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4.記憶容量

「うぅ……な、なんだ……」


 目が覚めると、そこは暗闇の中だった。

 何も見えず、何も触れれず、何もわからない。ただただ不気味で暗いところ。そんな場所だった。


 歩こうと足を進めようとするが、体が動かない。

 というか体があるのかすらわからなかった。

 しかし、声だけは出せ、なにが起こっているのかいまいち理解が出来ない。 


「一体ここはどこなんだ……」 


 そう言った瞬間。


『ここはユニークスキル《完全記憶能力》が作り出した異次元空間です』


「うわ、なんか聞こえて来た!?」


 さっき聞いた、あの声がいきなり聞こえて来る。

 いや、聞こえて来るというより頭に直接声が入ってくる感じだ。

 非常に気持ち悪い。


『……落ち着いてください。私はこのユニークスキル《完全記憶能力》の補佐である、ミストと申します。以後お見知りおきを』


 丁寧に自己紹介をしてくる。


「ちょ、ちょっと待て。どういうことだ。補佐? なにを言っているんだ、意味がわからない……」


『補佐の意味はかたわらにあってその人の仕事を助けることですが……それがなにか?』


「いや、そっちの意味のことを言ってるんじゃないから。全然違うから」


 思わずツッコミを入れちゃったけど、一体全体なんなんだよ、このミストってやつ。急に出て来て、意味の分からない事ばっか言いやがって。

 ……とりあえず、会話でもしてみよう。なにかいい情報を聞けるかもしれないしな。


 そう思って声をかける。

 まあ、かけるといっても独り言みたいなものだけど。


「なあ、ミスト……だっけ。よくわからんけど、補佐なんだよな? なら教えてくれよ。この場所はどこなんだ? 俺はサクヤのところに帰れるのか?」


『さっきも言いましたが、ここはユニークスキル《完全記憶能力》が作り出した異次元空間。別名――《《黒渦》》という場所です。あなたは1日の記憶容量を超えたため、一時的にこちらの次元に移動されました。休憩時間が終われば、元の次元に戻ることが可能です。そして、この次元空間は二次元、三次元とは全く違う別次元いわゆる異次元というもので……』


「もっと簡単に! 分かりずらいよ!!」


 話が長い上に、何言ってるか全然わからん。

 こいつ、絶対説明下手でしょ……


『そうですね、馬鹿……ではなく、理解力のないあなたのためにもう少し簡単に説明しましょう』


「……馬鹿にしてんのか?」


『……いえ、別に』


 俺の言葉を無視して、話を続ける。


『つまり、あなたが能力を使い過ぎたため、一定時間の休憩を必要としていて、時間が経てば元に戻れるという事です。……はあ』


 最後にため息をはく。

 こいつも疲れるんだなっていうのは一旦置いておこう。


「……それで、その能力ってのは、なんでもかんでも全部記憶してしまうこのダメダメなスキルのことか?」


『ダメダメなスキルではなく、ユニークスキル《完全記憶能力》ですが……まあ、大方その通りです』


「ふーん」


 なるほど。大体理解した。

 こいつがいうには本を読み過ぎたせいで限界になって今は使えないってことらしい。


「……ってことはこのスキルって欠陥だらけじゃないか!? 何でもかんでも、勝手に覚えるわ。その中にも制限があるわ……酷くないか!」


『……』


「ちょっとだんまりするの止めてもらってもいいですかね……」


『……あなたにはまだ、わからないんですね』


「?」


『まあ、いいですよ』


 ちょっとふてくされた感じを出してくる。

 ……本当になんなのか。

 こいつのことは理解できる気がしないぞ。


「……そういえばずっと聞きたかったんだけど、このユニークスキルってのはなんなんだ? もしかしてお前がこの能力を俺に与えたのか?」


 急に頭が痛くなった時のことを思い出す。


 確か、こいつが最初に『ユニークスキル《完全記憶能力》の封印が解除されました。現時点で得られている情報の確認を開始します』とか言ったせいでおかしくなったのだ。

 きっとこいつになにかあるに違いない。


『与えたというのは答えられませんが、このユニークスキルというのは世界に一つしかない。つまりあなただけのスキルのことです』


「俺だけの、スキル……」


『その通りです。あなただけの固有スキルという事です』


 ……俺にしかないスキル。

 サクヤや他の人たちには絶対にないスキル。


 なんだよこれ! 聞いてるだけならカッコイイ!!

 まあ、聞いているだけならなんだけどね……


『……だから、大切にしてくださいね』


 そう言った。

 俺はその言葉に反論する。


「……こんなスキル大切にできるか! なんでこんなスキルが俺だけなんだよ。それならもっといいスキルをくれよ!」


『……もしかすると、あなたはまだこのスキルの使い方をわかっていないのですか?』


「使うもなにも覚えるだけだろうが。しかも、嘔吐物とか嫌なこともなにもかもな!」


 少し前の出来事を思い出す。

 馬車に乗っている時に吐いたものを覚えていた。

 つまり、俺にとって嫌なことも忘れることができないと言うことだ。


 こんなスキルがあってたまるか!


「……もうなんでもいいからさ。解除する方法とかないのかよ。ほら、一時的でいいからさ」


『ないです』


「ない? なんで?」


『簡単ですよ。スキルですから。手放すことはできないのです。もし、それでも嫌なら高所から飛び降りすことを推奨します』


「そんなこと推奨しなくていいから。死ぬから!」


 全く。それならどうしたらいいっていうのだ。

 こんなスキルを一生抱えて生きて行けってことかよ!


『……ああ、もうそろそろ時間になりますね。これにて終わりです』


「え?」


『検出モードから自動化モードに解除されます』


 そう言うと頭がまた、痛くなる。

 びりびりと電気が流れるようだ。


「……くそ、なんなんだよ、これ。頭が壊れる……」


『では最後にお一つ。あなたに助力をさせていただきます』


「助力だと……」


『……もしも、あなたが魔法を行使することがあれることがあれば――このスキルの使い方がわかるでしょう。現段階では、もうその準備は出来ています。後はあなた次第』


「使い方……」


 くらくらとしてくる。

 体がないのに、立っていられないような感覚を覚える。


『私は楽しみにしていますよ。あなたにまた会う日を』


 その言葉を最後に俺の意識は遠ざかった。


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