12 エルフの国へ
「おお神よ!お許しください!エルフ共を殺してしまいましたっ」
「いや言うのが遅かった俺が悪い、仕方が無かったのだから気にする必要は無いぞ」
「ああ私が神の御意思を早く察することが出来ていれば!」
「マハルダ気にすんなって。エルフの名前は分かってるから聞き込みしたら大丈夫だ」
確かカルムという名だったはず。
そいつの周辺に俺の名について聞いて回れば何らかの情報は得られるはずだ。
エルフの国に行こう。
その前に大事な確認だけはしておく。
俺とマハルダは地下牢へと帰還する。
俺は骸骨に憑依したままだった。
憑依を解除した方がコアルームに戻るのは早いが俺はスキルを使用する度にDPを消費するから節約の為に憑依したまま徒歩で移動した。
地下牢に到着すると一応マハルダを地下2階で待たせておき俺だけコアルームに入る。
球を操作してダンジョンステータスを見ると眷属数が1/2になっており眷属数の文字をタップするとマハルダが表示された。
マハルダはちゃんと眷属になっていた。
これで一安心だ。
続いて配下の情報を見るとモク爺の仙星人という種族は表示されていなかった。
配下総数も9/200とマハルダとダークウォーカーの数丁度でモク爺はカウントされていない。
あのモク爺が殺されたとは考えにくい。
モク爺が自らの意志で配下を抜けた可能性もある。
オークとの戦闘中に何かあったのだろうな。
モク爺のことは一旦置いて俺はマハルダと生き残った8体のダークウォーカー達を集めて指示を出す。
「マハルダにはダンジョンの防衛を任せる。小間使い等でダークウォーカー達を使っても良いけどなるべく死なさないようにしてくれ」
「我が神よ、畏まりました」
「俺は憑依を使ってエルフの国へ行く。俺の闇本体がコアルームで静止している状態が続くからその間頼むぞ」
「神よお任せください、頂いた闇の力で全ての外敵を排除致しますぞ」
マハルダから闇のオーラが増幅しやる気が見て取れた。
出発前に一度ダンジョンステータスを確認しておく。
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名称:王都
マスター:マヨミヤイリ(闇の魔王)
レベル:2
領域面積:74R
コア数:1
ランキング:414/495
配下総数:9/200
眷属数:1/2
DP:1740
戻る メニュー
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ダンジョンの名称が地下牢から王都になってるな。
これは領域拡大したからだろう。
残りDPには注意したいところだ。
ついでにルーキーランキングも見ておいた。
俺は現在6440DP獲得しており、ランキングは56位に上昇していた。
順調だが攻めに行けたらもっと上がるはずだ。
ランキングを見終わるとホログラムを操作してマップに戻した。
「球は暫くマップを表示した状態にしてくれ」
「はいマスター」
これでマハルダが球を操作出来ずともマップを確認できる。
俺は憑依した骸骨を操り地上へと出た。
エルフの国があるという北へと進む。
壊れたホースクト王国の王都を暫く進むと景色から人工物が減って来た。
王都を越えたのだろう。
更に北へ進むと次第に背の低い木や草ばかりになった。
ここで人やモンスターに出くわしたらどうしよう。
今の所モク爺が皆殺しにしてくれていたからか人の姿を見て居ないが、もし人やモンスターが骸骨姿の俺を見つけたら足遅いしたちまち討伐されてしまうだろうな。
この姿をなんとかしないとエルフの国へ侵入も出来ないぞ。
どうしたものかと周囲を見渡すと、木に止まっている水色の小鳥を見つけた。
俺は水色の小鳥がクチバシで羽を整えている間にそっと近づき意識を鳥に集中した。
一瞬で景色が変わり俺は草原を見下ろしていた。
「やった成功だ!」
思わず声が漏れたがアプリで自作した迷宮イリ専用の特殊な声のままだった。
小鳥の姿でこの声はミスマッチだが今は人間やモンスターが敵視しない外見であることが何より重要だ。
骸骨の時と違って身体がメチャクチャ軽い。
羽を操るとすぐ飛べた。
俺が動かし方を頭で理解している訳じゃない。
飛ぼうとすると勝手に飛ぶ。
右に旋回しようとすると小鳥の筋肉が微細な調整を自動でしてくれて完璧に右へと旋回出来る。
まるでフルダイブ型VRゲームをプレイしている感覚だった。
「うぉーすげぇ!」
馬鹿みたいな声が出る程に空を飛ぶということに感動した。
まさに自由を体験しているみたいだ。
物の無い広大な空間をストレス無く動き回れる。
羽ばたいて高く上がったり下に滑空したり空のドライブを十分に楽しんだ。
俺は気持ちを切り替えて北へと飛行する。
眼下には森が見え北に進むほどに巨大な木が生えて種類も多くなっていく。
ほどなくして大規模な集落を発見した.
全て木製で建設された円柱住宅が巨木と巨木の間を埋めるようにして数多く建てられている。
俺は降下してもっと近くで見てみると耳の長い金髪白人達を発見した。
エルフだ。
ようやくエルフの国まで来た。
飛行を続けていると人の往来が多い市場のような場所を見つけた。
どの店も同じような店構えで、雨と陽射し避けだろうと思われる布製テントの下に商品が入った大きな木箱をずらりと並べている。
木箱には色とりどりの果物に、綺麗な葉の束、植物で出来た紐や箒などの日用雑貨、シルクを彷彿させる触り心地の良さそうな生地の服などがあった。
俺は店通りにある地上から4m程の木の枝に止まって行き交うエルフ達の声に耳を傾けた。
「昨日南のカフラで採れた蜂蜜をひと舐めしてみましたら信じられない甘さでした」
「驚くのはまだ早いぞ、カフラの蜂蜜はビリドの実の油と白豆のペーストを混ぜるとこの世のものとは思えない程に濃厚な甘味に仕上がる」
「それは是非一度味わってみたいものです」
この男女のエルフは食べ物の話だった。
別の方向からは若い男のエルフ達3人が話しているのが聞こえる。
「賢者に最も近いエルフは誰だと思う?」
「またその話か」
「良いから言ってやれよ」
「…じゃあ僕はノーファン護衛団長だと思うな、彼の空間魔法は早いし効果時間が長くて強力だ」
「確かにな、フレイムリザード討伐の実績もあるしモンスターとの戦闘経験も豊富だ」
「でも俺は白眼のルトーを推すよ、聖円時代から続くギルドの歴史上エピック級の冒険者まで上り詰めたエルフは彼だけだ」
「待てよ、ルトーは森の民じゃないだろ」
「それはそうだけどさ、じゃあお前は誰だと思うんだ?」
「ドニシャ女王が一番賢者に近いと思う、実績こそ無いけど才能はピカイチだし生まれ育った環境も違う」
「それな」
「戦闘経験が無いだけで評価されてない隠れ賢者候補の代表格だからな」
お目当ての話題だった。
エルフの強者は沢山居そうだ。
さて誰を眷属化させようかな。
一番強い素質を持ったエルフを選びたい。
そう考えると女王が良いな。
よし決めた、ドニシャというエルフの女王にしよう。
俺は上空へと飛び立つと、一番大きくて立派な建造物を探した。
市場から北東の方に白い巨大な建築物を発見した。
白い木材で出来た円柱の建物を幾つも組み合わせて積み上げた城みたいな建築物だ。
俺は一番高い円柱のくり抜かれた窓へと降下し静かに侵入したのだった。
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