お前は俺を怒らせた
あっという間に当日になった。
負けたら死、なのに相手を殺してはいけないという、理不尽極まりない決闘だ。
まぁ、でも死ななきゃいいんでしょ、それ以外は考慮しないもんね。
普通にやって、負ける要素はない!
俺の剣は150cmほどの鍔なしで、普通の剣より厚い。
ほぼ棒だけど、それでも一応刃はあるし剣先もまぁないわけじゃない。
万が一が無いように気を使いながら戦わないとならない。
なんだかなぁ。
まぁ、嫌でも決闘は始まるんだけどね。
こっちはギャラリー無しって言うか断られた。
審判にガヴェインがいる。
相手はマシューと護衛っぽいのと…なんだあれ?
見た事ない顔ぶれが3名、服装も騎士服だけどなんか似合ってない。
考えても分からないし、もう決闘は始まるからとりあえず目の前に集中しよう。
こういうめんどくさい事はさっさと終わらせよう。
相手は見事な全身鎧、兜まで被っている。
こいつこの装備で動けるのか?
まぁ良いや、やる事は同じだし。
俺は一気に近づき下段から足をすくうように振る。
バランスを崩した所にそのまま、弧を描くように動かした剣を上段に当てる。
これを相手が転ぶまで繰り返す。
…今回は繰り返すまでもなく転んじゃったけど、体幹鍛えとけよ。
後は首元に剣先を当て…うおっと!
いきなり左手からファイアーボールが飛んできた。
ニヤニヤしながらバカ息子が起き上がってくる。
「どうした、魔法に驚いたか」
そう言うと今度はウォーターボールが飛んできた。
しかもそれを避けると間髪入れずエアカッターだ。
なんだなんだ、落ち着け!
あいつが呪文破棄でこんなに魔法撃てるわけない。
警戒しながら牽制していると、もう一回魔法を撃ってきた。
今回もファイアーボール、ウォーターボール、エアカッター。
左手から出てるな。
あの指輪か?
こいつ自分の魔力消費してるか?
3回目の魔法撃ってきたが、一向にこいつが何かを消費してる気配がない。
しかも毎回同じ魔法。
あの中にこんなに魔法が詰まってる?
いや、そんな感じしないな。
…あ!
3発ってもしかしてあいつらか?
じゃあ、あの指輪は魔法の転送装置か。
だから、いまいちタイミング悪いんだ。
こいつが自分のタイミング撃っているんじゃなくて、向こうが放った奴をこれに一時的に貯めて放出してるだけだな。
位置取りを上手く誘導して、向こうの3人が視界に入るよう動いた。
後は向こうの3人の動き見ながら、こいつにカウンター入れていく。
「ンガァァァァ!」
何回かの攻防で綺麗に左手首にこっちの突きが入った。
しめた!
こっちの世界には回復魔法あるから手首取れても簡単にくっつくよね。
徹底的に手首狙いで攻撃していく。
ナマクラでもしつこく同じ所攻撃すりゃ、手首くらい取れるだろう。
うーん、そんな簡単に取れないか。
向こうもこっちの左手狙いに気づいてかばうようになってるし。
でも、そこで左手かばうと魔法が来ないから、こっちの追撃が面白いように決まるんだよね。
両手へし折って、それでも降参しないなら両足折れば流石にギブアップするでしょ。
とりあえず、利き手の手首を砕く、さらに肘も砕く。
ゴバァァン!
反対の手もって思ったらいきなりファイアーボールが横から俺に直撃した。
おいおいおい、なんでもあり過ぎないか?
場外から直接魔法撃ってきたぞ。
流石にガヴェインが抗議している。
あ!バカ息子に何か魔法飛んできた。
うわ、回復魔法だよ。
こっちが本命か!
急にバカ息子の動きが良くなった。
こいつ、身体強化の魔法かけてもらったな。
さっきのファイアーボールはこれをかける隙とガヴェインの意識を逸らすためか。
「おらおら!俺はまだまだやれるぞー!」
やれるぞじゃねぇよ。
このやろう。
調子に乗って突進してきた。
丁度足が降りる場所に『クリエイトマッドパイ』をかけてやる。
泥団子も硬さを調整できるので、硬めにしておいた。
「うわー!」
盛大にひっころんだ、だからお前体幹弱すぎだって。
どうせ回復かけるんでしょ、だったら遠慮しないぞ。
俺は出来るだけ端っこを持って両腕で思いっきり振り下ろした。
狙いは首の付け根。
ここなら兜かぶって居ても隙間あるから相当ダメージ入る。
っていうか一撃で首と胴が離れるかもしれない。
ドゴン!
綺麗に首に入った。
おー防御魔法と回復魔法の併用で凌いだか。
なかなかやるな!
もはや俺の対戦相手は外にいる3人だ!
バカ息子が起き上がるタイミングで思いっきり接近して兜の中の空気をエアーチェンジでアセチレンガスに変える。
そしてそのまま、ティンダー!
ボウッ!って音と共にバカ息子が転げ回る。
「目がぁ!目がぁ!」
ほれ、もう一回首の付け根に全力で振り下ろし攻撃。
回復やら防御やら忙しそうだな!
今のうちに兜外してしまおう。
無防備な後頭部に全力で振りかぶって、フルスイング!
どんなに回復しようと当たった時の痛みは感じてる訳だしね、心折れるまでめちゃくちゃやってやる。
この後も、色々折ったり、鎧の中の空気アセチレンに変えて燃やしたり、小一時間ほどほとんど一方的に攻撃してみた。
どうやら向こうの3人もMP枯渇してきたらしい。
「なぁ、まだやるのか?」
仰向けになっているバカ息子の口にバカ息子が落とした剣をネジ込んで質問する。
いい剣なんだろうなぁ、切れ味鋭いわ。
顔が小さく横に振れる
「俺の勝ちで良いな?」
お、頷いた。
「おっさん!」
「おっさんって呼ぶな!勝者リュース!」
はぁしんど、やっと終わったよ。
有名漫画の名ゼリフ




