知らざぁ言って聞かせやしょう
「てめぇら一体なんなんだよ!」
制圧されて縛り上げられたリーダーが喚く。
「あれ?知らないの?疾風隊っていうのが領主直属であるの」
「は?メンバーが不祥事起こして闘技場行きになって、たいした実績もないから解散した隊じゃねぇか」
え!俺のせいで解散になってる?
「あー、それは表の理由だ、お前は気にする必要ない」
ユルゲンの言葉でホッとした。
「にゃ、例のダンジョンが無かった事になったりとか色々あったにゃ」
「無かったって、バカ息子は知ってたはずだけど?」
「今は知らないはずにゃ…色々あったにゃ」
メイシアが肩口をはだけて、眷属の紋章を見せる。
あーはいはい、あのジジイなんかしたのね。
外に干渉出来ないはずなのに、どうやったんだろ?
後で聞いてみよ。
「これからの事話会いたいんだけど、こいつら生かしてここに放置しておけば、それなりに時間稼ぎ出来ると思うんだ」
「それなんですけど、そこまで時間稼げないと思うんですよ」
「なんで?」
ヴィンスが言うには
「この安全地帯なんですが、体感的にですが、日に2度ほど10分前後効果が無くなります。
その間はここの魔物達が襲って来ます。
しかも、周期が微妙にズレてる感じがします」
あーだから、安全地帯に居るのにボロボロだったのか。
「それはまずいな、早急に脱出する為に行動した方が良いようだな」
「そうだね、早速下に降りよう!」
ガヴェインの提案に被せるように、さりげなくいってみた。
「は?お前何言ってんだ?ここはいまだに最下層に誰も到達していないダンジョンだぞ、それの意味分かってるのか?」
っち、バレたか。
ガヴェインは山賊みたいな顔してるんだから、見た目通り頭使わなきゃ良いのに。
説得しなきゃならんのか、めんどくせー
「俺なりに考えがあるんだって。
まず、ジジイ情報で辺境伯は精鋭をまだ温存してるらしいんだわ、あいつらは先遣隊みたいなもん。
これから来る奴らはもっと強い訳だし人数も多いだろうから、俺らより行軍速度が早いはず。
そうしたら、上に行ったら追いつかれちゃうでしょ?
それなら、下行ってボスクリアして脱出した方が、いつ追いつかれるのかとか精神的な疲労を考えないで済む分安全だと思うんだよね」
襲われるかもっていう緊張感は精神的な耐久力をガリガリ削るからね。
魔物避けの道具はあるけど、暗殺者避けの道具とか無いからね。
「あと、アリシア、リンカとローズは魔素吸収出来ているか?」
「ダメですね、魔物としての格が高すぎて吸収も出来ませんし、ドロップ品を食べさせても効果があった感触がないです」
「だと思ったよ、アリシアの実力と魔物の格が釣り合ってない。
そのせいで魔物は成長しないってのは、テイマーだと割とあるって聞いた。
さっきのリンカ見て、じゃないかなって思ったんだ」
「ここの下行けば、それも解消出来るって言いたいんだな」
「その通り!」
俺もなー
エレオラがジト目で見てきたけど、何も言わないからスルーしておこ。
「理由はそれだけか?」
領主鋭い。
「ジジイが取ってこれるなら、ダンジョンコア取って来てくれって言ってた。
こっちのやつの方がデカいから交換してパワーアップするとかなんとか」
「理由はそれだけか?」
領主鋭い…。
「え、えーっと…ガヴェインのおっさんも鍛えられるし良いかなぁって…」
「………」
領主…。
「すいません!ここの下行けば、俺も魔素吸収出来るかなって思いました!
半端な魔物じゃもう俺吸収出来ないんです!」
「…っぷ!はっはっは、素直でよろしい!良いぞ!お前の提案に乗ってやる」
領主優しい!
「ギルドのステータス見たら、ジョブ付いたしレベルも上がったのに対して強くなってなくてさ、もっと魔素確保しないとヤバいと思って」
「ん?あぁ、それは計測限界値まで行っただけなんじゃないですか?」
「へ?どういう事?」
ヴィンスさん解説プリーズ。
「あれって元はダンジョンコアっていうのは知ってますよね?」
「うん」
「ダンジョンの魔物は生み出す時にレベルによる能力の限界値が存在します。
その名残で計測でも計測できる上限値があるんですよ。
それを超えた数値は表示されませんよ」
「そうなの?」
「目盛が100までしかないもので200の物を測っても100までしか出ないってのと同じですね」
「なんだぁ」
「という事で下に行く理由が一つ減りましたけど、どうします?」
「んーそれでもやっぱり下行こうよ。
ここで鍛えておかないと、この先厳しそうだし」
「そうだな、鍛えておいた方が良さそうだな」
領主が真面目な顔で頷いた。
どう考えてもこの先は困難な情勢になるもんね。
これは俺のスーパーハードのせいじゃないと思う。
…俺のせいじゃないよね?
歌舞伎や大衆演劇に出てくる美青年の決めゼリフ




