宝ヒーローズ:第三の月のように
~ ⁂ ~ 宝ヒーローズ:第三の月のように ~ ⁂ ~
「レン、左に!」
とんがり帽子を被っている少女が火玉を放った。
革の短パンに不格好なブーツを履いた男性に向かって叫ぶ。
彼の短剣がガランと鳴らし、石をピシャリと打ち払った。サチェルが腰で跳ね返り、それ以外筋肉のない裸の胸に細いストラップで固定した。
あの男は右に飛び込んだ。
若いレンの頭よりもデカい鉄槌が石の床に叩きつく。
石の破片が飛び散りつつ、衝撃は地下牢の壁に反響した。その衝撃波が鼓膜を破裂させた。
ケルズベルズや!ゴーレムは決して武器を投げないだろ!
「別の左、レン!別の左!」
空中に、カメボットがす早く動き舞った。
レンが小さな浮遊円盤に肩をすくめ、顔には冴えない笑みを浮かべた。
少女を監視するには飛んでるカメラは回転せ、侮辱を隠すため口と手は自動的に暈す。
三本指の敬礼をしたのだろうか、それとも一本指のフラッシュだったのか。
「気を抜くなよ!」
白髪の男であるセンは言った。カメボットが彼の横に落ち、空中でヒューと飛んでいる。
「シールドが上がるぞ・・・今だ!」
彼の後ろに三人がダッシュしながら、センは手を上に突き上げる。
空気が夏の日の靄みたいに揺れ、青い光のバリアが下方にこぼれた。
防護のドームだったのだ。
シールドの上に多少のレーザーをパッと渡っていた。ビームが側面や上面で跳ね返る。
ゴーレムの鉄槌の衝撃が電光モリの群れを呼び起こしたのだ!
ジグザグに動くカメボットが電光モリを撮影していた。
「ギリギリ過ぎるよ、マール」と息を荒くしてるレンが言った。耳は震えている。ゴーレムが気を取られている間に、破片の後ろに忍び込み、パーティーに加わって戻った。
ゴーレムが鉄槌を地面から引き抜くと、ある長さの壁が天井から崩れ落ち、ほこりを巻き上げていた。
「新な計画の時間だ。集合しろ」
「いい考えがあるぜ・・・」と言って、レンが説明を始まる。ひそひそ話をし、両手で激しくジェスチャーした。
無事にシールド内で耳を澄ましているパーティメンバーの横を、石やレンガが飛び過ぎていた。
電光モリはまだレーザーを発射した。
頷きセンは魔力の蓄えを確認した。石がセンのシールドから転がり落ち、着実に増えていく山の上でカチンと音を立てた。
マールはカメボットに向かってシェルショットの魔法を放ち、カメボットを散らした。
勝利の笑みを浮かべ、帽子を整えた。青いとんがり帽子は彼女の耳みたいに尖っている。
間違いなく、今回は盗み聞きされる事はないはずなのだ!
最後のパーティーメンバーであるシルが片耳で聞いて、笑いを止まらない。
だって、電光モリを破裂するのは楽しい!
クロスボウのボルトを一つ一つにシールドを貫通する時、くすくす笑うたびにシルの長い耳がぴくぴく動いた。
「いいか?」とレンが聞いた。
ハルジャルのパーティーは頷いて同意を表わした。
「さぁ、やるぞ」
センがシールドを落とす。
両腕を前に突き出すマールは両腕を突き出す。手のひらをゴーレムに向けると、炎の壁が勢いよく燃え上がり、行く手にある物全てを焼き尽くした。
シルはクロスボウを『ザ・ツインズ』に持ち替えた。
それぞれが一度にボルトを三本発射する事ができ、魔法が注入された一対の片手クロスボウだった。
直ぐにボルトを六本が空中に飛ばし、もう一つの電光モリの群れを破壊した。
シルの笑い声が地下牢の壁に響いている。
カメボットがシルの腕前を撮影しようと飛び去ると、一瞬だけレンはイライラの表情を浮かべてしまう。
さらにボルトが空中にシューと鳴っていた。
電光モリが倒れ、黒い煙になった。
どこから次から次にやって来るんだ?
センが杖を振りかざし、光線でゴーレムの目をくらませた。
パーティを生かしておく事に特化している。
空中から落下しているレンは、太陽を覆う第三の月『サバト』のようにセンの光線を遮った。
盾を背負い、両手で剣を下向きに構えてゴーレムの頭を切り裂く。
同時にゴーレムは顔を上げ、口を開けた。
オレンジ色炎の玉がその喉の中で大きくなりーー
時が止まる。