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29 魔法の粉

ローテブルに並べられた粉の宝達を眼福気分で見る。


各小瓶や小袋には小さく名前が記載されている。


俺はその中からダンがオススメしていたスピード系というジャンルの小瓶を手前に集めた。


それぞれの名称が小瓶に記載されており、ライト、スターシップ、オーバーフラッシュ、デビルライトニング、スーパーソニック、バレットダイブ等がある。


俺が最初に選んだのはライトの小瓶だ。


ライとの小瓶を手に取ると木の栓を抜き小瓶の口に顔を寄せて匂いを少し嗅いでみた。


「ウホォ~っ」


身体を突き抜けるような爽快な匂いがした。


思わずゴリラみたいな声が出ちゃったな。


で、果たして俺に効果があるのかだな。


飲み食いしても消滅するだけだったが魔法の粉はどうなのか。


摂取する方法は色々聞いたことがあるがまずは直でやってみよう。


俺は掌にほんの少量の白い粉を乗せ口の中に放り込んだ。


瞬間に粉は消滅し何も感じなかった。


「くそぉやっぱ無理なのか!?」


悔しいなこれは。直は無理だ。


となると注射なんか闇の俺には無意味だし煙を試してみるか。


俺は球を操作してガラスのパイプと魔法の着火石を購入し、パイプの先にライトの魔法の粉を少量入れて着火石の火でパイプの底を炙った。


すぐに煙が発生しパイプを咥えてゆっくりと味わうように吸い込んだ。


吸い込んだ煙は消えず俺の中に浸透していく。


段々と感覚が研ぎ澄まされていき回りの背景が急に高速で動いているような感覚になった。


まるで自分がスポーツカーになったように速く感じられどんどん感覚が加速していき周囲の全てを置き去りにして光を体感している気分になった。


「フォォォオオッ!!!」


あまりの爽快さに声が出る。


ジェットコースターとは比べ物にならないスピードの快感が俺に押し寄せる。


「キモティぃぃいいッ!」


まさに飛ぶとはこのことか。


いや翼を授けるとかのレベルじゃない、現実で体験不可能な圧倒的超感覚。


少し感覚が薄れて来たのでパイプを吸い幸福の煙を継ぎ足す。


「あ゛~~~~最高ぉぉぉ~」


感動したね。


ニマニマしちゃうぐらいに感動した。


これは独占しちゃいけんだろうがよ。


眷属達にも教えてやろう。


そうだ、フェスをやろう。


地球時代の配信企画でよくやってたフェス企画。


視聴者を交えてバカ騒ぎする悪ノリだ。


俺はパイプを吹かしながらホロタを操作し闇トーークのグループチャットにメッセージを残した。


フェスやるから全員コアルームに集合なと送っといた。


ホロタをローテーブルの上に放ると俺は赤ん坊みたいにパイプに吸い付きとっても楽しい栄養を吸引した。


「あ゛~何か俺良い事思い付いちゃったかもぉぉ~」


俺はローテーブルからスターシップとデビルライトニングの小瓶を手に取ると栓を開け2本の小瓶の中身をパイプにドサッと入れた。


「ンフフ~俺って天才なのかなぁ~」


上機嫌で着火石の火をパイプの底に当てて炙り三位一体となった栄養満点の煙を深く吸い込んだ。


「美味ぇぇ…」


俺のスピード感は光を超えそしてとうとう意識まで飛んで行ってしまったのだった。



──…。


眼が覚めると俺は瓦礫の上に居た。


「おお、偉大なる我が神がお目覚めになられたっ」


周囲を見るとマハルダ達眷属4人に加えダークウォーカーやダークエルフまで勢ぞろいし心配そうに俺を見て居る。


「あれ、なんで俺こんなところに居るんだ?」


確かエへシーンから帰ってダンジョンコアで模様替えしてたんじゃなかったっけ。


「イリ様が提唱された世界征服チャレンジで近隣の魔王を討ち取りに来たのです」


ドニシャが跪きながら答えた。


世界征服チャレンジって俺が地球時代にやってた動画の企画だろ。


何で今…。


「魔王の討伐は良いとして、俺戦えないのに何で一緒に来てんだ?」


「いや闇の王は恐ろしく強かったぞ」


クルクが膝を叩きながら答えた。


強かったも何も戦えないって球が言ってたろ。


実際俺は戦闘スキル何も知らないし魔法も知らない。


地球で格闘技の経験も無かったんだ。


「ちょっと遡って説明…いや待てよ今ダンジョンは誰が守ってる?」


「我が神がカズヤに防衛を任せたではございませんか」


キョトンとした顔でマハルダが答える。


「カズヤ?」


知らない。何だその納豆臭い名前は。


ダークエルフにドニシャが名付けたとは考えにくい。


「最近イリ様が眷属に迎えされた勇者の子供です」


ちょっと頭が付いてこない。


なぜ勇者の子供なんか眷属にしたんだ…。


俺が記憶を無くした間に一体何があったんだ。


「俺がエへシーンから帰って何日目だ?」


「20日になります」


なんてこったい。


20日分も記憶を失っていたとはな。


「今すぐにダンジョンへ帰還するぞ、質問は道中でさせてもらう」


帰ろうとして先頭を切って前に出たが方角が分からない。


眷属達に案内を頼み俺のダンジョンがある旧ホースクト王国の王都へ向けて移動を開始した。


「で、ここは何処なんだ?」


「我が神のダンジョンから南西に位置しますフォレストドラゴンの遺跡ダンジョンにございます」


マハルダの言う通り周囲を見ると森の中に古い建物の残骸がポツポツあった。


「順序良く説明してくれ、エへシーンから帰って俺は何をして何が起きたんだ?」


「イリ様がフェスというのをなされるとホロタのグループチャットで連絡があり我々3人がコアルームに集合しました」


ドニシャが説明を始めてくれた。


「そこまでは覚えている。それから何があった?」


「到着しましたところダンジョン地下が改装されておりました。そして我々に世界征服チャレンジを提唱なさったのです」


「さっき言ってたな」


「ダークエルフとダークウォーカーを残された後にイリ様が我々3人の眷属を率いて聖王国へ侵略に出たのです」


「俺が役に立つとは思えないが」


「とんでもございません、聖王国が誇る勇者を簡単に倒されその子を眷属にされました」


「その子供が今ダンジョンを防衛してるんだな?」


「はい、防衛はカズヤに任せてイリ様は我々を連れて侵略に専念されました」


「それで今のこの現状というわけか」


何となく流れが分かったな。


俺達は会話をしながら進み暫くしてダンジョンへと帰還したのだった。




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