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泣きゲーブーム ド真ん中

 2002年頃はちょうど泣きゲーブームでそんなことちっとも知らなかった私は中田くんから借りたゲームを持って帰路についていた。

パッケージの裏をなんとなく眺めてるとどうやらサウンドノベルっぽいもののようだった、サウンドノベルはSFCの「かまいたちの夜」「弟切草」「夜光虫」などチュンソフトのああいうちょっとホラーな感じの物をやりこんでいたので実は結構好きなジャンルだった。

帰宅してすぐにPS2を起動し裏面が青かった時代のディスクを突っ込んだ、すると流れてくる悲しげな音楽と枯れ木、そう・・・伝説の泣きゲー「KANON」である。

私はこれで一般人をやめましたって某パ○ポのCMみたいなフレーズが思わず飛び出す代物だ

 全くそういうものに免疫もなく、また中学生という箸が転んでもおかしい年頃に出会ったのがKANONだった・・・楽しげな美少女たちとの日常に衝撃を受けた

(こういう可愛いイイ子達と過ごせたらどんなにいいことか・・・)

そんな事をやりながら考えてしまうくらいそりゃあもうどっぷりと浸かっていた、中田くんのしてやったりという顔が目に浮かんだ。

ゲームを勧めていると段々不穏な空気になっていき泣きゲーというものを知らない私はあの展開に思い切り横っ面を叩かれたような感じなっていた。

攻略情報もなにも入れてないのでともかく勘で勧めていくしかなく初回はバットエンドに行ってしまいとても悔しい思いをしたのをよく覚えてる。

なんとなく初回は真琴ルートに突入した気がするがああいう展開だったので見事にドハマリして涙がちょちょぎれるくらい泣いた、よもやゲームで泣くとは思わなんだ・・・・

すっかり夢中になって攻略して呆けてしまったところに流れるEDの風の辿り着く場所はこの上ないカタルシスを私に与えてくれた

多感な時期にああいうゲームをモロに食らってしまった私はもうオタクの道に進むしかなかった

徹夜してフラフラになりながら学校にいった私は中田くんに詰め寄り

「ヨォ、あれすげーな!」

「だろ?」

やったやったと言わんばかりのにやけ顔の中田くんは嬉しそうだった

「誰からやったの?」

「真琴」

「あー・・・どうだった?」

「いやぁ・・・すごいとしか言いようがない、全クリするから悪ィけどしばらく貸してくれ」

「いいよー」

中田くんは今で言えばキモオタタイプなんだがとてもイイやつだった

すっかり夢中になってしまった私はゲームをやっちゃあ翌日中田くんとその話題でもりあがった

すると別のクラスメイトの高野くんもKANONを知っているとのことで高野くんもこの輪に入って会話することになった

この高野くん、兄は生徒会長で私の部活の先輩でこの高野兄弟が中学時代の私のオタクの師匠になった

高野くんはエリートオタクの兄の影響を濃く受けており彼もまたとても濃いオタクだった

アニキのゲームを貸してやるというのでご自宅にお邪魔して先輩に挨拶をしてさっそく本題に入った

そこで今のオタク業界というものについてたっぷりと話を伺ってオタクビギナーの俺がやるべきモノを教えてくれた。

あの当時のオタクの輪に入るにはそれなりの敷居というものがあった、最低限このくらいは知っていなさいよというものがあったのでオタクのレベルも高かった気がする。

 高野兄弟は自宅に自分用のPCを所持しており中学生ながらにエロゲに凝っていた、スケベ全盛期の私もエロと聞くと心が思わず動いたものだ。

しかしエロゲをするにはPCがないといけない・・・そうだ!オヤジの工場に使ってないPCがあるはずと思いオヤジに頼んで会社のPCを強引にゲットした。

実家は鉄工所なのでマシニングなどのプログラミングに使うPCがあってオヤジは機械に疎いが実はある程度はPCの操作ができる。

PCという大きな課題をクリアした私は高野くんにエロゲを借りて最初は邪な気持ちでエロゲをプレイした・・・が、大きな誤算があった。

泣きゲーとはすこし違うがオタクならこれをやらずしてエロゲを語るなと言われた東鳩こと「To Heart」、まずはこれをいやらしい気持ちでやったもののマルチの健気さに男心が震えた

俺はなんて愚かなやつなんだろう・・・マルチという天使をこんないやらしい目で見てたなんて・・・と自分で自分を叱って「マルチは俺の嫁」と心の中で宣言した

そして「銀色」・・・これもまた衝撃的だった、音楽と内容がもう泣けるなんていう物じゃなかった中学生には毒というくらいの衝撃だ、毎章ごとに嗚咽する程泣いたものだ、悲しい!悲しすぎるけど美しい!

妹ゲーの金字塔「加奈」もやり込んだ、俺だって加奈みてぇな妹がいりゃぁ蜂如き怖かねぇや!とやりながらすっかりお兄ちゃんになってしまった、今思えば妹好きはここが原点だったかも

お次はあの当時話題だったのが君望こと「君が望む永遠」も語らねばなるまい、遥が事故ってから物語が始まる展開は新鮮だった・・・マナマナエンドなど衝撃もあったが孝之はどうするべきだったのか等当時はオタク仲間でよく語り合ったっけ・・・

絆箱でお馴染みの「家族計画」も外せない・・・若本氏の音声がよくネタになってたがあのノリと末莉がすっかり気に入って「加奈」でもお世話になった田中ロミオは神だと思い後にクロスチャンネル購入のきっかけになった。


 すっかりオタクづいてしまった俺は今度はこの感動をおすそ分けしようと思いついて”プッシャー”の如く泣きゲーを始めとするギャルゲーを布教して回った。

その中でも一番の被害者は私がすっかり人生を替えてしまった高橋くんであろう、彼は頭も良くて顔も良くて女子に人気でかわりモンの私と違った奴だったがさっぱりした男で気が合うやつだった。

 中田くんのKANONを高橋くんに貸すようお願いして高橋くんもまんまと”こちら側”に引きずり込まれてしまいすぐにオタクグループに加入した、後にクラスの女子にオタクの道に引きずり込んで高橋くんを変えてしまったことを随分責められた。

こうしてクラスにオタクの輪が広がっていき気がついたら男子の大半がオタクになっていた、あの当時としてはとてもめずらしいクラスだったと思う。

 明けて2003年・・・鬱だSNOWでお馴染みの「SNOW」発売だ。

仲間内では大好評でSNOWの話でもりあがっていたが確かあの頃はネットでも徐々に泣きゲーに対して批判的な声も上がり始めていた

人が死んだら感動というのは薄っぺらいとよく言われていた気がする、某監督の泣ける話を書くのは簡単だ人を殺せばとりあえずそれっぽくなるみたいな話に重なる

しかしそんな批判なぞ聞く耳もたず相変わらず泣きゲーを楽しんでいた

しかし、それも2005、6年ぐらいまでだった気がする、ブームが終わって段々泣きゲーは鳴りを潜めた気がした。


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