表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の夢は冒険者だったのにっ!!  作者: ウニア・キサラギ
1章 冒険者になりたいっ!
17/486

16話 母達の反応

 メルは自分の意思で荷を届ける事を選んだ……

 しかし、ほぼそうせざる終えない状況だった事もあり、ナタリアやユーリは反対をする。

 そんな中、フィーナも部屋へと訪れ話を聞いたのだが……?

 固まったフィーナは無表情のまま無言でユーリからメルを突然引き剥がし抱きしめた。


「ひゃい!?」


 そうなるだろうとメルは予想はしてていたが、危うく転びかけ思わず声を上げてしまう。


「ナ~~タ~~リ~~?」


 しかし、メルの母フィーナは気にする事もなく、メルと共に向かったであろう者の名を呼び……


「い、いや……私もちゃんと言ったぞ? だが、シルトの奴が話を聞き入れん、それに特別扱いをされて気分があまり良くないと、以前フィーも言っていたではないか!?」


 それについてはメルも知っており、尚且つフィーナも覚えていた事だ。

 タリムの王を倒した後に出来たリラーグの新たな法……それにはメルの母達も関わっていたのだが……

 当時のシルトはその法をユーリ達が破るとは思わず……もし、破るとしたらその理由次第では、ユーリやその仲間、子供であるメル達が例え今回の様な事をやっても裁かないと決めた。

 とはいえ、流石にそれはおかしい、子供のメルもその場で話を聞いて驚いた事は記憶に残っている。

 更に言えばシルトはユーリの事が好きであり、一応は諦めたものの熱は収まっておらず……きっとそれもあってそんな事を言い出したのだろう。

 しかし、それではマズイとメルの母達はその特別扱いを止めさせる様に動き何人かに協力を得てなんとか廃止、現在に至ると言う訳だ。


「こ、こんな事なら、あの話は残ってて良かったと思えるよ?」

「うん、偶然じゃなく僕もそう思う……」


 心配してくれてるのは分かるし嬉しいけど、それはそれで大変な事になりそうなのは私の気のせいなのかな?


「明日、一応取り合ってみるが、恐らく話は聞いてもらえないだろう……」


 ナタリアは先程、ユーリに言った事と同じ事をフィーナへと伝えると、その視線を彼女に抱かれているメルへと向けた。


「それよりもメル、何故シルトにこの酒場の冒険者が駄目だと聞き直した……?」


 メルはナタリアの言葉を聞くと頷く……

 それを聞いたのは勿論、ユーリの娘という立場を活かし僅かな希望にかけたという訳ではない。

 理由はあるのだ……親に頼ったと言われず、なんとかできるであろう手段――


「えっとね……」


 それには冒険者じゃなく、頼りになり、なによりメルの事を信用、信頼しており彼女自身もそうだと言える人物の協力が必要だ。

 それは、つまり――


「シュレムとフォルに頼もうと思って……」


 シュレム、シュレムローネはメルと同い年の姉の様な人だ。

 幼い頃から一緒で彼女の腕力は父であるドゥルガ並ではないか? と言われるほどだった……

 フォル、フォルディロス……メルより五つも下の男の子だが、賢く……色々な分野の知識を持っている。

 ただ武器を持ったことも魔法を使った事も無い……賢いとはいえただの子供と言っても良いだろうが、その知識はきっと旅に必要だ。

 メルはそう考え二人の名を口にしたのだが……


「な、何を言ってる!? シュレムはともかくフォルはお前より年下なんだぞ!?」

「そうだよ、まだ七歳だよ!? それにあの子は……」


 彼女の言葉を聞いて詰め寄ってくるナタリアとユーリ。

 フォルの名前を出した時にそう言われることは分かっていた……

 

「そ、そうだねー? とてもシュカとバルドの子とは思えないからね……」


 メルの真上からは乾いた笑いが発せられ、二人はため息をつく。

 そう、フォルはとてもシュカとバルドの子供とは言えない程、臆病だった。

 魔力もあれば体力もある、鍛えれば将来両親に劣らない冒険者になるだろう……だが、フォルは何より臆病で痛みを嫌う。

 メルが幼い頃にナタリアから魔法を教わる為に魔紋を彫ったと言うのにフォルは痛いと聞いただけでそれすら拒否した位だ。

 だが、本や話が好きでナタリアの部屋に入っては本を読み漁ったり、ユーリから別の地方であるニホンという地域の話を聞いていたりするらしく、先程メルが思い浮かべように知識だけは一つ頭を抜けている。

 そう、まさに歩く知恵……弟の様な彼をそう呼ぶのには抵抗があったが、そう言っても過言ではない彼について来てもらうのは助かる。

 メルはそう考えていたのだが……


「メル良いか? 確かに知識は旅に必要だ。だが……それだけでは駄目なんだ」

「で、でもユーリママは旅の途中――」

「ユーリの場合は知識もあったけど、ある程度は魔法使えたよ? それにソティルも居たからねー」


 メルはがっくりと肩を落とす、シュレムと二人旅というのはメルは正直気が引け、メルが途方に暮れている中、部屋の中へこんこんというノックの音が鳴り響く。


「誰だ?」


 音を聞いたナタリアは当然いつも通りにそう言うと……


「私ですわ、ユーリ様。先ほどの少年が目を覚ましましたの……お話をしたいそうなのですが……」


 遠慮がちに扉を開け入ってきたのはシンティアだ。

 メルは彼女の言葉を聞き、慌ててフィーナの拘束を解くと駆け寄って行った。


「本当!?」


 メルは自分でも不思議なほど、その言葉が嬉しかった。

 いくらユーリの魔法があっても血が足りなければ死に至る……一命は取り留めたと母は言っていたが、もしかしたら自分を安心させるための言葉でこのまま目を覚まさないのではないか? 彼女にはそんな不安もあった。


「ええ、まだ完全に治ったという訳ではないですけど、今はベッドに横たわってはいても起きてますわ」

「――っ!」


 その言葉を聞きメルは話の途中だと言うのに部屋を飛び出した。


「メ、メル!?」


 その際に聞こえたユーリの声は何処か寂しそうに聞こえたのにはメルは疑問を浮かべたが、それよりも今は少年の方が気がかりだ。


「シルフ!!」


 メルは近くにあった窓から覗き込んでいる彼女を見つけるなり、窓を開け名を呼ぶ。

 すると心配そうな顔を浮かべていた相棒は笑顔へと変わりメルの方へと飛んできた。


「お願いあの人の部屋に連れて行って」

『うんっ!!』


 願いを聞き入れてくれた相棒に感謝をしつつメルは屋敷の中を走る。

 二階へと降り、駆け抜ける……途中何人かに話しかけられたが、手を振って答える事だけをしメルは急いだ。

 なぜこんなに嬉しいのか? そう思ったがすぐに死にかけていた人がちゃんと無事だった。

 それで嬉しくないはずが無いと結論を出すと彼女は屋敷の中を駆け抜けた。



 目的の扉が見えて来て、メルは目の前に立つ。

 ノックをして入ろうとするものの何故か心臓が激しく脈を打ち、扉へと近づけた手は動かなくなってしまった。


「あ、あれ?」


 いつも通り声を出したはずなのに、何故かそれは内緒話をする時の様に小さく……

 更に言えば扉に近づくにつれ何故か家を飛び出し母に探されている時の様に忍び足になっていた気がした。


『メル?』


 そんな彼女の様子を心配してくれたんだろう、シルフは声をかけてくれたが……

 此処からどうしたら良いのか分からなくなってしまい、うろたえるメル……彼女がそうこうしている内に母達は追いついたようで彼女はいつの間にか囲まれる形になっていた。

 そして、母フィーナは首を傾げそんなメルへと声を掛ける。


「メ、メル? どうしたの? ……走って行った――むぐっ!?」

「――っ!!」


 フィーナの声にびっくりしたメルは慌てて母の口を手で塞ぐ。

 どうしてそんな事をしたのかは分からない、何故かすごく恥ずかしい気持ちになったのだ。

 メルはなんか自分が変だ! と感じつつも扉の向こう側から何も聞こえない事にほっと息をつく……


「メ、メル……」

「そ、そうか……そう言う事か……いや、だが」


 その様子を見てユーリとナタリアは複雑な顔を浮かべている。

 二人共なにか分かったのなら、教えて欲しい……メルはそう思うが――それもなんだか嫌なような感じがし言葉を飲み込んだ。


「あらあら」


 メルのその様子で答えに行きついたのか、シンティアはいつも優しそうなその顔がいつもより数倍優しく感じ……

 メルは余計に恥ずかしくなり、顔に熱が出てきたのを感じた。


「ぷはっ! もう、メル……」


 その所為かメルの手からは力が抜け、フィーナは優しく注意するようにメルの名を呼んだ後、扉へと向かいノックをし……


「フィ、フィーナママ!?」


 メルは声を上げるが、やはり小さすぎる声だった。

 だが、その声はフィーナには確実に聞こえているはずだ、だと言うのに――


「入るよ?」


 フィーナはそう中に告げ、扉はゆっくりと開いて行く……その途中も心臓は激しさを増していって……


 ぅぅ……私本当にどうしちゃったの? ただ無事なのを確かめるだけなのに……


 鼓動が激しくなっていく中、メルは気が付いた。

 誰かが拭いてくれたんだろう自慢の髪――

 しかし、まだ血がこびりついていて、今この姿を見られたら彼になんて言われるのだろうか?

 そう思うと途端に怖くなり、扉から飛びのく様に離れ、一番遠い所に居たユーリの後ろに隠れる事にした。

 今すぐシアを探して整えてもらいたい――そう考えたが、彼がちゃんと無事であるのを確かめたい、声を聞いてそれを確かめたら去れば良い。

 そう考えメルはユーリの背中で母の服を握る。


「メル……やっぱり……」


 そんなメルの一大事には関心が無いのだろう、彼女の()は何故か悲しそうな声を出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ