嫌われるのは構わぬが、足を引っ張られるのは困る
「なぁ、何でお前はここに居るんだ。」
魔物戦が始まる前にクレーマに思わず聞いてしまった。
「よく分からないんですが、これから毎日坊と戦うなら強くなれと言われまして、いつも旦那が1番強い魔物と戦うので一緒にされたみたいで」
12歳の子供だからしょうがないが、坊ってなんか慣れないな。
「うわぁ、俺を倒す相手のパワーレベリングを俺自身にやらせると、無茶苦茶だな」
「いやぁ、さすがに坊に拾って貰った命ですから、坊に迷惑かるような事しませんぜ」
「当初に予定じゃ完全に捨てゴマだもんね、あれ成功しても失敗しても殺す気だったよね」
そう言ってると、向こうから魔物が現れた。
俺は知らなかったけど、クレーマは知ってる魔物らしい。
「ありゃあ、ポイズントロルですぜ、俺らは腐りトロルって呼んでますがね」
「毒じゃないの?」
「毒なんですが、アイツの体液に触れると腐るんですよこっちの身体が」
「クレーマ魔法使える?」
ポイズントロル達を見てクレーマに聞いた。
そう、達なんだよね。
こっちが2人だから、相手も2体って事なんだろうね。
ふざけんな!勝てるかぁ!
「あっしは一切使えないですぜ、というか、使える方が珍しいんで使えない方が普通ですぜ」
だよねぇ、期待はしてなかった。
「アイツって普通のトロルと一緒で打撃に耐性ある?」
「ええ、あるみたいですぜ、ただ、火には弱いとか聞いた事あります」
「まぁ、何とかなると思ってたんだけどねぇ、1体ならね」
「どうします?」
「1体倒すまで、逃げ回れる?いや、逃げ回って生きて」
「え!アイツ相手にですか?」
「頑張れ!」
俺は満面の笑顔でそう言った。
魔物との対戦が始まった。
あっという間に数十分経った。
クレーマは何とか逃げ回ってるが、余計な動作が多いせいでかなり疲労している。
俺の方は何とか削っているが、回復能力があるせいでなかなか決定打が出ない。
まだ時間がかかりそうだ。
全力を出せばなんとでもなるけど、ここで全力出したら今まで頑張って隠してたのが全部無駄になるのが嫌だ。
そうしてダラダラと長引いてしまっている。
あ、マズイ。
疲労からか、クレーマの足がもつれて転んでしまった。
だめだ、ここからじゃ間に合わない。
あぁ、もう!
仕方なく俺は三節棍を解禁した。
そのままじゃ厳しそうなので、魔法も付与する。
くぅぅっ、今まで砕属性しかないフリしてたのに、砕じゃコイツにあんまり効かない。
経験的にコイツみたいなゴムみたいな打撃を吸収してしまうタイプのモノには砕属性は効果が薄い。
仕方がない、ゴブリンキングでも使った撃属性を付与する。
クレーマを襲おうとしてたポイズントロルの耳の下くらいに突き出した棍が三節棍状態になり伸びてヒットする。
予想通り撃属性はよく効いた。
あーぁ、もう隠してる意味ないよな。
クレーマの所に駆け寄る。
「クレーマ!俺が引きつけるから1回だけで良いから全力で突きさせるか?」
クレーマが激しくうなずく。
クレーマが使っている、シミターっぽい小剣に撃属性を付与する。
もうしょうがない、今まで隠して来たものの8割くらい出してしまおう。
ここからは2体とも三節棍を駆使して俺に引きつける。
もう、撃属性はつけっぱなしだ。
充分こちらにトロル共を引き付けた所で、クレーマが突進して突き刺した。
『ギギャァァ』
トロルが思わず痛みに叫んだ。
その空いた口に向け全力で三節棍を突き刺す。
そのまま脳まで貫通させて1発でしとめた。
「あぁぁぁ!」
クレーマに体液がかかったらしい。
駆け寄ってクレーマに癒属性を身体に付与する。
これで、完治はしないだろうけど悪化もしないはず。
残りは1体。
危なげなく仕留めた。
2体分だからクレーマにもたっぷり魔素が入る。
今度のランキング戦用に隠してた奴ほとんど公開してしまった。
くっそう!向こうの思惑に完全にハマった感じでめっちゃ気分悪い!
この後のクレーマ戦で八つ当たり決定だな。
いや、苦戦したのはコイツのせいでもあるから、あながち八つ当たりでもないか。
あるスペースオペラの義眼の人のセリフ




