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22.外れることのない予言

「……ダイヤモンドってギルドのやつのことか?」


 俺が率直に聞く。

 それ以外のことは思いつかなかった。


『はい、ご存知の通り冒険者ギルドのランクにある最上位の位のことです。いま現在のあなたのランクは最下位のブロンズ。相当かけ離れていますね』


「う、うるせぇ! そ、それがなにと関係があるっていうんだよ。ダイヤモンドを目指せば強くなれるっていいたいのか?」


 ちょっと痛いところを言われ、言葉がたじたじになる。

 なんで知ってんだよ。……なんでも知ってるのか。俺の能力の中にいるみたいな感じだし。そう考えると恥ずかしいな!


『たしかにダイヤモンドを目指せば、それまでの過程で強くなることでしょう。しかし、私がいっているのは、そういうことじゃありません』


「ならどういうことなんだよ……」


 意味がわからない。

 なにが言いたいんだよ……


『私が言っていることはダイヤモンドになればわかるとだけは言っておきます』


「……は?」


 結局、なにが言いたいのかわからなかった。

 なってみればわかる。

 そんなことを言われて信じる奴なんているのか。

 少なくとも俺は信じられない。こんなものを信じたくはない。


『そう言いたくなる気持ちもわかります。しかし、私が言っていることは本当のことです。嘘ではなく事実なのです』


「事実って……証拠とかをみせてくれれば信じられるんだけどな」


『未来のことなので証拠もなにもないですよ』


 淡々と話す。

 証拠もないのにどうしてそんなことが言えるんだろう。

 単なる想像でしかないのに。


「……正直に言って、ダイヤモンドになるってことはギルド内でも相当強いと思うよ。実際、レオンさんみたいな人は強かった。ものすごく。でも、それが最強かといわれれば違う。俺がなりたいのはその最強なんだよ。ダイヤモンドになれば最強になれるのか?」


 最強。これだけは譲れない。

 誰にも負けないくらい強い男になりたい。

 少なくともギルドなんか目もくれないほどに。


『……しかし、これもダイヤモンドになればわかるとしか言えませんね』


「くそ……!」


 ダメだ。

 こいつダイヤモンドになればわかるしか言わない。

 最初から胡散臭いと思ってたんだ。

 この能力が最強とか言ってたし。確かに俺も強いとは思ったけど最強とは思えない。

 だってコピーなんだからそれ以上強くなることなんてないしな。


「……もう信じてやるか! 俺は騙されたりなんかしないぞ!」


『はぁ……これだから馬鹿な人は……』


「馬鹿!?」


 ちょっと待て。

 いまこいつなんて言った?


『ごほん……では話を続けますと』


「いまの消すの!? 発言消すの!?」


 ミストは俺のことを無視して話を続けた。

 なんだこいつ。


『信じるも信じないも、これは私の予言です。絶対にあたる、外れることのない予言です。だから私はあなたに忠告をしているのですよ』


「忠告だと?」


『ええ、つまり最強にさせてあげるための忠告です。そのためにダイヤモンドになる必要があると言っているのです』


「だからなんだっていうんだよ。お前の手のひらで躍らせれているようで妙に気持ち悪いんだよなぁ……」


『そこまで言って信用してもらえないと……なるほど、想像以上に硬いみたいですね。では、少し先の未来に起こりうる予言するとしましょう。それが当たれば信じてもらえるんですよね?』


「ああ、それが当たったら信じてやるよ。当たったらな」


 そんなはずはない。

 予言なんかできる人間なんかいない。

 そんなもの俗にいう神にしかできない事だ。

 まあ、俺は神という存在すら信じていないんだけどね。


『では予言を告げます』


 緊張が走る。

 当たるとは信じていないが、予言を聞いておいて損はない。


『近い将来、あなたはとてつもない困難に当たるでしょう。それは酷く、最悪な出来事であなただけでは解決できないほど災難なことです。しかし、それはあなた自身が引き起こし、あなたは悩み、苦しむことになるでしょう。そしてそれによって、世界中での混沌の時代が始まり、歴史が大きく動きだすことになるでしょう。これで以上です』


 言い終わった。


 ほう、なかなか興味深くていいな! とはならなかった。

 意外とショッキングな内容だ。

 困難に当たる、か。しかも最悪な出来事とまで来た。

 そんなことを言われたら流石に心配する。

 ていうか俺自身が引き起こすってなんのことだ? さっぱりわからん。


「以上ってもっと説明はもらえないのか?」


『それ以上言ってしまえば、未来が変わってしまうでしょう。それだけは世界の秩序――ルーンに逆らってしまいますので言うことは出来ません』


 よくわからないけど、これ以上は言えないらしい。

 

「ならわかった。それに気を付けておくよ」


『気を付けるですか……まあ心がけはいいことです。用心するに越したことはありませんから』


 なんだか、馬鹿にされているような言い方で言われた。


「あれ、なんだか眠たくなってきた……」


 すると、体が軽くなり、その場で倒れる。

 どうやら――時間のようだ。


『時間みたいですね。そろそろこの話も終わりにしますか。本当に楽しみにしております。次は混沌の時代で会いましょう』


 そして俺の意識はとうざかった。



------------------------------



「うぅ……眠い……」


 意識が覚醒する。


「あ、レン起きた? 体痛くない?」


 起き上がるとすぐにそこには、サクヤの顔が見えた。

 なんでサクヤが。それに頭がいつもよりも柔らかいような……


「ってあ!? 膝枕!?」


 俺はサクヤに膝枕をされてたことを気づき、その場で立ち上がる。


「うぅぅぅぉ……痛い……」


 頭が痛くなる。

 つーんと広がるように痛い。


「もうあんまり動かさない方がいいよ。私の【ヒール】で治したっていっても表面だけだし。急に地面に倒れた時、頭を打ってたみたいだから」


「それを先に言ってくれ……凄く痛いんだけど……」


「言おうと思ったのにすぐ動くから。ほらここで膝枕してあげるからおいで!」


 膝をぽんぽんと叩く。

 柔らかそうな太ももが見える。

 なんだかみてはいけないものもような気がして目をすぐに逸らした。


「……遠慮しておく」


 子供じゃあるまいし。

 恥ずかしいし……


「ホント、レンって薄情者よね。もう少し私に寄り添うってくれてもいいのにさ」


「どこに同級生の幼馴染の太ももに膝枕を望むやつがいるんだよ! 別に薄情者ってわけじゃないだろ!」


 思わずツッコミを入れてしまった。

 そのせいで頭がまた痛くなる。

 なにしてんの、俺。


「……とりあえず、帰るか」


 頭を押さえながら歩き出す。


「そうだね。クエストも完了っぽいし」


 周りを見れば、炎トカゲの死体が無数に転がっている。

 こんだけ死んでいてもスキルの効果がないってことは近くにいる炎トカゲは全滅したってことだろう。

 こうしてみると案外あっけなかったように思える。

 

「はぁ……お腹が空いた。帰ったらいっぱいご飯が食べたい!」


「……ご飯の話ばっかだなお前は」


「うるさい! 食べたいものは食べたいのさ。別にいいでしょ!」


 雑談しながら、道を戻っていた。

 俺はその中で考える。


 それにしてもあの予言か。当たらなければいいんだけど。

 一応、警戒はしておこうかな。万が一のことがあったら怖いし。

 だけど、サクヤには言わないでおこう。

 出来るだけ、危険には巻き込みたくない。


 すると、くぅぅ~と俺のお腹から音が鳴る。


「……あと、俺もお腹空いたわ」

 

「あはは、レンもじゃん! 一緒に食べよ!」


「そうだな一緒に食べるか……ああ、今日はホント疲れた」


 俺たちはそのまま帰って行った。

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