表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/22

7.もう一つの能力①

 言葉にならなかった。

 時間にしてわずか数秒だったが、その黒装束の3人組はその場を駆け抜け、どこかへ逃げた。

 姿は一瞬にして見えなくなる。

  

「は? なにが起こっているんだ……」


 頭が働かない。

 ……なんで? どうして? いきなり?

 理解が出来ない。


「どうしてサクヤが……」

 

 ただ、実際にサクヤはさらわれた。

 なにも出来ず、さらわれたのだ。


 そう思ったとき――怒りが湧いた。

 物凄い怒りだ。今までの中でも最大級の怒りといっても過言ではない。

 俺はそれを剥き出しにする。

 

「ふ、ふざけるなあああああああああああああ!」


 俺は怒りのままに走り出す。

 黒装束のやつらの姿は見えないが、走り去った方向はわかる。

 そっちの方に足を動かす。


「くそが馬鹿にしやがって!!」


 しかし、追いつける気がしない。

 いくら何でも早すぎる。というかもう、どこにいるのかさえわからない。

 間違いなく、魔法だろう。詠唱も唱えていたし。

 ならば、こうだ!


「我の体に導かれし、風よ。聖なる力によって汝から逃げる速さを! 【ウィンド】」


 俺もあいつらと同じ詠唱を唱えて、魔法を使う。

 今度は前とは違い、あの声は聞こえなかったが、魔法は簡単に使えた。

 なぜなのかわからないが、いまはそんなことを考えている暇などない。


「絶対に追い付いてやる!」


 物凄い速さで道を走って行く。速さで道には風が舞う。 

 幸い走るところには人がおらず、迷惑にはならなかった。


「見つけた!」


 結構走り、やっと奴らを見つける。

 手にはサクヤが捕まっていた。


「うわ、なんだあの子供! おい、なんか追いかけて来る人が来てるぞ!」


「なに、子供だと!?」


 どうやら俺の存在に気付いたらしい。


「ああ、子供だよ。しかも、こいつ俺たち同じ【ウィンド】使ってやがる」


「な、なに!? 魔法が使える子供だと……いやな予感がする。早く逃げろ!!」


「もう遅い!」


 そんな話をしている間に追い付いた。

 

「行くぞ。我が体に導かりし、水よ。聖なる力で汝を打ち砕かん! 【ウォーター】」


「「ッ!?」」


 手から勢いよく水が出て、前にいた奴を攻撃する。

 だが、その水は当たらなかった。


「くそ、走りながら魔法を使うのって難しいな……」


 当たると思って使ったのに全然違うところに飛んで行った。

 意外と難しい……

 俺もあいつらも走ってるからタイミング調整が難しいんだ。

 一体、どうやったら当たるんだよこれ……


「危なかった。こいつの攻撃はヤバい……当たったら一撃でやられるレベルだ」


「そんなに、か……マズいな」


「……仕方ない。俺がここに残ってこいつを潰す。後はお前たちに任せる」


「おお、わかった。そっちは任せる!」


「終わったらいつもの場所で合流だ!」


「おうよ」


 そう言って、一人のやつと二人のやつの二手に分かれた。

 俺はサクヤが捕まっている二人の方を追おうとすると。


「ふふ、見せてやるぜ。俺の力、スキル《無効化》!」


「な……」


 一人だった方に足止めされた。

 具体的に言えば魔法が使えなくなった。

 走るのが遅くなり、結果的に二人の方には逃げられ、こいつと一対一になる。

 

「……ここで逃げ出しても追いつかれるだけだな……」


 二人組の方を追いにいっても多分、追いつかれて意味がない。 

 なら、戦うしかないってことなのか。


 その瞬間。


『ユニークスキル《完全記憶能力》の【記憶解析】を開始します』


 またあの声が聞こえて来る。


『解析完了。結果は以下の通りです』


「今度はなんだ!?」

 

 頭の中に情報が入ってくる。


 スキル《無効化》

 

 説明:あらゆる魔法の攻撃を一度、無効化できる。

    効果範囲は半径3mまでで広範囲魔法は自分のところまでしか無効化できない。

 欠点:一日のうち最大3回までしか使えず、それ以上使おうとしても不可。


『これにて解析結果を終了します』


 その声が聞こえると説明はみえなくなり、元に戻る。


「うぅ……いまのはどういうことなんだ……」

 

 スキルの説明とやらが流れ込んできた。

 なんなんだ、一体……


「なにぶつぶつ独り言しゃべってやがる。それといい、子供のくせに魔法といい、お前さん……なにかあるな」


「……うるせぇ。それよりも、サクヤをどこにやるつもりだ」


「サクヤ? もしかして……さらった子供の名前か?」


「ああ、そうだよ。なんでそんなことするんだ。意味ないだろ。放せよ!」


「ふん、子供のくせに威勢のいいことだ。……なら、こうしよう。俺に勝ったら教えてやる。簡単なことだろう」


「勝つって……」


「ぶっ倒すってことだ」


「……」


 人を倒す。つまり、やり合うってことだ。


「まあ、でも無理だろうな。お前の攻撃など俺には効かないんだから」


「……効かない、だと?」


「ああそうだ。さっきも見ただろ。お前の魔法を無効化したんだ。これは俺のスキル《無効化》の能力だよ。すべての魔法を無効化するってな。最強だろ?」


 ニヤリと笑う。

 勝利を確信している顔だ。


「俺はお前を認めるよ。確かにお前は凄いさ。まだ小さいのに魔法を使える。しかも今のところ二つの種類も使った。だが、無効化されちゃうんなら話は別だろう。お前に勝ち目などない」


 そう言われる。

 

 くそ、どうしたら……っていや、待てよ。こいつの話と頭に流れて来た情報は妙に合致している。

 もしも、今のがユニークスキルである俺の能力で、本当に解析ができているのだとしたら……


「やるしか、ない……」


 人と戦うことを決意する。

 殴り合ったことなど一度たりともないが、俺には魔法がある。

 これであいつを倒して、サクヤを助けに行く。これが最善の手だ。


「……結局やるのかよ。大人しくしてりゃなにもしなかったのに。残念だ」


 後、二回スキルを使わせるしかない。

 話はそれからだ。


【★読者の皆様へ 大切なお願い】


「面白い!」


「続きが気になる!」


「更新がんばって!」


と少しでも思っていただけましたらブックマークと評価の方をお願いします。


(評価は↓の広告下辺りにある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に変えればできます!)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ