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27 闇市の売人ダン

クルクが食事をしている間に俺は空を飛び闇市を探した。


クルクが暴れた事でエへシーン全体が大騒ぎしており荷物を纏めて通りを走る家族や馬車に馬の行列が出来て道という道が渋滞になっていた。


確かホロタではダンの名前を出して聞けば辿り着けると言ってた。


的外れな場所で聞いてもダメだろうから上空から闇市っぽい場所を探す。


やはり貧民街かな。


法の手が届きそうに無い場所といえばスラムだろう。


しかしスラムにわざわざ金持ちが足を運ぶのかね。


そんな疑問を抱きながら俺はみすぼらしい簡素な建物が密集しているエリアを見つけた。


スラムではパニックになっておらず道行く人も普段通りなのか落ち着いて行動している。


行き交う人々はボロボロのズボンにシャツか穴の開いたローブという恰好が殆どだ。


そんな中で汚れ一つない服装の男が歩いているのが見えた。


綺麗な白いシャツに模様が沢山刺繍された茶色いベストとピッタリした茶色い革のズボンを着たターバンの男だ。


男の傍にはガタイの大きい武装したウォーグの男が腰の剣に手を乗せて周囲を睨みながら歩いている。


恐らくボディガード的な人だろうな。


暫くターバンの男を眼で追うとスルスルと路地裏へと入って行った。


建物同士を屋根が繋げているエリアに入ったことでターバンの男を見失った。


あの場所が怪しいな。


俺は下降しターバンの男が入って行った屋根に隠れた路地裏へと入る。


最初は狭い通り道だったが何軒か過ぎると大きな通りになった。


地球であった商店街のアーチみたいな手作り感満載の屋根で通りの上を塞いでいた。


通りには様々な店があった。


肌の露出が多い服装をしたお姉さんが手を振るいかがわしい店や、看板に首輪の模様が大きく描かれ入口を黒いカーテンで見えなくしている大きな店、怪しげな本やスクロールが並ぶ店が見られた。


そして奥へ進むと瓶詰め液体や何かの粉末、奇抜な色の植物を扱う店があった。


薬屋かな。


ダンの店について聞こうと中に入る。


カウンターの奥には椅子に座ってホロタをいじる赤髪のエルフが居た。


エルフは人間でいうとろの20歳位の見た目をした男でジャラジャラと宝石の付いたリングを腕に数個嵌め、金のネックレスと首に下げて銀のピアスを両耳に沢山着けていた。


そして植物柄の黄色いシャツに茶色い半ズボンを着ていてミディアムな髪を触りながらホロタを素早く操作していた。


「こんにちはだピー」


俺に気が付き赤髪のエルフがホロタから眼を離して俺を見た。


「ん?鳥?」


「ダンという人の店を知ってたら教えて欲しいピー」


ダンは最初驚きと好奇な眼で俺を見ていたが段々と目つきが変わり警戒し怪しむようになった。


「…俺がダンだ。餌が欲しいなら森に行けよ」


おお一発で辿り着いたみたいだな。


手間が省けて良かった。


早速魔法の粉について聞いてみよう。


「スピード系を見せて欲しいピー」


「お前何者?」


「ピーはピーだピー」


「名前はどうでも良い。何で小鳥が喋ってるんだモンスターか?」


「鳥が喋ってると何か問題があるピー?」


「…いや。で、金は?」


「良さそうだったら用意するピー」


「…まあ良いだろう、昨日から国が騒がしくなって暇になってたから品ぐらい見せてやるよ」


ダンはホロタをズボンのポケットに仕舞うとシャツの胸ポケットから掌サイズの白い筒状の棒と赤い石を取り出した。


白い棒を口に加え先端を赤い石から点火した火で炙り煙を焚いた。


煙を吸い込み大量の煙を口と鼻から吐き出す。


白い棒は口に咥えたまま赤い石は胸ポケットに仕舞った。


そしてカウンターの引き出しから小さな袋と小瓶を幾つも取り出した。


「瓶に入ってるのがスピード系、袋に入ってるのがハイシリーズと飛翔系、それから瞬シリーズだ」


うひょ~これ全部魔法の粉か。


名称言われても正直どんな効能なのか全く分からんが取り合えず全部欲しい。


「これで全部ピー?」


「いや、まだ理想系がある。俺TUEEE、ざまぁ、もう遅い、悪役令嬢なんかがあるけど人気無いから出さなかっただけだ」


「あ、そっちはお腹一杯だから要らないピー」


web小説のカテゴリみたいな名前じゃん。


その体験は別に粉で要らないかな。


「?そうかい」


「カウンターに出てるのはいくらするのピー?」


煙を吹かしながら明らかに疑いを持って俺に視線を向ける。


「本当に買うつもりか?」


「値段にもよるピー」


「…袋が10gで金貨1枚、瓶が10gで金貨2枚だ」


この世界で金貨1枚の価値がどれ程なのか知らないが、とにかく金貨を掻き集めて持って来たら良いということは分かった。


最初はクルクに強奪して貰えばとも思ったが、もし鬼リピして何度も服用したいとなると自分で量産出来なかったら枯渇してしまう。


供給源は残しておいて、俺のダンジョンで量産体制が整ったら一気に強奪してしまえば良い。


「教えてくれてありがとピー」


俺は羽ばたきダンの店を出てクルクが食事をしていた住宅街へと戻った。


「闇の王、オデは食べ終わったぞ」


クルクの周辺を見ると肉片が付いた骨が大量に散らばっていた。


「じゃあ今からちょっと金貨を集めて袋に入れてくれ」


「わかった」


クルクは理由を聞かず素直に従ってくれた。


金貨が集まると相当な重さになる。


小鳥の俺じゃ重くて運べない。


クルクが闇市に顔を出せばパニックになってダンが逃げたり以降店を他の国に移転させる可能性もある。


ここはダークウォーカーを使おう。


この辺はクルクが居たせいで人が全く居ないな。


俺は羽ばたき上空から人を見つけると降下して目の前で翼を前に出した。


俺の中では中指を立てているつもりだ。


翼の先から煙草の煙のような闇が湧き出て目の前の髭もじゃなおじさんに入って行った。


おじさんは闇のオーラに包まれ身体が徐々に黒くなっていき闇人間のダークウォーカーへと変身した。


「ダークウォーカーだとバレないように変装してくれ」


ダークウォーカーになる前のおじさんが持って居た荷物の中に丁度揃っていた。


革のブーツで足先を隠し、長めのローブに手袋とフードを装着して手ぬぐいみたいな布を口に巻き薄くて縫い目の荒い布を眼のあたりに巻いて貰った。


俺とダークウォーカーはクルクに指示を出した場所に戻った。


同じタイミングで戻っていたクルクと合流し、大量に金貨が入った袋をダークウォーカーが受け取った。


本当にクルクは結構賢いんだよな。


こういう細かい指示もこなしてくれる頼りになる奴だ。


「でかしたぞクルク、じゃあ前に言ったとおり新米魔王を中心に魔王狩りに行ってくれ」


「わかった」


「何かあったらホロタの闇トーークグループで連絡して欲しい。それと定期的にクルクへ連絡が来てないかホロタを確認してくれ」


俺はクルクと別れダークウォーカーを引き連れて闇市へと向かった。


途中ダークウォーカーが誰かに絡まれたらどうしようかとヒヤヒヤしたが国中がパニックになっていたおかげか誰にも絡まれなかった。


ダンの店に辿り着くと俺はダークウォーカーの肩に止まって一緒に入店した。


「いらっしゃい」


ダンが煙を吹かしながらホロタを操作し軽く営業の言葉を口にした。


「金貨を持って来たピー」


ダークウォーカーが金貨の入った袋をドサリとカウンターに置いた。


袋の口を開け金貨を魅せる。


「は?…え?」


ダンは金貨の袋に視線を移しポカンと口を開けたまま一瞬固まった。


口にしていた白い棒が床にポロリと落ちる。


「さっきの粉、買えるだけ買うピー」


「…あ、ああ…」


ダンは適当な返答をしてダークウォーカーをジッと見ていた。


一瞬ダンの赤い眼がキラリと光った様な気がした。


数秒後にはダンが落ち着きを取り戻し床に落ちた煙の出ている白い棒を拾うとカウンターの灰皿に潰して捨てた。


「その白い棒も売ってたら欲しいピー」


「あるよ」


ダンはカウンターに小袋と小瓶を並べていき最後に白い箱を何箱も積んだ。


そして数えながら金貨を袋から半分程取った。


「毎度ぉ」


最初に提示された1gあたりの値段が嘘の可能性もあるが俺は別にボラれても構わない。


足りなかったらまた人間達から奪えば良いだけだ。


「ところでマオという異世界人を知ってるピー?」


「…ああ」


なんと知ってたみたいだ。


流石闇市の商売人だけあって耳が良い。


「何処にいるピー?」


「…金払いが良いアンタを特別信用して言うが、実はウチの店に来た。聖王国に行く道中にウチの店へ寄り道したんだとよ。もうこの国を出てる頃だと思うぜ」


なるほど、ナチュド王国でエへシーンに行くと言ってたのはダンの店に寄るのが目的だったのか。


聖王国が本当の目的地ね。


「情報ありがとピー」


俺はダークウォーカーに指示し金貨の袋に買った商品を詰め込ませた。


用も済んだことだし店を出ようとしたところで後ろからダンが声を掛けて来た。


「…なあ、アンタもしかしてイリか?」


俺は何もリアクションせず聞こえて無いフリをしてそのまま店を出た。


エへシーン南西の防壁付近まで来るともう3体ダークウォーカーを調達し4体全員に武器を持たせて門番と衛兵を殺して強引に突破しエへシーンを出た。


そして俺達は魔法の粉が入った袋を持ってダンジョンへと帰還したのだった。


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