金もいらなきゃ、女もいらぬ、わたしゃも少し魔法が欲しい。
マイペースに投稿します
「えーーーーっと、なんだろうな」
怒らせたらダメっぽい相手に何か喋ろうとしても、そもそも何言ったら怒るのか分からないから何も出て来ない。
「どうした?何か聞きたいことがあったら遠慮なく質問せい」
「いやぁ、変なこと言って気を悪くさせるのも、悪いというか、なんというか…」
「ふーむ、じゃあ3回アウトまでは何言っても許すのならどうじゃ?それなら3回アウトになるまでは安心じゃろ?」
「あ、それはありがたい!じゃあ…」
「ワンナウト」
「ええぇ!」
「ツーアウト」
「ちょちょちょ!ちょ待てよ」
「スリーアウト」
「マジかぁ!」
「冗談じゃ」
ガジュマルが、ふぉっふぉっふぉっと機嫌よさそうに笑う。
このジジイ…。
「すまんのぉ、おぬしが面白すぎてついつい遊んでしまうのじゃ」
「…なんか俺にようじっすか?用ないなら帰ってもらっていいっすか?俺も暇じゃないんでぇ、コボルトとゴブリンの争いも気になりますし」
「なんじゃ、おぬしが面白いからわしの樹木魔法を伝授してやろうと思ったのじゃがな」
「すいませんでした!お願いします!魔法おしえろクソジ…教えてくださいおじいさまっ!」
あっぶねぇ、ちょっと本音漏れた。
「ふむ…どうするかのぉ」
「あ、その前にその樹木魔法って何出来るんですか?」
「植物に関する魔法じゃな。人間どもが使う木魔法の上位魔法ってとこじゃな」
「えーっとごめんなさい。まったくピン来ないんで、具体的にどんな効果あるか教えて貰っていいですか?」
「植物の名前や能力が分かるとか、植物の成長が早くなるとか…」
「なんじゃそりゃ、パッとしない魔法だなぁ、あんまり役に立たないじゃないの?」
「美味い木の実を生やすとか、薬草の効果をあげてポーションのようにするとか、植物を媒介にして周りを偵察するとか」
「大変失礼な事を言いました!申し訳ございません!是非!是非!伝授してください!」
もう、土下座通り越して土下寝状態で必死にお願いする。
食料確保、怪我の治療、敵場偵察って今の俺が必要な事全部じゃん!
ピンポイントにドストライク…ん?ドストライクすぎねぇか?
「なんか随分俺に都合良い魔法に聞こえるんですけど?」
「そりゃそうじゃ、おぬしの都合に合わせた魔法にしてあるからのう」
「え?え?どういう事?」
「魔法とはな発想力じゃ、その属性であれば出来るであろう事を、想像し創造する事で柔軟に効果を変えられのじゃよ」
「え、じゃあ植物使って相手をぶん殴る生きた木みたいの作るとか?」
「おぬしの知性と賢さが見合えばな」
ざっくりとステータスの説明を受ける。
「あーなんとなく分かった」
前世の記憶があるだけに、こういう話なら理解が早い。
ようは知性が成功率、賢さが保有MPってとこだね。
攻撃的な魔法だと知性がそのまま攻撃力になるのも理解した。
「知性と賢さを上げる方法はないの?」
流れですっかり敬語使わなくなったけど相手も気にしてないようなのでこのままいこう。
「いくつかあるぞ」
長々と説明されたけど、ざっくりと言えば
基礎ステータスの訓練、腕立てで筋力、暗算で知力みたいな、賢さだけ特殊で賢さが自体が上がらなくて、MPを使いまくるとMPだけ上がっていくらしい。
スキルの獲得、世の中にはジョブというものがあるらしい、そのジョブになってジョブを鍛えるとスキルを習得出来るらしい。一度習得したスキルは一部を除いてジョブが変わっても使えるがスキルの成長は止まるらしい。
魔素を取り込む、魔物を倒すと魔素に戻るが、その時に近くにいると魔素の一部が自分の身体にとりこまれる。
それがある一定の量になると大幅に強化されるらしい、いわゆるレベルアップである。
魔物の近くに居ないといけないので遠距離攻撃で相手を倒して近づかないでいると恩恵に預かれないとの事。
この世界、純粋な魔法使いには厳しい世界だな、魔法戦士っぽい奴じゃないとレベル上がらないとか。
「とりあえず理解したんで、魔法を早くプリーズ」
「おぬしは魔法の基礎となる“名もなき魔力の輪”は作れるかの?」
「何それおいしい?」
「ここで数年修行する気はあるかの?」
「あるわけない、今すぐこんな森から出て行きたいのに」
「ふむ、じゃあわしの眷属になれ」
「なにその不穏しかないワード?」
頭に浮かんだのは俺の見た目の出来の悪いピノキオみたいな操り人形だ。
「安心せい、別におぬしの意思が無くなったり命令に背けなくなりはせん」
「本当にぃ?」
「わしを攻撃出来なくなるのと、おぬしが取り込む魔素を少しだけ分けて貰うだけじゃ」
「所得経験値が減る代わりに爺さんの魔法を使えるようになるって感じ?」
「まぁそんな感じじゃ」
ちょっと考える。
状況的にこれが全部本当なら断る理由とか何も無いんだけど、相手は人間並みかそれ以上に知性のある相手だし、全部本当とはならない可能性もある。
しかし現状コボルトの集落を越える事も危ういし、そこを越えればさらに強い相手と対峙しなければならない。
正直八方塞がりな状況でこれを逃せば不利益どうこう以前に生き残る事ができるかすら怪しい。
未知のデメリットの可能性が残っているのは危険だが、受けない訳にもいかないかぁ。
「分かった!爺さんの眷属に俺はなる!」
「ふむ、じゃあこの種飲み込むんじゃ」
爺さんに梅干しの種にしか見えない物を渡された。
ここで躊躇しても仕方がない、一息でそれを飲み込む。
「うぐわぁぁぁ」
全身に激痛が走る。
痛みに耐えきれず地面にうずくまった。
身体中の血管に何かを差し込まれいくようなそんな感触と中から何かに突き刺されるようなそんな痛みだ。
「ジジイ騙しやがったな」
俺は怨念を込めた目でガジュマルを睨みつけた。
ガジュマルがニヤァっと意地の悪い笑みをこぼす。
昔の芸人さんの決めゼリフ




