初めてーのー窮(地)、君の窮(地)
周辺がザワザワと音がする。
さっきのレッドキャップより明らかに頭頂の突起が大きくて赤い奴らが6匹ほど見える。
気配的にはもう少しいそうだ。
「はっはっは、お前達はそこで見ていろ!
俺たちの実力を見せてやる」
さっきのレッドキャップとの攻防見てて自分達でもいけるって思ったな、ありゃ。
マシューを含めた8人が戦闘体制に入る。
あーマシューだけ随分貧相な装備だなぁ。
ボロボロの革鎧に使い古したショートソード、あれじゃあまともに戦えないだろー。
「ティー、レッドキャップ全部で何匹だ?
姿は見せるなよ」
「うん、12匹だよ」
もう少しどころじゃなかった。
「ところでバカ息子騎士団の奴らって強いの?」
「そんな事あるわけないにゃ」
メイシアが騎士団の名前を一切訂正しないままに答えた。
「あいつら絶対負けると思うんだけど、ここで見殺しにしたらダメかなぁ?」
「ダメだろうね」
エレオラが、苦虫を噛み潰した表情のお手本みたいな顔をしている。
「仕方ないなぁ、出るかぁ。
あ、アリシアは俺の後ろ付いてきて。
武器はぁ…これで良いか」
俺のアイテムボックスに入れていた練習用の短槍を渡す。
一応、槍も練習してるんだよね。
やっぱり、しっくり来ないけど。
「うん!」
アリシアって良く言えば積極的、悪く言えばお転婆だよね。
「にゃ!ちょっと待つにゃ!アリシアを戦闘に参加させるつもりにゃ!」
「大丈夫大丈夫、この前のオークで散々魔素吸ってるでしょ。
あいつらよりよっぽど強いと思うよ」
俺たち7人は軽く打ち合わせしてから、馬車の前で待機してた。
どうせ今参戦しても文句言われるし、タイミング悪いとあいつらにも魔素行っちゃうから、いい感じでやられそうになるまで見ておく事にした。
見とけって言ってたしねぇ。
今、悪い顔してる自覚はある。
「うわ!おい、マジか!」
マシューがいきなり窮地に立たされた。
いくらボロい装備でも開始30秒も立ってないのに、窮地って弱すぎだろあいつ。
「アリシア!マシュ…あいつの援護入って!」
そう言えば、アリシアにマシュー紹介してないや、名前言っても分からないよね。
フワッとした指示を出してから、マシューに向かって全力でダッシュする。
放っておくわけにもいかないしなぁ。
あ、マシューこけた。
このままじゃ間に合いそうもない。
俺は立ち止まると何も持っていない手を大上段に構える。
そのままアイテムボックスからちょうど自分の手の位置に三節棍が来るようにして、掴んだ三節棍を思いっきり振るような動作で振り抜く。
完全に動作が終わる前に魔力を通して棍状態の三節棍の接合部分をバラす。
狙い通りにマシューを襲おうとしているレッドキャップに三節棍が向かっていく。
こいつは魔力を充分に通しさえすれば、棍状態の3倍以上まで鎖が伸びる能力がある。
そのおかげで加減が難しいんだけどね。
距離的には充分届くはず。
威力の方がが一撃で相手を倒せる確証ない。
1番見た目が地味で効果もわかりづらい、砕属性を付与する。
もちろん無詠唱で。
最初は詠唱してたけど、少し練習したらどの属性の魔法でも詠唱破棄も魔法名破棄も簡単に出来た。
樹木魔法でずっと詠唱無しでやってたせいか、むしろ何も言わないで魔法かける方がやりやすい。
詠唱してた時よりも威力の幅もあるし、ジジイの言ってたように、詠唱って同じ効果出すための縛りなのかもしれないな。
通常よりも威力増し増しな砕属性付きの三節棍がレッドキャップのコメカミ辺りに的中した。
砕属性付与の効果は部位破壊だ。
打撃系の棍だと外からじゃ効果の有無がほとんどわからない。
しかし、効果は場所によっては絶大で、今回のようにコメカミ辺りに当たれば、頭蓋骨が粉砕する。
最低でも昏倒は確実。
レッドキャップはその場で崩れ落ちる。
援護に向かったアリシアが念の為止めを刺している。
俺はマシューに駆け寄ると。
「危ないから、馬車に逃げていろ!」
と声をかけた。
マシューとアリシアに魔素の一部が吸収されていく
予想通り俺には吸収されない。
これは成長しないという残念な事実と、俺の敵じゃないという嬉しい事実をあらわしている。
とは言え、このやり方だとMPを結構使う。
派手な魔法使ってバレたら問題だし、この後のことも考えたらあんまりMP使いたくないし。
なので、ちょっと作戦を変える。
マシュー以外のバカ息子騎士団は最悪どうなっても構わないしね。
「アリシア、確認だけどあいつらも呼吸してるんだよね」
「うん、魔物でも一部を除いて呼吸しているよ、窒息死させた事例もちゃんと残ってるし」
「オッケー、とどめ刺すの任せるよ」
「わかった!」
俺は三節棍をしまうと近場のバカ息子の取り巻きに向かっていく。
アニメの歌の歌詞




