苛立ちが渦巻く (III)
~ 第一 ~ 苛立ちが渦巻く (III) ~ 第一 ~
エレミンがドアを開けると最も醜い男に立っていた。
未開地を徘徊する怪物は、もっと人間らしく見える。
ドアを叩く途中で拳を上げたいやな奴は、スカンクと飼育された汚い犬だった。
そういう匂いもする。
「誰だ、お前?」と盾にしているドアの裏からエレミンが聞く。
男は戸口に足を突っ込み、そして野良猫を撫でるかのように汚れた指をドアの上で触りなぞった。
胴体はサイズの合わないスーツから絞り出してしまう。
平らな上部があり円錐形の小さな帽子が頭にしゃがんでいる。愚かな帽子だったのだ。
「これから、保護者だと言ってもいい」
帽子を傾け、丸い耳を引っ張ってニヤリと笑った。
「ナール殿の仲間だ」
何んか不快な青野菜が曲がってる歯に食っ付っついている。
「ナール殿を知っているんだろう、ラブ?」
エレミンは青ざめかけた。そう、ナール卿を知っている。
ダーが死亡した時、そのハルジャルの男性が知らせを彼らに伝えて来た。
「グーレンは?」
潜めた声で喋っているエレミンがちらっと、ナダンが食器棚を物色し続けている台所を振り返って観た。
「ああ、そうだな。
ひどい悲劇だよ。事故に遭ったんだね、グーレンは。
あいつ・・・良い奴過ぎたからな。
入ってもいいか?」
まだ自己紹介していなかった男は返事を待たずにドアを押し、無理矢理に大きく開けた。
「まだ早いよ。来週まで給料が出てこないんだ」
両手をポケットに入れを止めた、代わりに腰に。
「お前には何もないよ、ここ。」
トコーの若い娘に体を近づけた男はそう言う。
「それ、本当だろうか。」
嫌な男が、家の中に殆ど立つ。
口臭に圧倒されるエレミンは一歩後ずさりし、猛烈に悪臭を振り払った。
「お前、名乗ってなさいよ。
ナール殿は早期支払いを要求しない事に誇りを持っているでしょう。払えない事を知っているから!」
「悪いけど、彼も事故に遭ったんだ」
エレミンは男のにやけた顔が気に入らなかった。
「偶然にも、グレンの不幸な死と同時に降りかかった。
俺に借りができたぞ、ラブ」
不敵な笑みを浮かべて言った。
最後の一歩で、彼は敷居を突破す。
「そうだ、ボスって呼べ。それで、金全部返せ。
今日は明日になる前でな」
台所からのガバタンバタン音が止まった。
ボスと呼ばれたがっている男は、ナダンとエレミンが育った小屋を見回している。
「ここ、魅力的な住居じゃねぇか」
どんなに稼ぎの悪いハルジャルでも、このあばら家は薪にしかならないと考えるかもしれない。
だが、そうと思わない丸耳の兄妹にとっては、アウトウォールの他の貧しい住宅よりも悪くなかった。さえ、ハルジャルの城より良かったのだ。
嫌そうな素振りを見せつつ、ボスがエレミンを押しのけて居間に入った。
「まあ、まあ、まあ。俺の骨に石を投げや!立派な武器だな。
お前らみたいな者には立派すぎる」
壁に掛けた剣を気づく、ボスは職人技に感心しかかる。
「な、ラブ。誰から盗んだ?言ってみ」
剣を触る為、手を出す。
その時、嫌な男の後頭部にズドンと焼いたロールパンが当たった。
目を燃え立っているボスが振り向く。
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