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死、そして異世界へ

よろしくお願いします!

「ここ……どこだよ」




ー数時間前

キーンコーンカーンコーン…

今日は公立の桜ヶ丘高等学校の1学期の期末テスト週間の最終日だった。

クラスのみんなはテストが終わり、夏休み前という事もあってテストなど無かったかのように騒いでいる。

ぶっちゃけ、それは俺も例外ではない。


まず自己紹介を。

俺は斎藤 優希。普通ならここで、平凡な高校2年生と言いたいところだが、頭脳に関しては学年10位。運動、顔はそこそこ。

完全にリア充に見えるだろう?


ところで、高校2年生は高校生活の中で最もリア充できる年だと思う。

変な緊張のある1年生、受験という人生の一大行事がある3年生、特に何のしがらみもない2年生。

という調べもある。(俺調べ)

自己紹介から分かるだろ?

俺はこの夏青春で…きねぇぇぇぇ!


彼女がいない!リア充になれる気配なし!

俺はとことん期待を裏切る男だ。


中々の高スペックなはずの俺だけど致命的な欠陥が1つある。

原因は分かってる。


俺がオタクだということだ。

オタクが悪いんじゃない。オタクを否定するリア充グループが悪い。

何故リア充共はオタクを嫌うのかね。まーったく分からない。


アニメ、マンガ、ゲーム最高じゃないか!

日本の大事な文化だぞ!カルチャーだ!

JAPANエキスポとかであるじゃないか!

リア充共はマンガ読まねーのかよ!

あと帰宅部ってのもあるかも。


俺がズーンと思考していると、


「ゆーくんっ!今日ひーまー?」


と、幼馴染が抱きついてきた。


「暇だよ。分かってるだろ、侑真。嫌味か?友達だってほとんどいないんだから」


神崎 侑真。俺の幼馴染。男っぽい名前だけど女子。一人称はボク。

運動はこの県内最強と言ってもいいほどすごい。

が、部活は入っておらず助っ人としてよく試合などに出ている。


心は乙女…なのだろう。

俺とは幼稚園時代からの幼馴染で未だに俺のことをゆーくんと呼んでいる。

これは乙女というか、子供なのかもしれないけど。


「えへへっ。ごめん。まぁそんな可哀想なゆーくんのために遊園地のチケットを用意したよ!一緒に行こっ!」


抱きついたまま続けるな。暑い!いい匂い!柔らかい!

女子特有の匂いと胸が当たってるんだよ。まぁまぁあることを自覚してくれ…

女子に免疫ないんだよ。

死んでも本人には言わないけど。引かれたくないからな。


「いいけど。お前はクラスのテスト打ち上げはいいのか?呼ばれてるんじゃないのか?」


打ち上げっていいよな。行ったことないけど。というか呼んでもらえない。


まぁもちろん遊園地など断わるけど。

リア充共の巣窟など惨めになる。

しかも侑真だって俺と一緒になんて…。


「え?ボク?行かないよ?ゆーくんと出かける方が楽しいもん!」


なんでそういうこと言うかな。

断りにくくなるじゃん。


ほんと良い奴だよなゆーちゃんは…。


「ありがとう。じゃあ誘いに乗るよ」


と、まぁこんな感じで侑真と遊園地に行くことになったんだけど…


行く途中で事件は起こった。


繁華街から少しした所に遊園地はある。

どこの高校も今日あたりが、テスト最終日なのか人が多く、中々進めない。


「あっつ……今日はもう帰った方が良くないか?人は多いし、暑いし熱中症になりそうだぞ」


「いやいや!もう少しで着くよ!だから頑張ろ!」


余程遊園地が楽しみなのだろう。ウキウキしてて戻るという選択肢は無いらしい。


テストどうだった?とか夏休みどうする?とか軽い話をしながら歩いていると、周りがやけに騒がしくなってきた。


「なにかあったのかな?熱中症とかかな?」


侑真が先の方を心配しながら言った、その時、目の前に人が飛び出して来た。


そいつはナイフを持って侑真を睨んでいる。


「いたぁ!し〜ん〜ざ〜き〜!!」


「え……ボクを狙って……」


犯人はナイフを侑真に向かって振りかざした。

驚いていた侑真は反応が出来てなく、立ち尽くし、何が起こっているのか混乱しているようだ。


刺さる瞬間俺は侑真を突き飛ばしていた。

なんでかは分からないけど体が動いて………。


グシャァ!


と音を立ててナイフが俺の体に突き刺さった。

あたりから悲鳴が聞こえてきた。


「え?ゆーくん?ゆー…くん?」


体が重い。手足が痙攣している程度にしか動かない。


「ゆーくん!しっかりしてよ!起きて!ねぇってば!」


最期の思いで目を開くと侑真が泣いていた。

泣きながら俺に向かって叫んでいた。


「ゆーくん!大丈夫!?救急車もうすぐ来るからね!」


軽く走馬灯も見えつつある。本当にまずいな。


走馬灯は幼稚園の頃侑真と会ってずっと遊んでた思い出から、この間2人でショッピングモールに行ったものまで一緒に過ごした記憶が頭の中を駆け巡っていた。


段々手の感覚が無くなってきて寒くなってきた。これがよく聞く死ぬ前ってやつなのだろう。


「ゆー…ちゃん…。も、ういい…んだ。ゆ、遊園地行けなくて……ごめ、んな……」


「そんなことどうでもいい!ゆーくんが生きててくれれば……!」


「あ…り…が…と…う……」


俺はここで力尽きた。

犯人がどうなったのか、誰なのかも全くわからないまま終わった…


……アナ…ヌベ…デハナ……


と思ったが頭の中で声がする。

なんだこれ転生とか転移とかそういうやつなのか?

そんなわけな…!?


ザザッ…


今の音はなんだ…頭が割れるような痛みが。


ザザッ…


まただ、暗い、怖い、助けて、侑真……。


〈あなたはまだしぬべきではない〉


今度はちゃんと声が聞こえた。ただそれだけでなく目の前に字が出現した。


〈さぁこちらのせかいへ〉


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