表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

プロローグ -拝啓、悪魔より-

長編になりそうな予感です。

読み方は「イズ 赤いホシより」です。

キィィン!


二つの金属同士が、ぶつかる音が響く。


カァァン!

ギィイン!


何度も何度も擦れ合う鋭く、尖った銀色の得物。


暗闇の中、一人の男は叫ぶ。


「貴様何者だ!シャルニール卿と知っての狼藉(ろうぜき)か!!」


男の後ろには、壁に激突してフロントガラスの大破したリムジンが一台、その前輪は潰れている。

中に人の気配がする。

恐らく運転手は死亡しているだろうが。

先ほど叫んだ男は青色の軍服を着ており、手には細長い銀色の剣が握られている。

彼の着ているのはアメリカ合衆国の軍服。

目の前にはなんとも不気味な仮面の男。

まるで戯曲「ファントム」の仮面のような。



再び両者が合い交える。


ガィイン!!

仮面の奥から抑えた声が漏れる。

だがはっきりと、強い意志が感じられる声で。


「お前も、周りのもの全ても」


手には真っ赤な日本刀。

まるで血を食い物にしてるかのように紅く、月に照らされた様はなんとも形容しがたいほどに妖艶だった。


「お前の国も、思想も何もかも紛い物だとしたら」



(いにしえ)より悪魔は存在し続けた。

願いを叶えるのが神ではなく、血にまみれた悪魔だったとしたら。

それはとても愉快な余興ではないか。


「何をふざけた事を・・・!」


警官は懐よりナイフを取り出し、前方に突き出した。

もちろん届く距離ではないのだが、突き出したナイフの柄から刃先が仮面の男に向かって飛び出した。

飛んで来た刃を顔を少しずらしただけでよける。


寸分遅れて警官の刀が視界の隅に入る。

仮面の男は刀を背に掛けるような格好で剣撃を受け止める。


仮面の男の背中からは羽が生えたように見える。

まるでおとぎ話の悪魔のような羽が。

そして悪魔は尚も語る。


「この世界を壊すまでだ」

「この、悪魔憑きがぁぁぁ!!」



暗闇に漆黒のマントが翻る。

残月の映すのは目が眩むような香り。

後に残るのは青色の軍服と、その主の血溜まり。

月の光に照らされて、妖しくも禍々しく落ちる死体。



あの日、世界が堕ちた日。

以来、人間にはあるはずもない姿をした者が現れた。

遥か昔、伝説ではソロモン王が封印したとされる悪魔になぞらえて、人は彼らの事をこう呼ぶ。



悪魔憑き、魔族の類だと。






世界はどこで狂ってしまったのだろう。

世界のどこに正義があるのだろう。

世界は万人に優しくなどない。


万人に平等など、・・・・・ない。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ