表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/11

PROLOGUE ii: 謝礼はない

~ ii ~ 謝礼はない ~ ii ~



「トレルを離せ!」

ハレンビーストがトレラーの死体を落とし、片方の良い目でトコーの少年を見た。邪悪な赤い光がブランテニルの心を穿っている。

少年は目を閉じ、突進した。

「死ねぇぇぇぇぇっ!」

ビーストが唸りつつ、跳ぶ。


イオットのナイフは柔らかい物に沈み、柄を湿らせ、ブランテニルの腕を濡らしていた。

目を開けると、ハレンビーストは瀕死の状態で横たわっている。

ばったり地面に倒れてしまえ、疲れて動けなかった。


木の間ではハルジャールがまだ戦っている。

トコーの少年らを奴隷にしようとしやがっていた。

彼らをみんなビーストに食べればいいのに・・・とブランテニルが思った。

叫び声を、樹皮に槍が当たる音も聞こえ、そしてーー


「戦闘準備を!ハルジャルの危機だ!!」

磨き上げた鋼鉄の胸当てを着けた男性らが、常緑樹の高く太い幹の間から突然姿を現す。

ゲフィン・ウォッチである事を、胸に赤い獅子が示している。アウトウォールの中心に位置する都市への街道付近の土地を取り締まるハルジャルの男らのだ。

ハレンビーストは剣と盾、斧とフレイルで対峙した!

戦いから遠ざけてしまう事に腹を立つイオットを含め、生き残るハルジャルの若者らの盾となり、番兵が移動する。

ビーストが七匹、人間は二十人・・・

戦いは凶暴で、すぐに終わったのだ。


   ‐⁂‐


番兵らはビーストが死んだのを確認していた。武器で刺し、打ち砕きた。一人がブランテニルに気づく。

「俺はローだ。怖がらないで」

手を差し出しようとーー


少年と男は凍りつく。


死者や負傷者の匂いが―人間もビーストも同じく―スナップトゥース熊を引き寄せたのだ。

身長3メートルもあるその熊は、ハレンビーストをウサギっぽいに見せる。

咆哮に番兵と長耳の若者らは驚いくと走った。

「この呪われた森は嫌いだよ!」

顔を紅潮させ、ガラガラ声で番兵が言って耳がピクピクしつつ。ヘルメットを失くしていた。

「運動が要るだろが」と、別の番兵が追い越しながら言った。


ブランテニルを引きずりながらローが木々の間にすり抜けて進んでいた。

さっと頭を後ろに振るブランテニルは熊が数個の幹を進路から押し出すのを目を見開いて見ていた。

すばやく走り、間もなく距離は数秒で縮まるだろ!


しかし、低く垂れ下がった枝がブランテニルの帽子を引っ掛かる。


「ロー!ガキを放っておけ。耳を見ろ。!トコーの謝礼はないぞ」と右側に走っている番兵が言ってしまった。

ローはブランテニルの顔を一瞥した。少年の耳に気づいた瞬間に、手を放し、少年を押し倒す。

唾を吐き、痰がブランテニルの顔に当たった。

「ケリングの丸耳や!」


見捨てられたブランテニルが葉と土の中に横たわり、泣いていた。

もう来たんだ。彼が死ぬ日のだ。


不公平だよ!

不公ーー


雷が空を裂く、稲妻が地面を焦がす。

熱はブランテニルの肌をチクチク刺し、彼が腕で顔を覆った。

「リリアンや、助けて!」

風のささやきの声で言う。

少年が目の前の光景を信じようともがいた。


彼女は見事だったのだ。

金色鎧が体の形にぴったりフィットし、動くたびにキラキラと輝いた。

左手を差し出し、拳を握るように指を曲げた。

身長ほどもある盾が突然存在に飛び出す。それはどうやったのだろう?

右手にはブランテニルが今まで見た事もない長いほど剣を持っていた。 空気が揺らめいたか?

彼女が目の前の空気を切り裂いた。

光の弧が外に放たれ、熊を二つに切り裂く、数本の木も真っ二つにした。

あの女性は盾を空にかざした。そしてそれを巧みに地面に叩きつけた。

衝撃波はまるで水みたいに大地を波立たせ、暗くなった森の中に湧き出している。


獣、猪、熊・・・狼や、もっと悪いのも。

あらゆる種類の怪物が女騎士に向かって押し寄せる。

「何百が居る、違いないよ!」

ブランテニルは見つめるのを止められず。


ブランテニルが数年後も経たないと解からない動きで彼女は怪物らを切り倒した。

『ロングビークが小川を裂き』が『山には百合の花』さらに『荊の中に蜂』となり。それぞれの動きが優雅な踊りだった。


終わった時に、森は廃村と同じくしんとした。


女性騎士は籠手を被った方手でブランテニルが立ち上がるのを助けた。

それから、母親みたいな優しさで優しく剣を最初に片方の肩に、次にもう片方の肩にそっと置く。

その身ぶりは何かを意味がるのだ。

しかし、ブランテニルは何は解らなかった。


「お前は誰?どうやったんだ?ね、教えてくれないか?」と少年が尋ねた。

騎士は彼の質問の嵐に一言も言わなかった。

彼を暗闇から日中に導いた彼女は街道に着くと少年の手を離し、アウトウォールを指差す。


この女性はいったい何なのだろう?

ある物語をブランテニルは読んだ事がある。伝説のクルセーダーであるライトソードの物語だったのだ。

「ありがとう」と彼は言い、女性の方を振り向く・・・

「おい!どこに行ったんだや?」


少年は足元の磨り減った石の上に一人で立っていた。

今日の出来事が身にしみ、体は震える。

「彼らは罰が当たえるよ、トレル。最後の一人まで」

ブランテニルは涙を拭ってけど、涙はしばらく止まらなかった。

「あの女の人を見つける。必要ならば、訓練を乞う!」


どんなに時間がかかろうとも、少年はその誓いを守るだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ