木を隠すなら森の中
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「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
俺たち全員は目の前の木を見ていた。
「あれはぁ…隠れてるのかな?」
「隠れてるつもりなんだろうにゃ…」
ここはちょと古代っぽい南国のジャングルのような森の中、針葉樹林が固まって目の前にある。
いやいやいや、おかしいだろ?
明らかに周りと違う木が10本ほど立ってるとか。
「トレントよね」
「トレントしかないにゃ」
てか、そもそもなんで木の魔物?
なんとかサウルスとか、なんとかトプスみたいなの来るんじゃ無いの?
「とりあえず倒すかぁ」
「あ、ちょっと待ってください!
あれ、パラサイトトレントだと思います」
「「「「「「パラサイトトレント?」」」」」」
俺だけじゃ無く、アリシア以外全員が知らなかった。
アリシアがアイテムボックスから本を取り出す。
「えーっと、これですこれ!」
本をペラペラとめくっていき、目的のページを俺たちに見せた。
パラサイトトレント
解説
スキル植樹を使い周囲の木に自身の一部を埋め込み、その木に自分と同じ能力を与え分身体として操る。
植樹された木は移動は出来ないが攻撃は出来るようになる。
時間経過と共に植樹された木はパラサイトトレントに侵食され、完全に侵食されると新たなパラサイトトレントとして独立する。
そのページに載っていたイラストを見ると、確かに目の前のトレントに似ている。
「よく見ると、周りの木に色の違う枝が見えます。
あれがパラサイトトレントの植樹の跡だと思います」
「あー本当だ!なんか変なのくっついてるよ!」
「にゃ?どうすればいいんにゃ?」
「えっと、完全に侵食する前に本体が倒されればそれ以上は侵食出来ないはずなんで、目の前の本体を倒すのが1番なんですけど…。」
「周りの木が邪魔すんだね」
アリシアはコクンと頷いた。
相性的に俺の武器じゃ相性良くなさそうだしなぁ。
「んじゃ、周りの木の牽制は俺とメイシアで行くから、残りでトレント倒して。
アリシアはエレオラよろしく!」
「分かったわ」
エレオラの背中が大きく見える。
いや実際大きいんだけど。
さぁ、戦闘開始だ!
ダッシュしようと数歩進んだ瞬間に周りの木の枝が急激にしなりだす。
タチの悪い魔物だよなぁ
自分達を囮にして周辺の木が奇襲するとか、これアリシアが気づかなかったら割と酷い目に遭ってたな。
次々と襲ってくる枝の攻撃をかわす。
どうやって俺を認識してるのか分からないけど、正確無比な攻撃をしてくる。
ま、乱戦は得意だけどね。
渾身の一撃を木の幹に打ち付ける。
「あ、ダメです!そこはまだ普通の木の部分なので、後ろの刺さっている枝を攻撃しないと」
お!言われてみればそうだった。
「にゃ!かなり難しいから引き付けて回避に専念するにゃ!」
アクロバティックな動きで相手の攻撃を回避しながらメイシアからアドバイスが飛んできた。
確かに狙うために回り込もうすると他の木から攻撃がやってくる。
しかも少しだけど枝は伸びるようだ、間合いがつかみにくくてどうしても回避行動が大きくなってしまう。
「「「後は任せろ!」」」
三元豚の声が綺麗にハモった。
確かにあいつらの武器だと相性いいもんな。
まぁ、エレオラみたいに相性もへったくれもなく、粉砕してる人もいるけど…。
なんか破壊力増してない?
本体が倒されると、こっちの攻撃も減ってくる。
半分ほど倒された時点で一気に形勢がこっちに傾いてきた。
小一時間ほど戦闘をすると全滅させる事が出来た。
「ここのダンジョンの特性みたいね、少ないリソースを上手く活用するなら、とても合理的だわ」
「特性?」
「ここの魔物は増えたり、呼んだり、自前で戦力を増強するやつばっかにゃ!
ここはそういう魔物ばっかりのダンジョンなんだと思うにゃ」
あー、ここのダンジョンマスターもそんな感じなんだっけ。
じゃあ、なんとかトプスみたいの出てこないのかぁ、ちょっと残念だな。
パラサイトトレントはそこそこ強いみたいで、俺以外の人はみんな魔素が吸収できている。
「枝がドロップしたけど、使い道あんまりなさそうだなぁ」
小さい枝が1本だけドロップしてた。
ドロップ率もそんなに良くなさそうだ。
「とりあえず、ここで限界まで魔素吸収しておこう!次はボス戦だし!」
しばらくここで鍛えて次の階層に移動した。
ボス戦かぁ、できれば穏便に済ませたいな。
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