お前が消えて喜ぶ奴にお前のゴールを任せるな。
ガヴェインも様子に気づいたらしく、俺の方に近寄ってきた。
「お前、人は殺せるか?」
小声でそう聞いてくる。
「ダンジョンじゃ全部飲み込まれて無くなるんだろ?じゃあ人型の魔物と変わらないよ」
ちょっと強がってみた。
「あいつら、魔素ださねぇぞ」
「あの程度の実力の奴らじゃ、どの道魔素は吸収できないし」
「そうか」
ガヴェインがニヤリと笑う。
どう見てもこっちが悪人です。
「ユルゲン、後ろの連中はなんだ?」
領主がよく通る声で質問する。
「ん?あーこいつらはお館様の救出部隊だそうだ」
「パッと見、冒険者に見えるが、ギルドじゃあ冒険者手配出来ないって言われたんだがな」
今度はガヴェインがユルゲンにそう質問する。
「あぁ、こいつらは北の辺境伯のお抱えだからな、正確に言えば冒険者じゃないな」
「お前、そこまで分かっててそっち側につくのか」
ガヴェインがいつも以上に凶悪な顔になる。
事情が知らない人が見たら、絶対通報されるな。
ユルゲンがニヤリと笑う。
そっちはそっちで、不敵な笑いの代表みたいな顔をしているよ。
「そんな訳ないだろ、コイツらについて来れば早く見つかると思っただけだ。
おい!お前ら!俺は今からこちら側に付くからな!そのつもりでいてくれ!」
味方になるんかーい!
ユルゲンはクルッと反転してこちらに近づいてくる奴らに向かってそう宣言した。
「ププッ、ユルゲンらしいな」
思わず領主が吹き出す。
もうなんでもいいや、戦力が増えるに越したことはないし。
「こちら側も何も我々はご領主様を救出に来ただけですから、敵対する理由は無いと思いますが?」
向こうのリーダーっぽい人がそんな事を言ってる。
「あっそ、それは俺たちが居れば充分だからもう帰って良いよ、早く帰って」
とりあえず俺は、相手のリーダーにそう言ってみた。
さっきからギラギラに殺気出してる奴ら後ろに控えさせてよく言うよ。
「うーん、じゃあ充分かどうか、貴方達の実力を見てみましょう」
その言葉を合図に後ろに控えていた冒険者風のごろつきどもが一斉に剣を抜く。
うちにごろつきも負けてない、領主を庇うような位置取りをしながら臨戦体制に入る。
「あ!そうだ思い出した!こいつら死んだら雇い主に伝わる魔道具持っているんだった!殺さないようによろしくぅ!」
皆んなに伝えながら俺は真っ先に敵のど真ん中に突っ込む。
散々闘技場で乱闘してきた事が、こんな所で役に立つとはなぁ。
正直あいつらに比べたら緩い!
同士討ちにならない様に剣先が鈍っている。
あいつら同士討ちになろうが構わずに全力で殴ってきてたからな、刃物だろうがなんだろうが当たらなければどうということは無いって偉い人が言ってた!
完璧に目的を果たしたいなら、俺を無視して領主を狙うべき。
乱戦をしようと突っ込んで来た相手に乱戦を仕掛けるのは相手の思惑に乗ることになるし、進軍のスピードも落ちる。
例え、犠牲者が出ても無視すべきなんだけど、予想通りそこまで鍛え上げられた相手じゃないね。
自分を犠牲にしてでも目的を完遂なんて殊勝なやつはいなかった。
自衛のために、目先の手柄のために俺を狙ってくる。
後ろが混乱してると前に集中出来ない。
その状態で実力のある者が前から戦力をすり潰していく。
個の力が劣っているのに衆の強さを活かせないなら、こちらが負ける事は無い。
「パーパー!」
なんか紅い九官鳥が飛んで来た!
「ギィィィヤァァァ!」
俺の後ろから襲おうとしてた男が顔を押さえながら。
のたうち回る。
なんんとなく分かっていたけど、リンカ九官鳥サイズバージョンが俺の肩に乗った。
「パパ!」
「もしかしてリンカ、ちっちゃくなり過ぎてパパしか言えない?」
「パパ」
「こっちの言う事は理解できる?」
「パパァ」
コクコクと頷いているから意思の疎通は大丈夫そう。
「力回復してないから、それ以上は大きくなれないのか?」
「パァパ」
「そっか、俺は大丈夫だから、そのまま肩にしっかり掴まっていなよ」
「パパッパァ」
周りから襲いかかってくる奴らを次々無力化しながら、リンカとの会話をすました所でギアを1つあげる。ー
混乱目的から殲滅目的に攻撃を変化させた。
手首と膝潰せば大体降参するから、手っ取り早く潰していく。
ほどなく戦闘が終了する。
「ごめんなさーい、まだ回復全然してないから、大人しくしててって言ったんだけど、聞いてくれなくてぇ」
アリシアが謝りながら近寄ってきた。
「魔素も吸収できないし、出てくる意味は無いけど、俺は嬉しかったから問題なし」
肩に乗ったリンカを撫ぜながらそう応える。
作戦会議をしなきゃ。
俺の意見聞いてくれるかなぁ?
歌詞




