レミリアとハイテクセキュリティ
ふっと思いついてしまったので書きました。
「お嬢様!」
「どうしたの、咲夜」
「どうしたの、じゃ有りません!早く出て下さい!」
「慌てない、慌てない」
「ちょ、本当にやばいんです!」
「焦らないで、そんなに。言われなくても直ぐ出るわ」
「だってお嬢様!」
「何よ」
「この状態でもう10分経過してるんですよ!何してんですか!」
「何って…読書よ」
「ふざけないで下さい!こんな状況で!」
「待って!あと31ページだけだから…」
「待てって、拷問じゃないですかコレ!」
「慌てない、慌てない」
「あぁ、もう直ぐそこまで来てるんです!」
「うるさいわね、ちょっと待ってて」
「だから、待てません!」
「もう、分かったわよ。今出るわ」
ガチャ
そこには、幻想郷最強の妖怪と、その隣に青ざめつつ苦笑いする咲夜が居た。
…この瞬間、彼女は全てを悟り、全てを思い出した。
…彼女は、太陽の畑の道を歩いていた。
運悪く、石ころにつまづき、転んでしまった。
更に運の悪いことに、転んだ先は坂になっていて、向日葵の群れに突っ込み…帽子が爆発した。
よって、彼女を中心とした半径10メートルは焼け焦げ、案の定、向日葵は被害を受けた。
しかし、運の良い事に、その時、主は、居なかった。
咄嗟に逃げてしまったのだ。
更に更に運の悪い事に、この畑は河童の警備システムで24時間監視されていたのだ。
はっ、と我に帰る。
目の前で彼女は静かに微笑んでいる。
「あ、あの…」
「隠さなくて良いわ。全て分かっているもの」
彼女は室内なのに傘を差している。
「悪かったわ。私が悪かった。でも、あれはフランが…」
「…河童の警備システムは凄いわね、あなたは大惨事を起こした後、呑気にお家に帰って読書…ねぇ」
「えっ」
「実はね、あの警備システムには追跡装置が付いているのよ。あの後、それが家まで付いて行って、全て見させて貰ったわ…」
「えぇ…」
「私の可愛い向日葵が、これじゃあ報われないわ。…分かるでしょう?」
「は、はいぃ… って、えっ、ちょっと待っ…」
…私が最後に目にしたのは、半透明の、虹色に輝いた光。
それは、美しく、私を包み込んだ。
彼女は満足気に微笑み、
私の紅魔館は、爆発した。
紅魔館にはどれだけ火薬が貯蔵されているのか