4 ダンジョンコアの各種機能について
モク爺が上に行った後、俺は闇人間達に定位置を指示した。
2人は常に俺の近くを警備させ、残り全員は侵入者対策で入り口付近に待機させている。
俺は球の前まで来て、途中だった球のチュートリアルを再開させた。
「チュートリアルを再開します、まずはマスターのダンジョンステータスをご確認ください」
球の上にホログラムの画面が表示された。
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名称:地下牢
マスター:マヨミヤイリ(闇の魔王)
レベル:1
領域面積:1R
コア数:1
ランキング:483/500
配下総数:10/100
眷属数:0/1
DP:680
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ダンジョンにレベルなんてあるんだな。
あと眷属もまだ説明して貰ってない。
でも一番気になるのはDPだ。
「DPって何?」
「ダンジョンポイントのことです。ダンジョン内でマナを持つ侵入者が死ぬか滞在することで獲得出来、DPを消費してダンジョンマスターの能力やダンジョンの各種機能を行使出来ます」
「マナ?」
「マナとは魔法やスキルを発動させる際に必要なエネルギーです、活動する全ての存在が保有しています」
出ました魔法。
まさに異世界。
魔法の源みたいなものがマナだと。
全ての存在が持ってるなら俺にもマナはあるはずだが、戦闘しないから関係無いか。
「眷属と配下の違いは?」
「ダンジョンマスターと強い繋がりを持つ特別な配下が眷属です、配下と比べてDPコストも高くなりますが非常に高い能力を得ます」
眷属の方が大事ってことか。
「どうやって眷属にするの?」
「マスターの場合は闇堕ちした存在に眷属化のスキルを使用し必要なDPコストを消費することで対象が眷属になります」
配下も闇堕ちした存在だよな。
「配下を眷属化することは出来る?」
「出来ません」
配下が眷属にグレードアップするんじゃなくて、最初から眷属にしないといけないのか。
「それでどうやって眷属化のスキルを使うのさ。闇堕ちのスキルもやり方聞いて無くて困ったんだよ、それぞれスキルの使い方を教えてくれ」
「スキルの使用方法はデータにありません、ご自身でご理解ください」
なにそれ、じゃあ最初の侵入者が来た時に球に聞かなくて良かったよ。
聞いてたら時間ロスして球破壊されてたわ。
あぶねー。
「眷属化に必要なDPコストは?」
「対象によって変動します、より強い存在ほどDPコストが高くなります」
「配下も強い奴ほどDPコストが掛かるわけ?」
「その通りです」
モク爺は相当コスト掛かったんだろうな。
「俺は闇堕ちから配下にしてるわけだけどさ、他の魔王達はどうやって配下を獲得してるの?」
「多くの魔王が召喚ガチャで配下のモンスターを獲得します」
ガチャあるんかーい!
良いなガチャ。
俺もやってみたい。
「召喚以外で俺に出来るガチャはあるのか?」
「ございません」
無いんかい。
「あっそ。んで、ダンジョンステータス画面見たよ?」
球にチュートリアルの続きを促す。
「現在マスターは680DPございます、次はダンジョンリフォームの画面を表示します、DPを消費してダンジョンを改築しましょう」
球の上に表示されていたホログラムが切り替わった。
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階層追加 / 削除
フロア拡張 / 縮小
アイテム設置 / 変更
施設設置 / 変更
フィールド設定
特殊機能変更
領域拡大
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色んな事が出来るんだな。
何を優先すべきか。
確かDPを増やすにはダンジョン内で侵入者が死ぬか滞在させるんだったよな。
王都全てをダンジョン領域にしたら住民の滞在でボロ儲け出来るんじゃね?
領域拡大が優先だな。
どうやるんだろ、タップしたら良いのかな。
俺はホログラムの領域拡大をタップした。
すると画面が切り替わり、この部屋を中心としたマップが表示され、1R=50DPの取引で拡大したい場所を選択するように指示が出ていた。
現在の領域は地下3階のこの部屋と地下2階への階段だけみたいだな。
「1Rってどのくらいの面積なんだ?」
「丁度この部屋の面積が1Rに該当します」
それは分かりやすい。
よし、全部使おう。
一括選択ができるみたいで、俺はホログラムの地下2階と地下牢1階を選択し、正方形の1Rごとに区切られた地上部分を11マス選択した。
選択した地上のマスは俺のダンジョンを中心に円形状となるよう意識した。
領域増やしていくとコロコロ面積の形が変わるわけだから、面積は円の方が把握しやすいだろう。
俺は確定ボタンをタップし、650DPを支払った。
するとマップが更新され、新たに獲得したダンジョン領域内の詳細な構造が表示されるようになった。
地上の領域内には、石造りの民家の他に死刑台と広場、それに教会のような青い屋根の建物と番兵の詰所みたいな建物もあった。
「警告、侵入者を検知しました、チュートリアルを中断しますか?」
「侵入者って領域面積を拡大した場所に元々居た人達だろ?」
「はい、その通りです、現在は侵入者がコアルームに到達するまでに時間の余裕があります」
侵入者は全部地上だな。
領域面積を拡大して地下2階層分もダンジョン領域にしたから時間の余裕があると。
コアルームに侵入者が来たら対処したら良いだろう。
モク爺が戻って来るまで地上の人間は放って置く。
「チュートリアルを続けてくれ」
「畏まりました、それでは次にクエストボードを表示致しますので、お好きなクエストを一つ達成しましょう」
そう言うと球の上に表示されているホログラムが切り替わった。
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デイリークエスト・new!
ウィークリークエスト・new!
マンスリークエスト・new!
チャレンジクエスト・new!
イベントクエスト・new!
戻る メニュー
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クエストか、まさに異世界ならではだな。
俺はホログラムを操作し、各クエストを確認する。
多いな。
「配下を200体召喚するとか、俺召喚ガチャできねーって」
「全ての魔王に同じクエスト内容が表示されておりますので、マスターへの悪意でクエスト内容を設定したわけではございません」
「いや、そういうことじゃなくて俺だけ達成出来ないクエストがあるとか不公平だろ」
「ダンジョン及び関連機能全ては邪神ゲズム様が御創りになられました、ご意見があれば直接ゲズム様にお伝えすることを推奨します」
邪神なんて居るのかよ。
文句あるなら球じゃなくて邪神に言えってことね。
丁度良い。他にも文句あるしな。
俺はダンジョンコアを一生守り続けて生きるなんて絶対嫌だ。
「実は邪神に用があるんだわ、会わせてくれ」
「ゲズム様にご意見もしくは直接お会いする方法は3つございますが、最も簡単で最短に実現可能なのはルーキーランキングで1位になることです」
「ルーキーランキング?」
「誕生から3年未満の魔王を対象にした期間限定のダンジョンランキングです、イベントクエストの画面で現在のランキングや報酬内容が確認出来ます」
ホログラムのイベントクエストをタップし、詳細を確認する。
俺の獲得総DPは3180でランキングは現在83/94、ランキング終了まで2か月と表示されている。
そして、確かに報酬には、DPや強そうな名前の武器と並んで邪神ゲズムとのディナー券というのがあった。
「いや残り2か月って、2年先輩が有利過ぎないかこれ」
「ルーキーイベントは毎年開催されますので、今回逃しても来年またチャンスがございます」
「わかった、今は無理ってことだな」
ルーキーイベントの事は一旦置いて、チュートリアルに戻ろう。
俺は何か簡単に出来そうなクエストが無いか探す。
国を滅ぼせだの、魔王を倒せだの、時間が掛かりそうだったり難しそうなクエストが大半だ。
「魔王討伐ってクエストがあるけどさ、魔王同士は仲間じゃないのか?」
「同盟を組めばダンジョンの不可侵機能を発動して同盟加入魔王からの侵略を防ぐことが可能ですが、基本は他の魔王も外敵に相違ありません」
同盟なんてのもあるんだな。
面白そうだが、ピンチになったら考えてみよう。
引き続き簡単なクエストを探す。
俺に今出来そうなのはアイテム購入をするというデイリークエストぐらいだ。
報酬は10DPとショボいが仕方ない。
画面下部のメニューをタップし、アイテム購入画面まで操作して進む。
そうだ、領域拡大にDP突っ込んでしまったからあまりDP残ってなかったよな。
恐る恐るDPを確認すると、3030DPもあった。
何でこんな増えてるのだろうか。
その疑問は、地上から伝わってきた地鳴りと爆発音によって吹き飛んだのだった。