20 ダンジョンに帰還
俺とドニシャはホースクト王国の王都上空に差し掛かったところまで来た。
眼下の景色を見ると俺のダンジョン領域内で黒い雲や竜巻等が頻発している。
良く見ればマハルダと冒険者のような侵入者が戦闘を繰り広げていた。
「ドニシャは味方を把握しているか?」
「いえ分かりません」
「あの黒いローブとブーツの男はマハルダという眷属だ、不要かもしれないが顔合わせも含めて加勢してやれ」
「畏まりました」
ドニシャは速度を一気に上げて降下し戦闘付近の地面に降り立った。
良い連携でマハルダと互角に戦う冒険者の集団目掛けて黒い波動を直進させる。
「なっ!後ろからっ!?」
後衛の魔術師の男が先にドニシャの攻撃に気が付くも既に黒い波動は直前まで迫っており冒険者達を通過した。
黒い波動は触れた存在をことごとく消し去ったが前衛の重戦士だけは消滅しなかった。
「クソッ、仲間が居たのかっ」
2対1となって劣勢を悟ったのか重戦士はドニシャとマハルダから距離を置き逃走を図ろうした。
「逃がさない」
「まだ神を崇めるチャンスはあるのだ!」
追いかけようとしたタイミングで声が被りマハルダとドニシャが目を合わす。
「私はドニシャ、イリ様の眷属です」
「おお闇の神はかの高潔なエルフの女王を眷属に選ばれたか!同胞よ、我が名はマハルダという神に仕えし第一の眷属である」
「あなたが第一の眷属なのですね…」
少しの間ドニシャとマハルダは睨み合うように眼を合わせ、そして同時に眼を離した。
ドニシャが先端が槍になっている黒い杖を構え力強く地面を蹴った。
逃げる重戦士の背中を滅多突きして蜂の巣にした。
その間にマハルダの黒雲が迫り黒紫の稲妻が重戦士を電撃した。
焼けた重戦士の死体がどさりと地面に転がる。
「2人共ご苦労さん」
俺が声を掛けるとマハルダが跪き続いてドニシャも膝まづいた。
「おお我が神よ!お待ちしておりましたぞ!」
「どうしたマハルダ」
「偉大なる神の意識が遠くへ行かれてから嘆かわしいことに多くの侵入者が来たのです」
「さっきみたいな冒険者か?」
「ギルドが王都陥落の知らせを受けて哀れな冒険者を次から次へと送り込んでおります」
そう言えばモク爺がキルドが冒険者を送り込むまでに時間が掛かるみたいなこと言ってたな。
「それで問題は無かったのか?」
「今のところ神を信じぬ愚かな輩は闇の力で全て駆逐しましたが、侵入してくる冒険者が段々と強くなってきております」
「危ないところだったな、ドニシャが間に合って良かった」
「流石は我が神です、素晴らしい増援でございました。実はこちらも戦力の強化をと信徒を集めておりました」
「えっ」
「こちらですぞ」
マハルダは立ち上がると俺とドニシャを別場所に案内する。
モク爺の攻撃から免れた大きな教会のような建物に20人の冒険者達が居た。
全員身体の至る所に傷があり逃げられないように足が拘束されている。
冒険者達はマハルダが来たのを見て頭を下げた。
調教済みだったようだ。
「闇の信徒達よ、平伏すのだ!仮のお姿ではあるが我らが神がお越しくださっている!」
マハルダが両手を広げて俺を指す。
冒険者達が一斉に平伏した。
どうすんだこれ。
配下にしておくか。
俺は順番に中指を立てる感覚で翼を持ち上げて回った。
煙草の煙の様な量の闇が冒険者達に吸い込まれて行き闇人間のダークウォーカーへと変身した。
「一度全員でコアルームまで戻ろう」
ダークウォーカーの拘束を解いて俺は配下達を引き連れ地下牢の3階へと帰った。
「ただいま」
「お帰りなさいませマスター」
ダンジョンコアの球に挨拶し、ドニシャを近くへ呼んだ。
「今から憑依を解くからこの小鳥を手で捕まえていてくれ」
「はい」
ドニシャがしっかり両手で俺を掴んでから俺は憑依を解除した。
視界が切り替わり目線が高くなった。
本体へと繋がり闇の球体から生えた半身の闇人間に戻った。
元の姿がやっぱり落ち着く。
何か憑依すると窮屈感があるんだよな。
俺は球のホログラムを操作してダンジョンステータスを確認する。
──────────────────
名称:王都
マスター:マヨミヤイリ(闇の魔王)
レベル:3
領域面積:74R
コア数:1
ランキング:358/471
配下総数:30/300
眷属数:2/3
DP:22070
戻る メニュー
──────────────────
「おおっ」
思わず声が出てしまう程にステータスが成長していた。
ダンジョンレベルが上がり眷属可能数も最大3に上昇している。
そして大量のDPを獲得していた。
これはマハルダが頑張った証だ。
「素晴らしい働きだぞマハルダ」
「ああ神よ、お褒めに預り有難き幸せでございます」
イベントクエストを見ようとクエストの項目をタップしたらクエスト達成の印が沢山あった。
タップして詳細を見る。
魔王を1体討伐する 達成
侵入者を100討伐する 達成
配下を30体従える 達成
自ダンジョン領域外で100討伐する 達成
フォロワー1万人越えのインフルエンサーを討伐する 達成
国を滅ぼす 達成
全部で6つもクエストを達成していた。
報酬は全てDPで合計10500のDPを獲得した。
うひょー大量じゃん。
俺はホクホク顔でイベントクエストのルーキーランキングを見た。
現在は26770DP獲得しており、ランキングは21位に上昇していた。
あーそうなんだ。2万も稼いでいてまだ21位か。
トップのDPを調べると53060DPだった。
倍の差か。
でもあと2万DP程度で追いつけるわけだから1位も現実味を帯びて来たぞ。
ルーキーランキングに満足した俺はホログラムを操作し領域拡大をすることにした。
ダンジョンレベルが3に上がったことで1Rが200DPもするようになっている。
前は100DPだったから倍だ。
これだとダンジョンレベルが上がる前に領域拡大をやり切った方がお得だな。
DPは眷属化に使いそうな分だけ残して出来るだけ領域拡大に使ってしまおう。
俺は一気に3万DPを消費して150Rを獲得した。
前と同じく円形に自領域のマスを取得していく。
王都は軽く越え周囲の平原まで支配領域を拡大出来た。
「警告、侵入者を検知しました」
領域拡大したことで新たに侵入者扱いとなった者が居ることを球が知らせてくれている。
俺は侵入者への対処の前に球のホログラムを操作してアイテム購入をタップした。
膨大なリストの中から釣鐘状の鳥籠と小さな木の実が入った袋を2つ購入した。合計30DPの出費だ。
ドニシャが持って居る小鳥を鳥籠に入れ餌の木の実の袋と共に床に置いた。
そして預かって貰っていたホロタを受け取った。
「ドニシャよ、お前を新たな防衛責任者に任命する。侵入者を討伐しこのコアルームを死守してくれ」
「はっ、重要な使命を賜り光栄にございます」
ドニシャが深く頭を下げる。
「ダークウォーカーは好きに使って良いが安易に減らすようなことはなるべく控えてくれ。それと2体程は俺専属で傍に置く」
「畏まりました」
俺は球のホログラムを操作しマップに切り替えドニシャに侵入者の位置を把握させた。
ドニシャがダークウォーカーを20体程率いて速やかにコアルームを出て行った。
隣に居るマハルダを見ると役割を奪われたと思ったのか少し不服な表情をしていた。
「マハルダよ、お前には体力が回復したら侵略と攻勢に出て貰いたい」
「我が神の思し召しとあらば喜んで」
「この近くにオークのダンジョンがあるらしいのだが、魔王を倒しオークのダンジョンコアを割って来い」
「おお偉大なる闇の神よ!我にお任せください、少々休憩を挟んだ後に必ずや醜悪なオークを滅ぼして参ります」
そう言ってマハルダは床に座り込む。
休みにくそうだ。
俺は球を操作してベッドを2つ購入した。
眷属2人分だ。
余っていたダークウォーカーを2人指名してベッドを運ばせ上の階、つまり地下2階のそれぞれ別の檻に入れた。
「マハルダよ、ベッドを使って休むが良い。それと通信手段としてホロタを渡しておく」
ドニシャに2枚調達させておいたホロタの内1枚をマハルダに渡した。
「おお我が神よ、ご配慮感謝致しますっ」
マハルダが上に行ったのを見届けると、俺はホロタの板を触りホログラムを出力させたのだった。
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