敵の敵は味方だって思ってた時期もありました。
マイペースで更新します
気絶したゴブリンをコボルト集落のそばまで引きずっていく。
あまり近くに寄ると気づかれてしまうが、出来るだけ近くに置いた。
一応作戦としては今までゴブリンを襲っていたのはコボルトで、それを知ったゴブリンが報復に来て集落を襲いその混乱のどさくさで向こう側に抜ける。
ダメ元だけど、何もしないよりはマシかなって作戦。
しばらく待っていたら、気絶したゴブリンは黒い魔素になって消えました。
おぉぉぉぉい!
いや、待て待て、発想自体は悪くないはずだ。
ちゃんと気絶させることを目的として襲えばなんとかなるはず。
そうと決まればゴブリン狩りだ!
4回ほど失敗して、ようやく上手く事いきそうです。
その途中で手に入った指や耳ついでに棍棒も集落に向かって放り投げておいた。
ゴブリンが復活した時にタイミングよくそれらを食っていれば、作戦の成功率上がるかなと思ってやってみたら。
運良く、ちょうど食ってる最中にゴブリンが復活した。
それを見たゴブリンはすごい形相をしながら後退していった。
これは!上手くいくかも!
自分の才能が怖い。
木の上から眺めながら思わず自画自賛してしまった!
前世の知識はまったく活かされてない気もするけど、伊達に78年も生きてた訳じゃない!
こっちに来る時のステータスのフリも良かったのもあるかもだけどね!
今、俺の目の前ではゴブリンvsコボルトの仁義なき戦いが繰り広げられている。
ゴブリンコミュニティの情報伝達力も意外にしっかりしているらしく、続々とコボルト集落へと向かっている。
ただ、作戦とか戦術とか戦略とか、そういったものは全くないらしく5〜10匹のゴブリンが20匹前後のコボルトに際限なく突っ込んでは迎撃されるというのを繰り返しているんだけど。
気になったのは、そんな戦闘中でも耳や指が落ちるとコボルトが食う事を優先する事。
よっぽど抗えない本能みたいのがあるんだなってのがわかる。
ただ、戦闘中断して食うから、そこをゴブリンに襲われて何匹かコボルトも倒されているんだよね。
その時にコボルト側も耳が落ちたみたいなんだけど、今度は逆にゴブリンがそれを貪り食ってた。
どうやら同種族じゃダメで異種族だと何よりも優先して食うって感じだな。
何かの役に立ちそうで立たない無駄知識となりそうな発見だった。
そんな中でも、コボ造(例の餌付けしてたコボルトに命名)は食いながらゴブリンを迎撃している。
やっぱ格が違うね!
そんなコボルト有利な状況も半日ほど経つと少し変わってきた。
耳や指食ってる最中だけでなく、たまたま当たりどころが悪くて倒されたコボルトなんかも居て人数的にも10匹くらいまで減ってきた。
それに、流石に疲労もしてきているようだ。
その為、ゴブリンを迎撃するのに当初より時間がかかるようになり出した。
次の集団が到着するまでに前の集団を倒しきれないタイミングが徐々に出てきている。
「ギャガガガ」
普通のゴブリンより一回り大きな体格のゴブリンが、15匹ほど引き連れてきた。
初めてゴブリンがコボルトを数で上回った瞬間だ。
コボ造が体格の良いゴブリンと対峙する形で戦闘が始まる。
単体ではゴブリンに劣ると言われるコボルトなのに、1対1ではコボ造がやや有利な展開になっている。
「ゴギャァ!」
ゴブリン側が人数的に有利な為、コボ造の背後から別のゴブリンが襲いかかる。
「まずい!」
俺は反射的に木から飛び降り、石を拾ってスリングの準備をする。
そのまま走り込んで大きめのゴブリンの後頭部目掛けて石を投げつけた。
不意打ちが成功して怯んだ相手をコボ造は持っていたナイフで鮮やかに切り裂いた。
2匹とも難なく処理して、俺と目が合った。
コボ造がニッと歯を見せる。
おそらく笑ったのだろう。
俺もニヤっと笑いサムズアップする。
他の奴らと違い、餌を与え続けた俺との絆が垣間見えた瞬間だ!
「グルァァァ!」
なんて事は無かった!
いきなり俺に飛びかかってくる。
「おうわぁっ!」
俺の口からよく分からない声が漏れる。
体勢を崩しながらなんとか相手の攻撃を避ける。
「グルァッ」
なおも追撃してくる。
クソッ!体勢が崩れたせいでかわすのが精一杯だ。
しかも更に体勢が崩れる。
このままじゃいずれコボ造のナイフが俺の身体に突き刺さる。
一回大きく下がりなんとか体勢を立て直さねば!
そう考えて思いっきりバックステップをする。
2度後ろに下がったところで。
「なんだってぇぇぇ!」
思わず叫んでしまった30cm程の段差になっていた。
日頃行かない方向だったせいでこんな段差が有るとは知らなかった。
もう完全に転ぶ。
転ばないわけがない。
えぇ、絶対的不利ですよ、案の定コボ造飛びかかってきましたよ。
「やられてたまるかぁぁっ!」
持っていた棍棒を思いっきり振り回し、右足を支店に強引に回転しながら飛び上がる。
足首から嫌な音と鋭い痛みが走るけど構ってなんかいられない。
運良く棍棒が相手の顎下をかすったらしい。
怯んだコボ造めがけて棍棒を振り下ろす。
後はもう滅多うち。
無我夢中で棍棒を叩きつけた。
「はぁっはぁっはぁってはぁっ」
誰だよ敵の敵は味方とか言った奴。
四方八方全部敵じゃねぇか。
「うっくっ」
その場でしゃがみ込んだ俺は足首を抑えながら、痛みに耐える。
下手に大声を出して他の奴らに来られるとマジで詰む。
「ふぉっふぉっふぉっ面白い奴じゃの」
「☆%¥〒♪○?!?!?!?!?」
心臓が飛び出すかと思うくらい驚きながら口に手を当てて声を無理矢理殺した!
慌てて声のした方を見ると、そこそこ大きい木の根元に60cmくらいのお爺さんがちょこんと座っていた。
作務衣っぽい服に、還暦祝いの時に着るようなチャンチャンコっぽいものと帽子を被っている。
作務衣っぽい服は濃い青に近かかったが、全体的なイメージが赤いお爺ちゃんって感じだ。
「え?誰?いや違うな、何?人間じゃないよね?」
「わしか?わしの名はガジュマル。おぬしらが言うところの木の精霊って奴じゃな」
あぁ、俺の前世でもそういうのあったな。
沖縄のキジムナーだっけ?
あれ?ガジュマルの木に住む精霊だった気が?
まぁ、異世界だし細かい事はいいや。
「基本的な質問でごめんね。魔物と精霊ってどう違うの?」
「一緒じゃよ。おぬしらの言葉を理解し会話が出来るものを精霊、出来ないものを魔物って勝手に人間が分けただけじゃ」
「え!じゃあ、もしかして俺このまま殺される?」
「どうも誤解しておるようじゃが、魔物だから人間を襲うってわけではないのじゃよ」
「あ、そうなんだ」
「あからさまにホッとしたな」
ガジュマルがどこかの黄門様みたいな感じでカッカッカと笑う。
「ところで、ここで会話してるとコボルトかゴブリンに見つかってしまうかもしれないんだけど」
殺さないとは分かっても得体の知れない相手だし、そろそろおいとましたい。
「それは大丈夫じゃ、わしの樹木魔法で結界を張ってある。」
え!なんかすげぇ!
おめでとうございます!俺の中でこの世界で逆らったらダメな相手第一号に認定されました。
しかし、目的も性格も分からないあからさまに強そうな相手って、精神的な何かがガリガリ削れるな。
なんか足首の痛みより胃の方が痛くなってきた気がする。
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