窮鼠が猫を噛んでも、勝ったって話聞かないよね
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少しは障害物になると思っていたコボルトの寝床はほとんど役に立っていない。
あっという間にオウルベアは残り10mくらいまで近づいてきた。
俺は手に持っていた棍棒ごと今品種改良した種に植物育成をかけていく。
ての中で植物が急激に育つ。
その植物が充分棍棒に絡んだところでそれを地面に放つ。
棍棒を絡ませた植物は陸にあがったウナギのような動きで暴れまわりながら成長していく。
とにかくウネウネと暴れ回りながら周囲に巻き付くように品種改良した。
俺のイメージ的には棍棒を錘代わりにした分銅である。
上手く相手の足に絡まってあわよくば転倒でもしてくれればと思ったのだが…。
「絡まったまま走ってくるんじゃねぇよ!」
声を出せば体力が削れるって分かっているけど叫ばずにはいられなかった。
何だこの規格外野郎は!
「ジジイ次!」
もう爺さんとかいう余裕もない。
種を受け取ってまた魔力を目一杯使って品種改良する。
今度は反対の手に持っていた毒ナイフと一緒に植物育成をかけて投げつける。
動物に寄生する寄生植物に品種改良しておいた。
毒ナイフも絡めてあわよくばナイフをジワジワとめり込ませる事が出来ないかと試してみた。
これは完全に失敗とも言えない結果になった。
一応相手の身体に絡んでいるしナイフの刃も相手に刺さっている感じになっているんだが…どうやら相手が硬すぎて薄皮1枚で止まっている感じだ。
もう少し入らないと毒の効果は見込めない。
「ジジイ!」
次って言うのも忘れてジジイからむしり取るように種をむしり取る。
「足りねぇ!」
この爺さんいくらでも種出てくるな。
右手いっぱいに掴んだ数十個の種に一斉に魔力を込めて品種改良する。
それが終わったらすぐさま植物育成して地面に投げつける。
最初の奴に近い効果だが今回はもっと網状になるように大量に周りの柱などに巻き付くようにした。
オウルベアは案の定無視して走り込んでくるが、周りに絡みついた植物をそれごと引っこ抜く形になるから、流石に少し速度が落ちる。
これでなんとか毒池までたどり着ける!
「爺さん、もう少し大きく育つ種をくれねぇか」
毒池に飛び込むようにして入り中央辺りまで来たところでそう頼み込む。
無言で梅干しの種くらいの大きさのを渡す。
「念の為もう一つくれ」
そう言うと同じ物をもう一つくれた。
それを両手に1つづつ持ったところでまずは右手に持った種を全力で品種改良する。
左手の不測の事態用の予備だから、俺はこれで決着つけるつもりだ。
コボルトの寝床だから小屋とも呼べない粗末な建物だが、それでもあれだけの数を絡めたり壊したりすれば多少の体力は削れたと思う。
…うん、そんな事は無かったね。
この化け物にとっては多少スピードが制限された程度だったらしい。
改めて見るとデカい。
こいつに毒は効くのか?という不安が持ち上がってくる。
だが、ここで毒を飲ませる事以外で勝機があるとは思えない。
覚悟を決めるしかない。
オウルベアが池の中に入ってくる。
何も警戒してる様子はない。
というより警戒する必要がないんだろうな。
それくらい実力に差がある。
「うわ!」
俺は右の動こうとして盛大に転けた。
水の中に完全に沈んだ俺を上からのしかかろうと化け物は近付いてくる。
かかったな!
そして俺に手をかけようと前屈みになった。
ここだ!
俺は全力で品種改良した種にありったけの魔力を込めて植物育成する。
種は発芽するとみるみる成長していき、化け物の首周りに絡みつくとそのまま水中に引きずり込む。
俺の品種改良で種を簡易ゴーレム化させた。
『「え、じゃあ植物使って相手をぶん殴る生きた木みたいの作るとか?」』
『「おぬしの知性と賢さが見合えばな」』
俺はあの時の言葉を思い出していた。
あの時よりある程度成長している俺ならば、限定的な動きであれば出来るはずだと考えた。
しっかり根を張り、相手の頭周辺に絡みいて水の中に引きずり込む。
相手は体制的に力を入れづらいはずだし、これで相手が水を飲み込めばよし、飲まなくてもこの状態なら窒息するはずだ。
後は俺が隙を見て化け物の下敷きにならないように抜け出せばこれで詰みだ!
全力で池から抜け出そうと体を入れ替える。
!!!
化け物に腕を掴まれた。
しかもよりよって左腕だ。
魔物がわざわざ道連れにするような行動すると思っていなかった。
死ななように足掻くには分かる。
だが死なば諸共なんていう行動は想定外すぎる!
思考が動物のそれよりも、もっと人間に近かった。
握力だけで俺の腕の骨を砕こうとする強烈な圧迫でネジ切れる筋肉の痛みととミシミシと軋む骨の痛みを受けながら。
池の底に引きずり込まれる。
立ち上がれば溺れる事のない浅い池の底で、俺は絶望の音聞いた気がした。
ことわざパロディ




