プロローグ
お手柔らかにお願いします
夏の晴れた陽気の暑さが肌に突き刺さる頃、僕たちは教室に居た。
その部屋には、三十人の生徒が座り、教団に男性が一人立っていた。
教団に立つ男性が語り出す。
「お前ら、今年で学校での学習過程が終了し、将来の進路に進んでいくわけだが、その前に、トーナメントがある。前々から言っていた通り、それは、ダンジョンの攻略チームの一人を決めるものである。」
クラスがざわつく。
「静かにしろ。我々の所属する国立ウーノ学院は、四つの役職、剣士、盾持ち、魔法使い、僧侶、のうち、剣士を育成している。そのひと枠をかけた勝ち抜きトーナメントが開催される。これは、国王陛下もご覧になられる。」
クラスがもう一度ざわめく。
「まずは、ダンジョン、今回の選抜について、おさらいしておこう。」
「昔、神三柱あり、一柱が退屈を極め、人の世界に悪戯を始めた。人間の世界は、これをもって混沌とし始めた。そんな中悪戯する神を他の二柱が叱責する。叱責を受け、悪戯は一応の終わりを見た。しかし、突然悪戯は再開し、今度こそ、見過ごせない二柱により、神が一柱消えてしまった。しかし、最後に神は大きな置き土産を置いていった。
[大国四つの真ん中に迷宮を用意した、最初に攻略した国には、絶大な力を与えるよ、励めよ]
その言葉を機に、各国のダンジョン攻略の競争が始まった。」
「以上が、授業で習った内容だと思う。
これが起こったのが二百年前で、その後百年は本格的に攻略されたが、予想以上の難易度に、各国手をこまねいている状態だ。」
クラスは静かになっている。
先生がゆっくり語り出す。
「お前らのうち、一人がこれに参加する事になる訳だ。
全員参加だから、精々死なない程度に訓練はしておけ。」
ダンジョン攻略は常に危険が付き纏う。
勿論、リターンははっきりある。ダンジョンはいわば、お国で出世する為の登竜門のようなものだ。
ここにいる人間は大抵が貴族であるため、多くの人間が本気でくるはずだ。
しかし、ここで、僕は、勝たねばならない理由がある。
「これで、今回の授業は終わる。
トーナメントの組み合わせ発表が近々ある。
よく見ておくように。」
その言葉を残して、先生は教室から出ていった。
これは僕、オーラン アタパイトの物語である。
ありがとうございました。
次回もできたら、お読みください。