクに潰すよう指示してあるし。
「恐れながら我が神よ、聖王国支部の支部長代理にハイネを任命しておりますので一応の戦力はございます」
ハイネか。
確か女のダークネクロマンサーだったな。
独自に闇の骸骨を召喚出来る稀有な存在だったからよく覚えている。
第四進化先の種族だけあってかなり強いんだよな。
「そうだったのか。しかしそれでもダメだ、ディスランは聖王国支部に帰らせてくれ」
ダークネクロマンサーだとしても眷属じゃないからな。
「畏まりました」
マハルダとの通話を終えると俺はホロタを持つジェイズに指示を出す。
「闇の教団チャンネルを表示してくれ」
勇者イアを殺して6日目、闇の教団チャンネルを開設して3日目の今日、どれだけチャンネル登録者数と動像の再生数が増えたかチェックする。
「おおっ!10万超えてるじゃないか!」
闇の教団チャンネルの登録者数は13万6千人にまで増えていた。
昨日は505人だったのに一気に10万を超えた。
これは作戦が上手くいったんじゃないの。
アップロードされている動像の再生数を見る。
「うおっ、凄っ!」
思わず声に出してしまう程に全ての動像の再生数が桁違いに伸びていた。
中でも一番再生数が高かったのはダンのコラボ動像だった。
指示通りに俺が自作した魔法の粉を実際に他の共演者達と服用して宣伝してくれている。
ちゃんと効き目があったようで、動像の序盤は緊張感が漂っていたのに俺自作の魔法の粉を服用後には終始笑顔だった。
おまけに闇の教団の簡単な紹介をしてくれていた。
そんなダンのコラボ動像はなんと93万回再生もあった。
やはりインフルエンサーの影響力は絶大だな。
そりゃダンが普段から稼いでいる再生回数に俺達闇の教団の話題性分が乗るんだから当たり前のことだな。
地球でVTuberやってた時にもっとコラボとかしておくんだったな。
でもまあ、あの内容でコラボしてくれるトップ層のインフルエンサーなんて居なかったか。
地球時代の話はさておき、ダンのコラボ動像に寄せられたコメントをざっくり見た。
アンチは全く無い。
元々ダンのファンだったフォロワーが不満を書き込んでくるかと思ったが見かけなかった。
これもアンチの公開処刑と魔王狩りをアップロードした効果だな。
むしろ闇の教団に対するイメージが良くなってる。
ダンが入信したなら自分も入る、又は検討しているといったポジティブなコメントが結構あった。
まあ肯定的なコメント以外を書き込んだらどうなるか分かってのことだろうけども。
続いて再生回数が多かったのはクルクが竜王エンビ―を討伐した動像だった。
コメントを見るとやはり四大魔王をクルク1体で倒したインパクトは大きかったみたいだが、再生数が伸びた一番の理由は途中で遭遇した冒険者キリ―ゲンを殺したことだった。
キリ―ゲンは知名度が高く人類最強といえば名前が上がってくる程みたいだった。
だから人類にとっては余程ショックだったみたいでクルクの強さにドン引きしているコメントが多数あった。
キリ―ゲンが殺されたと聞いて見てみたらホントだっただとか、どんな卑怯な手を使ったのかと見てみたらワンパンで驚いたとか、キリ―ゲンに関するコメントばかりだ。
そんなクルクの竜王エンビ―討伐動像の再生回数は57万回だった。
他の眷属達の魔王討伐動像やアンチの公開処刑動像は平均して約10万回再生だ。
まだ動像をアップロードして1日程しか経過してないことを考慮したら出だしとしては良い数字だ。
「俺のも伸びてるじゃないか」
最初に作成した俺のプロモーション動像も19万回再生に増えていた。
全て順調だ、と言いたい所だが、さっき見たスワトの動像が気になる。
確認してみると、ダンとのコラボ動像とクルクの魔王討伐動像と同じく急上昇中に掲載されていただけあって21万回も再生されていた。
これは興味深い数字だ。
世界中の人類が一枚岩なのかというと違う。
聖王国という女神信仰の国があったが女神を信仰してる国なんてそう多く無い。
実際にエルフのナチュド王国じゃ女神信仰なんて欠片も見られなかったし、他の国についても配下の話では女神信仰は深くは広まっていないらしかった。
今、闇の教団が世界中で布教活動をしているし、俺達が世界で暴れたから人類全体の共通認識として闇の存在に対する恐怖心がある。だからレジスタンスの強気な態度が人類には希望の光に見えたのかもしれない。
俺達の話題性を逆に利用されてしまっているんじゃないかと思う。
俺はホロタのランキングを上げる為に必死になって努力をしているのにレジスタンスはただアンチ的な発言をするだけで何の努力もせずに再生回数を稼いでしまう。
こういうのが地球時代に居たら心底嫌いになったと思う。
まあレジスタンスはクルク達が潰しに追ってるから短い間の我慢だけど。
さて、最後はチャンネル登録者数を確認するか。
俺はスワトのサムネが表示されているページから闇の教団チャンネルに遷移してフォロワー数を確認した。
「あーっ、そうなのか…」
フォロワー数は9万2千人だった。
思ったよりも少ない。
最近アップロードした動像がどれも10万回以上再生されていたしダンとのコラボやクルクの魔王討伐動像の反響が大きかったからついチャンネルのフォロワー数も何十万という数字を期待していた。
しかし1日前に確認した時のフォロワー数は505人だったわけだから、1日で9万人増えたという事実はポジティブに捉えていいことだ。
自分にそう言い聞かせて俺はホロタを閉じるようジェイズに指示した。
「それと俺が憑依中はジェイズがクリエイター参加申請の承認をしてくれ、これから残りのアンチを探してる配下とかインフルエンサーが申請してくると思う。それ以外の申請者は無視するんだ」
「畏まりました」
日課のホロタチェックを済ました俺は意識を本体から憑依先の鳥へと切り替えた。
景色がコアルームからカラフルな砂丘と背の高いロングヘアーの木に変わる。
もう朝になっていた。
結構動像見たりして時間が掛かったんだよな。
憑依している鳥の身体が無事なことを確認して俺はロングヘアーの木のてっぺんから飛び立った。
暫く南へと進むと、ピンクの砂の小山で1人の少女を見かけた。
少女は黒いローブを着ているがフードを被っておらず顔を確認出来た。
ウェーブの掛かった茶髪の髪に黄緑色の肌をしている。
確かカラデアという種族の人類だ。
黒いローブの胸元にデフォルメされた俺のマークがあった。
闇の教団の信徒だ。
カラデアの少女は砂の中をクロールで泳いでいた。
よく見ると少女の背中にはおんぶ紐で何かを背負っている。
赤ん坊ではない。しかし泣き叫んでいるのが聞こえる。
下降して近くで見てみると、そのまま縮小させたかのような小さな大人の女がおんぶ紐に固定されていたのだった。
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