9話 子狐の儚い灯火
ルキフェルから放たれた魔法は、大地を削りリュンヌとキャンディスがいた場所には何も残っていなかった。
「やはりこの魔法を使うのは無しだったな。」
ルキフェルは剣をしまい立ち去ろうとした。
その時上空からリュンヌとキャンディスとリュンヌの剣を抱えたフォリスが落りてきた。
フォリスは細いしっぽを生やしており、体に黒い斑点模様が浮かんでいた。
「フォリスさん助かりました。
リュンヌ君大丈夫?リュンヌ君!!」
キャンディスはリュンヌの体を激しく揺すると、リュンヌが目を覚ました。
「キャンディスに副隊長、あいつに蹴られてからの記憶が…。」
と言うと、お腹を両手で抑えた。
「すみませんリュンヌさん、信号弾が見えて急いで駆けつけたのですが遅くなりました。」
フォリスは深々とお辞儀をして剣を渡した。
「えぇー!リュンヌ君いつ信号弾なんて放ったの?」
「最初にキャンディスを助ける前かなー、信号弾を撃ってから飛び込んでいったから。」
「えぇー!切られてたらどうしてたのよー?」
リュンヌにふてくされた可愛い表情を向けた。
「さてとー副隊長どーします?」
リュンヌは剣を構えた。
「リュンヌさんはキャンディスさんを守って下さい。
キャンディスさんは、魔法で援護お願いします。」
声を揃えて返事した。
「はい!」
「また増援か、つまらんな。
お前以上のやつではなさそうだな。」
ルキフェルはリュンヌに指を指して言った。
「変化解除!」
フォリスの細いしっぽは、太くなり黒い斑点が消え獣耳がついた。
「えっ!副隊長ってチーターじゃないんですか?」
リュンヌは驚いて尋ねた。
「違いますよ、私はキツネですね。」
フォリスは魔力を貯めながら答えた。
「子狐の儚い灯火。」
フォリスから七匹の子狐が放たれると武装ゴブリンに一匹ずつ、そしてルキフェルに三匹まとわりついた。
キャンディスは、右手に魔力を貯めている。
「キャンディスさん最大魔力でお願いします。」
「りょーうかいです!風衝!!!」
最大魔力で放たれた風衝と子狐がぶつかる瞬間、子狐のしっぽの炎が大きくなった。
凄まじい熱風と炎がルキフェルと武装ゴブリンを飲み込んでいく。